日本にも複数の独立系投信が存在しています。
独立系投資信託は販売から投信の組成から運用まで一括して担います。
前回は「ひふみ投信」についてお伝えしてきました。
→ 評判のひふみ投信を徹底評価- 今後も株価が順風満帆とは限らない?-
本日は前回のひふみ投信に続き、独立系投資信託として有名なさわかみ投信について紹介していきたいと思います。
運用哲学・成績や手数料形態、更にはひふみ投信との比較を通して分析していきます。
Contents
さわかみ投信とは?

さわかみ投信とは1999年から運用を開始した日本の独立投資信託の先駆けとです。
「さわかみ投信」の形態と設立社である澤上氏とはどのような方なのか?
また、さわかみ投信の運用方針について見ていきましょう。
ひふみ投信と同様の独立系投資信託
通常の投資信託は運用会社と販売する会社が異なります。
例えば運用会社は野村アセットマネジメントで、販売会社は大手メガバンクのように主体が異なります。
一方、さわかみ投信もひふみ投信と同様で運用から販売までを一貫して行う独立系の投資信託です。
関係者が多くなればなるほど手数料が高くなる傾向にあります。販売から運用までを一貫して行うのは投資家にとってもメリットであるといえるでしょう。
澤上氏ってどんな人?

現在の社長澤上龍氏の父である現会長の澤上篤人氏によって設立されました。
澤上氏もひふみ投信の藤野英人氏と同様金融エリートとしての道を歩んできました。
当時隆盛を誇っていた山一證券やスイス・キャピタルインターナショナルのアドバイザー等を経験。
その後、1980年~1996年までピクテ銀行の日本代表を経て1996年にさわかみ投資顧問株式会社を設立、その後1999年にさわかみ投信の運用を開始しました。
さわかみ投信の運用哲学
さわかみ投信の運用哲学は、ひふみ投信同様長期投資に資する投資信託を作ることとなっています。
以下「さわかみ投信」のHome Pageの運用理念をご覧ください。
「一般家庭の財産づくりを本格的な長期投資でお手伝いしたい」この創業の理念のもと、私たちは「さわかみファンド」1本だけを運用しています。そもそも財産づくりは時間のかかるものです。だからこそ時代やトレンドに合わせて商品を増やすのではなく、どのような時代でも安心いただける一本に全力を投じているのです。
引用:さわかみ投信HP
さわかみ投信の運用方針
さわかみ投信の運用方針は割安株投資です。
しかし、「さわかみ投信」のこれは私が以前分析したベンジャミン・グレアム氏によって開発されたネットネット株とは異なる運用手法です。
さわかみ投信のホームページで触れられている運用方針についてまずはご覧下さい。
『さわかみファンド』は、経済の大きなうねりをとらえて先取り投資することを運用の基本とし、その時点でもっとも割安と考えられる投資対象に資産を集中配分します。そのなかでも市場価値が割安と考えられる銘柄に選別投資し、割安が解消するまで持続保有する「バイ・アンド・ホールド型」の長期投資を基本とします。
引用:さわかみ投信運用方針
経済の大きなうねりというのはリーマンショックのような景気循環で相場が下がっている局面で最も安いと考えられる株に投資を行って、
適正価格になるまで保有し続けるという戦略です
イメージすると以下の通りとなります。

さわかみ投信の運用成績
それではファンドにとって最も重要な過去からの成績について紐解いていきましょう。
さわかみ投信単体の成績
以下は「さわかみ投信」の基準価格の推移は以下となります。
20年間で2.5倍という数値は年率に直すと5%という水準で正直物足りないなという感は否めません。
特にリーマンショック期直前に投資した方は10年経過して1.3倍にしかなっていません。
途中資産が半額になった期間が3年間もあることを考えると、リーマンショックの影響をもろに受けているのです。
落胆もあってか、青線の総口数つまり顧客数は減少の一途を辿っています。
おそらく、この間異常に高い成績を出していたひふみ投信に乗り換えた方が多いのだろうと想定されます。
市場平均TOPIXとの比較
さわかみ投信も市場平均と比べてプラスの成績を求めるアクティブ型の投資信託ですので、市場平均に対してどれだけのリターンを得られているのかを確認する必要があります。
青:さわかみ投信 ピンク:TOPIX

参照:Yahoo finance
TOPIXがリーマンショック時から現時点で85%のプラスになっているのに対して、
さわかみ投信はリーマンショック時は同様に下落したものの、
そ後はTOPIXに対してプラスのリターンをたたき出し110%のプラスを達成しています。
アクティブ型の投資信託としては優秀な成績を収めているということができます。
運用方針の通り安いとき、つまりうねりの底で確りと株を仕込めていたのでしょう。
運用方針の通りの結果を出せているといえますね。
ひふみ投信との比較
では同じく日本株を投資対象としている「ひふみ投信」と比較したグラフが以下になります。
緑:ひふみ投信 青:さわかみ投信 ピンク:TOPIX

ひふみ投信の素晴らしい成績に対してかなり霞んでしまっていますね。リーマンショック時に無傷で乗り切ったひふみ投信と大きな差が出ています。
また市場上昇局面もひふみ投信の方が上手く捉えていますね。
ただ「ひふみ投信」も直近は運用規模の急速な拡大に伴って、本来の超小型~中小株銘柄投資から大型銘柄偏重型の投資になってきています。
結果としてこの1年間はひふみ投信はTOPIXやさわかみ投信に若干の優位性があるものの同様の動きをしていることが見て取れます。

【参照】
評判のひふみ投信を徹底評価ー運用手法・成績・手数料・リスクを暴くー
データでリスクリターンを紐解く
今まで視覚化したチャートでリターンをみてきました。
さわかみ投信 | ひふみ投信 | TOPIX | |
過去1年 | 14.75% | 22.81% | 15.21% |
過去3年(年率) | 5.90% | 11.83% | 4.27% |
過去5年(年率) | 5.17% | 12.22% | 4.11% |
過去10年(年率) | 7.56% | 15.39% | 6.11% |
さわかみ投信も、ひふみ投信には劣るもののTOPIXを安定的に上回り続けていますね。
次にリスクについて見ていきましょう。
リスクは以前以下の記事で
→ ハイリスク・ハイリターン投資より確実に儲かるローリスク・ハイリターン投資先を紹介!
リスクに関しては以下となります。
さわかみ投信 | ひふみ投信 | TOPIX | |
過去1年 | 15.97% | 13.42% | 12.24% |
過去3年(年率) | 14.25% | 15.22% | 12.88% |
過去5年(年率) | 15.76% | 15.07% | 15.52% |
過去10年(年率) | 17.06% | 15.12% | 16.50% |
「さわかみ投信」は「ひふみ投信」や「TOPIX」よりもリスク値が高くなっています。
リスク値が高いということは価格の振れ幅が大きいということを意味します。
例えば過去5年の「さわかみ投信」の年率平均リターン5.17%と年率平均リスク15.76%から予想される次の1年のリターンは以下の通りとなります。
【約68%の確率】
▲10.59% (=5.17% – 15.76%) 〜 +20.93% (=5.17% + 15.76%)
【約95%の確率】
▲26.35% (=5.17% – 15.76%×2倍) 〜 +36.69% (=5.17% + 15.76%×2倍)
【約99.7%の確率】
▲42.11% (=5.17% – 15.76%×3倍) 〜 +52.45% (=5.17% + 15.76%×3倍)
さわかみ投信の手数料
さわかみ投信もひふみ投信同様購入手数料は無料のノーロード型の投資信託です。解約手数料もありません。
信託手数料については年率1.08%という水準で、一般的なアクティブ型の投資信託の中では低い水準で「ひふみ投信」とは同水準となっています。
一方ひふみ投信のように長期投資家に向けて手数料を実質的に減免するような制度は敷かれておりません。
長期投資を行うという観点でいうと、手数料の面でもひふみ投信に軍配があがりますね。
さわかみ投信の購入方法

さわかみ投信の購入方法は最初に申し上げた通り、独立系の投資信託であるため証券界者経由ではなく、直接さわかみ投信から購入する必要があります。(⇒公式HP)
スポット購入は1万円から購入可能
定期積立は毎月1万円以上から1円単位で購入可能
となっています。
おすすめの国内ファンド
今回紹介したさわかみ投信と、比較のために用いたひふみ投信ともに市場平均に対してプラスの成績を残している投資ファンドであるが、下落耐性が弱いという欠点があります。
資産をできうる限り減らすことなく、毎年10%程度の利回りを達成するのであれば、私も取り入れているBMキャピタルがおすすめです。
以下にBMキャピタルの特徴について纏めていますので、参考にして頂ければと思います。
【参照】
【国内ヘッジファンド】BMキャピタルの運用手法・利回りを長期投資家目線で徹底解剖
国内ファンドに限らず海外投資も含めたおすすめの投資先についても纏めていますので、こちらもご覧頂ければと思います。
☟全体のおすすめ投資先ランキング