会社員で資産運用をお考えの方は、基本的にまずは投資信託について興味を持つかと思います。
その中でも人気なのが、世界経済の成長性を享受できる「世界経済インデックスファンド」となっています。
新興国のダイナミックな経済成長を収益として取り込みたいと思う反面、
リスクはそこまで取りたくない、
国内・先進国の株式、債券などでリスクヘッジしながらバランスよく投資をしたい、
という人が購入している商品ですよね。
しかし実際のところ、世界経済インデックスファンドはおすすめの投資先と言えるのでしょうか?
私自身は「投資信託」自体にすでに疑念を抱いてしまっていますが、今回は、世界インデックスファンドを独自の分析で評価してみたいと思います。

→ 投資信託のメリットとデメリットを徹底解説 ー投資信託が抱えるリスクとはー
Contents
世界経済インデックスファンドとは?
「インデックスファンド」は聞き慣れた言葉ではありますが、まずは定義を確認しておきましょう。
インデックスとは指標、ファンドとは投資信託のことで、インデックスファンドとは株価指数などの指標に連動した運用を目指す投資信託を指します。
通常、ファンドの運用対象は目標となる株価指数に採用されているのとほぼ同じ銘柄群で構成され、組み入れ比率も指数への影響度に応じた割合となります。
ベンチマーク(目安)となるインデックスには、日経平均株価、ダウ平均株価などの株価指数の他、債券指数、REIT(不動産投資信託)指数、コモディティ指数などがあります。
引用:SMBC日興證券

日経平均株価、ダウ平均株価などを指標にし、連動した運用を目指す投資信託のことですね。
上記を踏まえた上で、世界経済インデックスファンドとは何を指すのでしょうか?
基本的な運用方針とは以下の通りとなっています。
国内、先進国および新興国の公社債および株式(DR(預託証券)を含みます。)に分散投資することでリスクの低減をはかり、投資信託財産の中長期的な成長を目指します。
世界中の新興国や公社債、株式を指標にする、インデックスファンドの「世界経済版」と考えれば良いでしょう。
三井住友トラストアセットマネジメント・世界経済インデックスファンドの概要を把握
それでは三井住友トラストアセットマネジメントの世界経済インデックスファンドの概要を把握していきましょう。
三井住友トラスト・アセットマネジメントは2009年1月に世界経済インデックスファンドを開始し、全世界株式・債券投資をしています。
2018年7月時点で購入手数料は3.24%、信託手数料は0.54%となっています。
投資信託として、購入手数料&信託手数料は世界各指数を組み合わせていることから、「長期投資」に向く費用水準と言えますね。
その他にも基準価額変動リスク、元本割れリスクについてもしっかり把握しておきましょう。
引用:目論見書
ファンドは、値動きのある有価証券等に投資しますので、基準価額は変動します。従って、投資者の皆様の投資元本は保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。信託財産に生じた利益及び損失は、全て投資者の皆様に帰属します。投資信託は預貯金と異なります。
運用成績としては、
- 先進国株、
- 先進国債券、
- 新興国株、
- 新興国債券、
をそれぞれバランスよく分散投資しており、リーマンショックで景気低迷した後の、世界経済の回復と綺麗に連動しております。
リーマンショック以外にも、
- 2011年:世界経済停滞期、
- 2014年:チャイナショック、新興国経済低迷、
などの世界経済不振の影響がチャートに表れていますね。
世界経済インデックスファンドの資産別投資割合について見てみましょう。
債券と株式の運用割合については50%:50%に設定しています。

50%:50%という割合については別記事で紹介しているベンジャミン・グレアム氏が推奨している比率として有名ですね。
世界経済インデックスファンドの投資先(国別)
上記では株式と債券の半々程度で世界経済インデックスファンドは運用していることがわかりましたが、実際の投資先はどこになるのでしょう。
インデックスファンドの仕組みとしては以下のような流れで運用がなされます。
世界経済の動向に連動して運用しますので、まずは連動目標となる地域別の世界GDPを見てみましょう。
新興国と先進国が半々、先進国の方が日本を含めればまだまだGDP総額は上回っていますね。
今後の動向として、以下のような資料もあります。
アジア経済を中心に収益を拡大していくということを示しています。
これらのデータを確認した上で、世界経済インデックスファンドの構成はどうなっているのでしょう。
ほぼ、実体経済の割合と同様の比率にしていますね。
世界経済の発展をダイレクトに反映しやすいファンドといえるでしょう。
世界経済インデックスファンドの欠点
世界経済インデックスファンドの欠点を挙げていきましょう。
各資産の連動目標をみてみましょう。

私は新興国株式を徹底的に過去に分析してきましたが、投資全体の「15%」(50%×30%)の割合を占める新興国株式の連動目標が、
「MSCI エマージング・マーケット・インデックス(円換算ベース)」
になっていることに気づきました。
MSCI エマージング・マーケット指数は、新興国23カ国に上場する大・中型株 を対象にしたインデックスです。現在833銘柄が採用されており、各国市場の 約85%をカバーしています。
つまり、新興国の株式市場の時価総額比で国を決定しています。
これは問題です。
例えば、
2018年7月時点のMSCI エマージング・マーケット・インデックスを連動目標としているブラックロックが出している構成国は以下のようになっており、
すでに成長期を終えた韓国が14.62%、台湾が11.57%となっています。
引用:BlackRock
さらに最悪なことに中国が一番大きな32.58%を占めております。
中国の経済がいかに今後の見通しが暗いものかは以下の記事で解説しています。
→ 崩壊間近?中国経済の実態・2018年以降の成長可能性を分析・解説
加えて、
ブラジルやロシアといった資源に依存し、
今後も経済成長が見込めない国を含めると、
中国・韓国・台湾と合わせて成長が望めない国への投資が70%を超えてきます。
ブラジル、ロシアの経済に関しては参考までに以下の記事にまとめています。
→ 『ブラジル株式市場』おすすめ海外新興国を経済・国家政策より解説
→ 『ロシア株式市場』おすすめ海外新興国を経済・国家政策から徹底解説
マレーシアやタイに関しても、主に貿易の面で中国に依存する側面が大きすぎるという懸念点があります。
→ 『タイ株式市場』おすすめ海外新興国投資を経済・国家政策より解説
→ 『マレーシア株式』おすすめ海外新興国投資を経済・国家政策より解説
世界経済インデックスファンドを購入するのであれば、この点は十分に頭に入れておく必要があります。
世界経済インデックスファンドの利回り
世界経済インデックスファンドは、概要を解説している項目で世界経済にしっかり連動していることを確認しました。

では利回りはどうなっているのでしょう。
ここではトータルリターンをみていきます。
引用:Morning Star
5年で年率6.24%、3年で年率5.92%、1年で3%となっており、インデックスファンドにしては高めの利回りを誇っていると言えるでしょう。
しかし、MSCI エマージング・マーケット・インデックスを連動目標にしている限り、常にリスクがあると考えています。
むすび
世界経済インデックスファンドは、
- 世界経済の成長を享受できる、
- 購入、信託手数料も低い、
という2つのメリットがあることがわかりました。
そして世界経済インデックスファンドの購入に対しての懸念点としては、
新興国株式の分野が「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」としており、選択している国々の今後の経済成長が果たして正しいのか?ということですね。
私であれば、
世界経済インデックスファンドの比率は参考にするものの、新興国株式投資などはETFなどで自分で国を分析した上で購入します。
しかし、やはり、一番は安定的にリターンを出せるプロのヘッジファンドに資金を預けることでしょうか。
>>日本のヘッジファンド・おすすめ投資先ランキングを紹介!投資信託との違いから見えるヘッジファンドの魅力。