タイ不動産

『タイ・海外不動産』経済発展のポイント・中間所得層の住宅需要解説

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以前に書いた記事「『タイ・海外不動産』主要購入検討エリア・経済概況・法規制を解説」「『タイ・海外不動産』バンコク市内注目エリア・鉄道延伸工事状況を解説」で、ASEAN5に属するタイへの海外不動産投資の基本情報、バンコク都内のエリア詳細情報について発信してきました。

今回は総括として、

「タイのコンドミニアム投資は魅力的だけど国として今後の経済動向はどうなの?」

「本当に今、投資を実行するべき国なの?」

という点について解説していきたいと思います。

最初に言ってしまうと、タイ不動産への投資はすでに材料が出尽くしており、中所得の罠も近づいているのですでに遅い、

長期で手間のかかるインカムゲイン狙いであり、将来的にはタイへの移住を考えるのであれば良い投資になるでしょう、と私は結論づけています。

今回のポイント
  • タイの今後の経済発展を勘案する上で重要なポイントは「中間層の住宅需要」「自動車産業の伸び」「アジア域内経済のハブ化」の3点。
  • 中間所得層は増加の一途を辿ってきたが、2020年台前半にはほぼ確実に「中所得層の罠」にハマる可能性が高い。
  • タイの自動車産業動向は最大の指標である生産台数が2013年をピークに下降線であり、看過できない状況。
  • 域内経済のハブ化は今後も期待できるが、不動産価格の伸びは短期では限定的。

タイ経済の発展を見据えるにあたり重要なポイント

タイ政府は2018年2月19日に、2017年年間の実質GDP成長率を発表しましたね。2016年のは前年比3.3%の上昇でしたが、2017年も前年比+3.9%の上昇を記録し、5年ぶりの高水準を記録しました。

もしあなたがタイにコンドミニアムを買って、インカムゲイン(少しマーケティングが面倒)であり大きなキャピタルゲインを狙わず、将来的に移住を考えても良いというのであればそれは良い投資になるでしょう。

そのまま長期に運用して毎月のお小遣いとすることもできるかもしれませんしね。そう考えるのであれば、今後のタイの経済動向は常に押さえておかなければなりません。

私自身もタイの不動産は一度は購入を考え、考察してきましたので、助けになればと私の考察をここで公開しておきます。

まずは、タイの経済動向を押さえるにあたり、最優先で把握しておかなければならないポイントは、

  • 中間所得層の住宅需要の動向
  • 自動車産業の発展性
  • アジア域内経済のハブ化の進捗

の3つです。それでは一つずつ解説していきます。

中間所得層の住宅需要の動向

まずは、タイの中間層の推移をみていきたいところですが、なぜ国の今後の経済動向を探るにあたり中間層を見るのか?について一応補足説明をしておきましょう。

中間所得層といえば、一般的には可処分所得が5000USD-34,999USDに属する人々のことを言います。

中間所得層が国の中で増えると、当たり前ですが大きな消費・購買層となると期待されるということなんですね。

人々は消費財も安価なものではなくクオリティの高いものを買い始めたり、家庭には冷蔵庫やテレビが現れ始め、積極的に自動車の購入を始め、さらには住宅をローンなどを組んで購入し始めます。生活水準が上がるんですね。お金が回るってのはいいですね。

このような消費活動が活発になると、経済が大きく回り出すと想像も容易いのですが、長年の歴史を見てみると、そこには落とし穴が存在するのです。

それが「中所得国の罠」ですね。これは内閣府でも重要なトピックスとして認識されています。

「中所得国の罠」とは、多くの途上国が経済発展により一人当たりGDPが中程度の水準(中所得)に達した後、発展パターンや戦略を転換できず、成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷することを指す。

参考:内閣府

ちなみに、「中所得の罠」と言われる水準としては一人当たりGDP10,000USDであり、中国を例に出すと、一人当たりGDPが1,000USDであった時代は不動産価格が急騰しました。

詳細は以下の記事にまとめていますので、興味がある方は読んでみてくださいね。

関連記事:GS・JPモルガンも注目、世界有数の成長市場バングラデシュの経済

それでは、タイの中間所得層の国民全体における割合から見ていきましょう。

引用:Euromonitor

上記の図をみていただければわかると思いますが、タイの中間層は年々上昇を辿り、2020年には72.1%となっております。

すでに2000年の時点で50%を上回っており、嗅覚の鋭い投資家はこの時点で多額の投資を実行済みなのです。

続いてタイの1人当たりGDPの推移を見ていきましょう。

参考:International Monetary Fundのデータを元に筆者が作成

上記の通り、2015年から2018年で1,000USD/人のGDPが急騰しており、2021年には8,000USDを超えていく見通しです。

水準としては2000年が2,000USD/人から18年で4,700USDの成長を達成しており、まさにタイの時代だったと言えるでしょう。

2000年代はGDP成長率が5%を超える勢いでしたが、ここ最近は少し落ち着き、3%前後の動きを見せていますね。

アジア通貨危機から綺麗に立ち直りました。

アジア通貨危機について詳しく知りたい方は別記事でまとめておりますのでそちらをご参照ください。

関連記事:『アジア通貨危機』を読み解く・過去事例で学ぶ新興国投資(前編)

タイの不動産価格自体は、経済成長と連動し上昇してきました。あなたが投資を検討するであろうコンドミニアムの価格は2009年〜2016年で60%を超える上昇を見せてきました。

今後は中間所得層の罠が待ち受けているので大きな価格上昇は時間がかかるであろうと私は考えています。インカムゲイン目的で不動産を持つのは良いかもしれませんが、マネージできれば、という話ですね。(良い管理会社に恵まれれば)

「東洋のデトロイト」を目指す自動車産業

タイといえば、主に「輸出」でアジア通貨危機を乗り越え経済発展を果たしました。

2000年のITバブル崩壊や2008年のリーマンショックなどの影響を 受けた時期以外は概ね成長を継続してきましたが、2015年には歴史的な干ばつなどの影響もあり、農作物の輸出が不振に終わり、マイナス成長をついに記録してしまいましたね。

引用:INTERNATIONAL MONETARY FUNDのデータを元に筆者が作成

先の見通しとしては、すでに成長率の加速は終わっており、横ばい、もしくは低下が予想されています。

タイはASEAN地域の中でも高度な工業化が進行しており、タイ政府は自動車産業を国づくりの柱と捉えています。つまりは「製造業の輸出」を本格的にやっていきますよ、ということですね。国外の自動車メーカーに税制優遇を提供して外資の誘致に躍起になっていました。

その政策が功を奏し、外資系自動車メーカーの進出は進みました。タイに進出した企業は主に以下のような有名企業ですね。

  • TOYOTA
  • 本田技研工業
  • 日産自動車
  • GM(ゼネラルモーターズ)
  • BMW

「イースタン・シーボード工業団地」というバンコク付近にある地区には、200社以上の企業が入居していますが、その半数以上が自動車関連企業となりまして、自動車産業といえばこの地区、といった拠点になっています。

引用:タイ工業団地特集

これは商社にいた時代に自動車業界の事業投資も担当していた経験があるのでわかるのですが、自動車メーカーにはお抱えの部品会社が必ずいるので、例えばトヨタ、日産などが海外に進出するとなれば部品メーカーもこぞって進出するんですね。

一大プロジェクトとして捉えられるわけです。その結果現地駐在員は急増し、現地人も採用するわけですから現地雇用にも恩恵があるわけですから、ある程度の成長を遂げた国は必ず自動車メーカーの誘致に力を入れるわけです。中間層も増えれば現地での購買力も増すので経済の伸び代を後押しするのです。

近隣国への輸出にも力を入れることになりますので、もちろんFTA(経済連携協定)を締結していくことになります。

結果的にタイは2000年には「経済成長率」を示す一つの指標である「自動車生産台数」が約40万台でしたが、2017年には約200万台まで伸びております。(ちなみに2013年の240万台がピーク)タイ製造業は圧倒的な成長を遂げましたが、生産台数の増加に関しては少し低速感がある状況です。

今後も伸びるか?という点に関してはGDPの推移からしてそろそろ「中所得層の罠」にぶち当たり、生産台数の伸びも鈍化しているので私としては少し悲観的です。

参考:MARK LINESのデータを用いて筆者作成

同じような政策にロシアのトヨタなどに対する優遇税制、ブラジルの日産自動車への工場用の土地の譲渡などなど他にも例がありますね。

自動車業界のCKDやSKDの話もしたいところですが、さすがに長くなるので控えます。(笑)

タイは域内経済の「ハブ化」は更なる繁栄をもたらすのか

ご存知の通り、タイはASEAN5の一角を担っており、インフラ整備が進んでいる国ですので、ASEAN経済圏の産業、物流のハブ地域(関税撤廃)としてさらなる繁栄が見込まれるだろうと見られていますよね。

国が他国に「ハブ化」するというのは非常に重要です。ドバイの例が参考になりますね。

◆中東・アフリカ地域の物流ハブを目指して

1985年にはドバイを本拠地とする「エミレーツ航空」が創設されました。航空機2機だけで最初の航路を飛行したエミレーツは、現在では126機を所有し、世界で61か国、101以上の目的地に飛行(エミレーツ航空ウェブサイトより)するまでに急成長しました。

これに伴い、ドバイ国際空港の拡充整備にも着手。2008年には第3ターミナルが完成し、年間約7,000万人の旅客需要に対応できる中東・アフリカ地域のハブ空港として、ドバイの経済発展を支えています。

また、ジャバルアリー・フリーゾーンの近くには、滑走路6本を有する新しい巨大空港の建設も進められており、完成すれば、空と海の物流が10分でつながる世界最大の物流ハブが誕生することになります。

引用:外務省

ドバイは1985年から国際空港の拡充整備にも着手し、GDPの成長率を底上げしていきました。(中東・北アフリカの2016年GDP成長率は世界平均1.4%に対して3.2%)2014年にはヒースロー空港を抜き国際線利用者世界一となり、人の動きを捉えていますね。「ハブ化」で飯を食っていると言っても過言ではありません。

引用:三菱総研ドゥバイ概況

これをタイに当てはめてみると、タイという国はロケーションが「インドシナ半島の中央」であり、ASEAN経済圏において大きなプレゼンスが期待できるということですね。

これに関しては経済繁栄はあるとしか言いようがないですね。間違いなくあります。

例えばミャンマーと接している「カンチャナブリ」の地価が急上昇していたり、ラオス国境沿いに位置する「ムクダハン」も同様に地価が上昇しています。

基本的にはミャンマーやカンボジアなどに人件費の安い工場作業は流れますが、高付加価値は製造業がタイに残る方向で海外からの投資や現地環境整備も推進されていますね。

不動産価格もこれから「大幅な」価格上昇は無いものの、まだ多少のキャピタルゲインは狙えると言ったところでしょうか。すでに材料は出尽くし感があるので、2018年に投資するというと、少し遅いかもしれません(基本的に投資は人が気づく前に実行しないと大幅なゲインはありません)

総括

ここまでタイの概要、バンコクエリア別詳細など私がタイへの投資を本気で検討していた頃の知識をオープンにしてきました。

本件のような投資は、インカムゲイン目的となりますので、基本的には現地に赴いて、物件を入念な調査をした上で決定し、優秀な不動産管理会社と契約できれば問題ないでしょう。移住まで考えているのであればほぼ完璧です。

蛇足ですが、現地に赴く際は、できるだけ不動産観光ツアーなどではなく、自分の足で確かめるようにすると良いでしょう。

当たり前ですが、都合の良いところしか見せてもらえず、投資の方向に走ってしまうからです。正直海外不動産でインカムゲイン狙いの投資は手間がかかりすぎる、且つ、物件選定、入居者募集のマネジメントに手がかかりすぎるので、積極的なオファーが不動産会社からくるので私は投資実行には至りませんでした。

もっと、短期、効率的な投資を常に探しているからです。他記事でも紹介しているバングラデシュへの投資などですね。

それでは。