私はこれまで、日本で投資すべきではなく、海外投資を選択すべきということを明言しておりますが、今回は、
「では、海外でもどこに投資すれば良いのか?」
という観点から一つ一つ、対象になり得る投資先を紹介していきたいと思います。
皆さんの中には、新興国といえば距離的にも近いということもあり、東南アジアを意識される方も多いと思います。
今回は代表的な新興国であるベトナム株式市場について検証していきたと思います。
その上で、最も効率的に新興国株投資を行うことができる手法について紹介していきたいと思います。
- ベトナムは理想的な人口ピラミッドの形であり、最も人数の多い世代が10代後半から30代前半。
- 今後20年から30年は、現在の労働力が洗練化されながら労働人口が増えていく形になっている。
- ベトナムは識字率は93.4%、義務教育である中学までは基本的に全員が通っており、労働力の質も問題はほぼないと言える。
- ベトナムは他国への貿易などに依存する政策ではなく、国内需要拡大ということで、今後も堅実に経済成長していくものと思われる。
- ベトナムのPERは20倍程度で新興国の水準としては理想的と言える。
- 長期トレンドとしてベトナム株式に投資するのは良い判断であると言えるが、個別銘柄を個人で分析してリターンを狙うのは困難。
Contents
ベトナム概要
まずはベトナムの一般概要と経済概要をみていきましょう。
一般概要
国・地域名 | ベトナム社会主義共和国 Socialist Republic of Viet Nam |
---|---|
面積 | 33万1,690平方キロメートル(日本の0.88倍) |
人口 | 9,270万人(2016年、出所:ベトナム統計総局(GSO)) |
首都 | ハノイ 人口 721万6,000人、ホーチミン人口 814万6,000人(2015年、出所:同上) |
言語 | ベトナム語、ほかに少数民族語 |
宗教 | 仏教(約80%)、そのほかにカトリック、カオダイ教、ホアハオ教など |
公用語 | ベトナム語 |
引用:JETRO
経済概要
項目 | 2017年 |
---|---|
実質GDP成長率 | 6.8(%) |
名目GDP総額 | n.a. |
一人当たりの名目GDP | n.a. |
鉱工業生産指数伸び率 | n.a. |
消費者物価上昇率 | 3.5(%) |
失業率 | 3.2(%) |
(備考:失業率) | 都市部 |
輸出額 | 214,323(100万ドル) |
対日輸出額 | 16,839(100万ドル) |
輸入額 | 211,518(100万ドル) |
対日輸入額 | 17,316(100万ドル) |
経常収支(国際収支ベース) | n.a. |
貿易収支(国際収支ベース、財) | 2,804(100万ドル) |
金融収支(国際収支ベース) | n.a. |
直接投資受入額 | n.a. |
外貨準備高 | 49,497(100万ドル) |
(備考:外貨準備高) | 金を含む |
対外債務残高 | n.a. |
政策金利 | n.a. |
対米ドル為替レート | 22,370(ドン) |
(備考:対米ドル為替レート) | 期中平均値 |
引用:JETRO
ベトナムは今後の経済発展の条件を満たしている?
今後の国の経済発展の可能性を探る糸口として、まず基本となる指標は人口構造ですね。
例えば日本の経済発展も終戦期に、子供をどんどん作り、人口1億人時代となったことが爆発的な経済成長に繋がりました。
現在のベトナムの人口ピラミッドは以下のようになっています。
注目されている新興国は全て共通しますが、ベトナムも綺麗な人口ピラミッドの形ですね、最も人数の多い世代が10代後半から30代前半なので、今後20年から30年は、現在の労働力が洗練化されながら労働人口が増えていく形になっています。
さて、この労働資源についてですが、教育の水準が高くなければ経済発展における労働力が担保されません。これはラオスもインドネシアも同様でした。
例えば日本が発展した理由に日本の教育水準の高さがあります。日本は脅威の識字率99%を誇っており、また論語と算盤教育により基本的な教育水準が非常に高かったという点が、その後の科学技術の発展に寄与しています。その教育水準はあのマッカーサーも驚愕するほどでした。
人口が理想的なピラミッド構造を誇っているアフリカ諸国がいまいち発展できていないのは、教育水準の低さが大きく寄与しています。
その中でベトナムは識字率は93.4%、義務教育である中学までは基本的に全員が通っており、問題ない水準といえます。
ベトナム経済の成長は継続するのか?
まずはベトナムの近年の成長率をご覧ください。
引用:World Economic Outlook Databaseを元に筆者が作成
ベトナム経済の問題はこの成長が持続可能かということですが、現在大卒の初任給が「5万円」以下と依然として安く、将来バングラデシュ等の更に安い賃金の国にとってかわられる可能性は高いですが、しばらくは問題ないかと思います。
ベトナムの産業構造は偏っていないか?
ロシアやサウジアラビアのように極端に資源に産業構造が偏っている場合は、原油価格下落のようなショックに耐えることができません。ベトナムの産業構造のバランスがどのようになっているのかを見てみましょう。
引用:経済産省
ベトナムの産業構造は偏っておらず、バランスのいい産業構造となっています。
ベトナムといえば製造業偏重と思ってしまいますが、意外にもサービス業が大きなポーションを占めています。
次にベトナムGDP成長に占める寄与度です。
まず、GDPは個人消費、民間支出、政府支出、純輸出(輸出-輸入)で構成されます。
国内景気の浮揚を伴った上昇の場合は、個人所費の寄与度が大きくベトナムはこの傾向が有りますね。
ベトナムは貿易偏重な経済かと私は考えていましたが、意外と経済成長の加速剤は「国内需要拡大」ということで、今後も堅実に経済成長していくものと思われます。
ベトナム株式市場については?
ベトナムの株式市場をみていきましょう。
ベトナム株のPER(=Price Equity Ratio)は現在20近くです。そして近年急速に上昇してきています。
念のため、PERは、
時価総額(株価×発行済株式数) ÷ 税引後純利益
で算出されますが、自分の持っている株の元本を「何年間で稼ぎ出してくれるか」を意味しています。
PERが低ければ低いほど、割安な銘柄で溢れているということです。標準的なPERは「14倍〜16倍」であり、例えば日経平均株価は16倍程度になります。
新興国株のような成長余地が高い株式市場では分母の利益が年々伸びていきます。
20倍程度の数値は欲しいところですよね。ベトナムはその水準であるということです。
ベトナム株はどこで購入できるのか?
これまでの分析で、ベトナムの株式市場は今後も堅調に伸びていくことが想定されます。
株価指数連動型の金融商品を購入する場合は、一つ目は株価指数に連動するETFや投資信託を活用できます。ETFは取引時間中に普通の株式と同様に売買ができます。
投資信託の場合、購入を申し込んだ翌日、解約申し込みの翌日に売買が執行されますが、指数に連動して運用されているという点では同じです。
これらの取引手法には欠点があり、それは売買手数料と株価指数への連動率が低いということです。
売買手数料は売買額に対して2%程度であり、一回の売買取引で「4%」と大きいです。
加えて、私がETFや投資信託を購入した経験した結果なのですが、全く株価指数と連動せず、想定通りに運用できなかった経験をしています。
証券会社に問い合わせましたが、指数構成銘柄の組み換え、解約購入時のポートフォリオ組み換え時のコストで、連動と乖離します。連動数値へ最善の努力をしておりますという回答が返ってきたのでした。
後程私自身も調べたのですが、ベトナム株の中には外国人投資規制によりETFに組み込めない銘柄もあるので連動率が他の新興国株よりも更に低いということが分かりました。
このようなこともあり、私自身指数連動型のETFや投資信託を利用するのは控えています。
ベトナム株式個別銘柄への投資・まとめ
ベトナムへの個別銘柄の投資はSBI証券を通じて日本人でも可能です。
こちらも難点があり、投資信託とETF同様、売買時の手数料が一度の取引(買いと売りの往復)で4%発生すること、銘柄選択が非常に難しいということです。
ベトナムの企業への株式投資ですから、投資するにも英語の財務諸表を読んで分析する必要があります。英語のレベルは関係なく難しいです。日本の銘柄分析ですら難しいですからね。
基本的には、超長期投資としてベトナム株は長いトレンドと捉え、ETFや投資信託に投資するのが賢明だと思います。私は先の経験もあり、手を出さず、他の投資先を探します。
おすすめの新興国株投資方法ーフロンティア・キャピタルという選択肢ー
今まで見てきた通り新興国の分析は手間がかかりますし、
成長力が高い国を見つけても、既に成長を織り込んで割高な水準になっている国が多いです。
また個別銘柄分析を行うにしても、馴染みのない企業を英語で企業分析する難易度は非常に高いです。
私は成長力が高く割安な銘柄に投資を行うことにより、大きな利益獲得を目指している新興国株ファンド、フロンティア・キャピタルへ投資しております。

フロンティア・キャピタルが投資している銘柄の中にはPERが4倍の銘柄や配当利回りが20%のような銘柄に投資しています。
非常に魅力的な銘柄に投資を行うことにより2018年4月の運用開始以降3カ月で16.6%(年率64%)の成績を叩きだしています。
フロンティア・キャピタルについては詳しく纏めていますのでご覧頂ければと思います。
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