新興国株式投資

『タイ株式市場』おすすめ海外新興国投資を経済・国家政策より解説

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これまでも様々な新興国株式銘柄を紹介してきましたが、今回はタイの株式投資を取り上げたいと思います。

タイといえば東南アジアと聞くと真っ先に頭に思い浮かべる人も多いですよね。そんなタイの現状と今後の経済成長の見込みについて書いていきたいと思います。

今回のポイント
  • タイは高齢化が進んでおり、他新興国と異なり労働人口も「ASEANで唯一」下降基調となっている。
  • 救いなのは、中国と同様「農村」の余剰人口が「都市」の労働人口へ転換している最中であること。
  • タイの貿易は日本と似た構造で、原料(資源)を輸入し、最終製品を「組み立てる」産業となっている。
  • ASEAN自体が中国に大きく依存している共同体なので、中国が倒れるとタイも共倒れになるという構造にどうしてもなってしまう。
  • タイ株式市場は投資を検討するとしても、少し中途半端な株式市場。PERは約15倍、高い企業では70倍、配当性向も高くて6%程度と、大きくも小さくもない。
  • タイは経済成長もこれまでボラティリティが激しく、投資対象としては難しく、今後の経済成長も考えると、他の国の市場を狙った方が良いと結論づけられる。

タイの概要

まずは、具体的な話に入る前に、タイの概要を把握しましょう。

タイ・一般概要

国・地域名タイ王国 Kingdom of Thailand
面積51万3,115平方キロメートル(日本の約1.4倍)
人口6,676万人(2013年、出所:国家経済社会開発庁)
首都バンコク(タイ語名:クルンテープ・マハナコーン) 人口852万人(2013年、出所:同上)
言語タイ語
宗教人口の約95%が上座部仏教、その他イスラム教(4%)、キリスト教(0.6%)など

引用:JETRO

タイ・経済概要

項目2017年
実質GDP成長率3.9(%)
名目GDP総額n.a.
一人当たりの名目GDPn.a.
鉱工業生産指数伸び率2.6(%)
消費者物価上昇率0.7(%)
失業率1.2(%)
輸出額235,106(100万ドル)
対日輸出額22,310(100万ドル)
輸入額203,240(100万ドル)
対日輸入額32,037(100万ドル)
経常収支(国際収支ベース)48,127(100万ドル)
貿易収支(国際収支ベース、財)31,866(100万ドル)
金融収支(国際収支ベース)△18,228(100万ドル)
直接投資受入額n.a.
外貨準備高202,562(100万ドル)
(備考:外貨準備高)金、その他含む
対外債務残高148,995(100万ドル)
政策金利1.50(%)
(備考:政策金利)期末値
対米ドル為替レート33.94(バーツ)
(備考:対米ドル為替レート)期中平均値

引用:JETRO

タイの経済成長について

タイの経済を具体的に見ていきましょう。

タイのGDP成長率は近年、3.0%程度と緩やかですが、これが一過性なものなのか、トレンドとして低下しているのか、過去からの推移を見てみましょう。

タイ経済(GDP)成長率引用:World Economic Outlook Database, October 2017を元に筆者作成

見ていただけるとわかると思いますが非常にボラティリティが高いですね。今後のタイの経済成長はどうなるのか?各経済指標を元に見ていきましょう。

タイの人口ピラミッド

まずタイの人口動態です。以下の人口ピラミッドをご覧ください。

タイ人口ピラミッド引用:タイ(人口ピラミッド)

タイは高齢化が進んでいます。他新興国と異なり、労働人口も「ASEANで唯一」下降基調となっています

経済の潜在成長率を構成する「人口」「GDP成長率」がタイは新興国なのにマイナスに寄与しており、投資を考える際に魅力的な市場にはすでに見えなくなっています。

救いなのは、中国と同様、「農村」の余剰人口が「都市」の労働人口へ転換している最中であることです。つまり、「ルイスの転換点」をまだ迎えておらず、タイは現状、農村人口が40%を占めており、まだこの農村人口の転換余地があります。

ルイスの転換点:

1979年ノーベル経済学賞の受賞者であるイギリスの経済学者アーサー・ルイスによって提唱された開発経済学における人口流動モデルの概念で、工業化の過程で農業部門から工業部門への労働力の移行が進み、農業部門の余剰労働力が底をついた段階のこと。

ルイスの転換点以降は、農業部門からの労働力の流入が無くなり、雇用需給が締まり、労働力の不足状態となるため、賃金率の上昇が起き、経済成長のプロセスにおける重要な転換点となる。

引用:ルイスの転換点

タイの産業構造を把握

では現在のタイのGDPの産業別構成を見ていきましょう。

産業別GDPタイ引用:タイ 景気の現状と展望 経済情勢2017

タイの産業構造はバランスが取れており、製造業に関しては外務省の情報を参照すると、主要な輸出輸入製品は以下の通りです。

  • 主要輸出品:コンピューター・自動車・機械器具・農作物
  • 主要輸入品:機械器具・原油・電子部品

タイは日本と似た構造で、原料(資源)を輸入し、最終製品を「組み立てる」産業となっています。中国の賃金が高騰し、タイが製造拠点として世界の工場(東洋のデトロイト)となっていることがわかります。

これについては以下のタイの海外不動産記事で詳しくまとめておりますので参考にしてみてください。

タイの貿易相手を見てみましょう。

タイの輸出入相手国(貿易)引用:タイ 景気の現状と展望 経済情勢2017

輸入は日本が中国に次いで2位となっています。主要なのは自動車や二輪車の部品を日本から輸入、タイで組み立てて、国内で販売、または海外に輸出していることが読み取れますね。タイで有名なのは商社業界ではいすゞ、日野自動車、ヤマハ、ホンダ辺りでした。

最も注目すべきは輸出の割合にしめるASEAN割合の高さですね。

ASEAN自体が中国に大きく依存している共同体なので、中国が倒れるとタイも共倒れになるという構造にどうしてもなってしまいます。

政治面の話を少しすると、タイは2001年に就任したタクシン首相の不正献金疑念や脱税疑念により2006年に退陣に追い込まれ、その後、軍部によるクーデターが発生しました。

タクシン派と反タクシン派の両派で度重なる争いが繰り返され、頻繁な政権交代により政治的な混乱が続いております。結果としてタイの経済政策は方針転換や中断が目立ち、経済成長が鈍化しています。

国の政治が安定しない国は海外からの投資資金が流入せず、経済成長は途端に困難になります。新興国特有の問題ですね。

タイの株式高配当銘柄検討・今後の動向はリスク含み・投資信託とetf購入でおすすめはSBIと楽天証券などネット証券会社

本題のタイの株式投資について考えてみましょう。以下はタイの株式銘柄の一部です。

タイの株株式市場主要銘柄引用:アセアン株式情報

投資を検討するとしても、少し中途半端な株式市場です。PERは約15倍、高い企業では70倍、配当性向も高くて6%程度と、大きくも小さくもないです。

タイの経済成長率は新興国の中では低く、上記で述べたような輸出入先の相手国の偏りや、これからの労働人口の減少、政治面での派閥同士の確執の問題点を加味すると、投資先としては魅力的な市場には見えません。

タイは経済成長もこれまでボラティリティが激しく、投資対象としては難しいですし、今後の経済成長も考えると、他の国の市場を狙った方が良いかもしれません。

タイ株は配当利回りも5%近くの高利回り銘柄があるものの、ボラティリティの面を考えるとそもそも投資対象として厳しいのでは?というのが私の感覚です。

それでもetf購入を進めるのであれば楽天証券、SBI証券などが手間が掛からないのでおすすめです。

ちなみに新興国分析を終えた上で私が選んだのはバングラデシュ不動産です。

それでは、良い投資ライフを。