新興国株式投資

『ロシア株式市場』おすすめ海外新興国投資を経済・国家政策から徹底解説

これまでも様々な新興国株式市場について解説してきましたが、今回はロシアを取り上げたいと思います。

ロシアの概要

まずはロシアの今後の成長可能性を把握するために概要を押さえておきましょう。

ロシア一般概要

国・地域名ロシア連邦 RUSSIAN FEDERATION
面積1,712万5,000平方キロメートル(日本の約45倍)
人口1億4,680万人(2017年1月1日現在、出所:ロシア連邦国家統計局)
首都モスクワ 人口 1,238万664人(2017年1月1日現在、出所:同上)
言語ロシア語、他各民族語
宗教ロシア正教、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、仏教等
公用語ロシア語
主要民族ロシア人、タタール人、ウクライナ人、バシキール人、チュバシ人等
主要都市サンクトペテルブルク、ノヴォシビルスク、エカテリンブルク、ニジュニノヴゴロド、カザン、チェリャビンスク、オムスク、サマラ、ロストフ・ナ・ドヌ、ウファ、クラスノヤルスク、ペルミ、ヴォロネジ、ヴォルゴグラード

引用:JETRO

人口は日本の45倍の土地を持ちながら、約1億5000万人は少ないですね。

ソ連時代は2億8000万人と2倍の水準でしたが、今はとても人口密度が低いです。

ロシア経済概況

項目2017年
実質GDP成長率1.5(%)
名目GDP総額92,082(10億ルーブル)
一人当たりの名目GDP10,680(ドル)
鉱工業生産指数伸び率1.0(%)
消費者物価上昇率2.5(%)
失業率5.2(%)
(備考:失業率)ILO基準
輸出額357,083(100万ドル)
(備考:輸出額)通関ベース
対日輸出額10,501(100万ドル)
(備考:対日輸出額)通関ベース
輸入額226,966(100万ドル)
(備考:輸入額)通関ベース
対日輸入額7,761(100万ドル)
(備考:対日輸入額)通関ベース
経常収支(国際収支ベース)35,173(100万ドル)
貿易収支(国際収支ベース、財)114,982(100万ドル)
金融収支(国際収支ベース)38,747(100万ドル)
直接投資受入額27,886(100万ドル)
(備考:直接投資受入額)フロー、ネット
外貨準備高432,742(100万ドル)
(備考:外貨準備高)金を含む、期末値
対外債務残高529,084(100万ドル)
(備考:対外債務残高)期末値
政策金利7.75(%)
(備考:政策金利)期末値、1週間物入札レポ金利
対米ドル為替レート58.33(ルーブル)
(備考:対米ドル為替レート)期中平均値

引用:JETRO

一人当たりGDPが10,680ドルとちょうど中所得国の罠に差し掛かった段階であり、今後の産業のシフトが経済成長には大きな影響を及ぼしますね。

ロシアの政治とロケーションリスク

ロシアといえば政治です。

2000-2008年、2012-2018年と長期に渡り大統領に就任しているプーチン大統領の支持率は2014年3月の「クリミア・セヴァストポリの編入」後、一気に信頼を高め、国民の80%以上の支持率を誇ります。21世紀はロシアはまさにプーチンの時代です。

実績も収めており、第一期政権時にはロシアのGDPを「6倍」とし、国民の支持を集めています。今年の大統領選でも得票率76%でプーチンが圧勝し、6年後の2024年まで大統領を歴任することになりました。日本とは異なり、圧倒的なリーダーがいる国、ロシアですね。

さらにロシアといえば「経済制裁」という言葉をよく聞きます。ウクライナ問題ですね。同問題は複雑すぎるので別記事で解説したいと思います。

簡単にいえば、ウクライナ問題とはウクライナのクリミナ半島で「親ロシア派」「ロシア」が多く、その地域にロシアが軍事介入(編入)をしていることが問題になっているのです。

米国や欧州連合(EU)、日本この点を指摘、編入に関わった人物や企業を特定して資産を凍結したり、取引を禁止したりする経済制裁を課し、まだ解除されていません。

ここからは経済に話を移していきましょう。

ロシアの経済成長率

ロシアの経済成長率をみていきましょう。

2017年ロシアGDP成長率引用:World Economic Outlook Database, October 2017

ロシアの経済の過去の推移として、1990年代の混乱を乗り越え、2000年代は「構造改革」で成果を出し、同時に「資源価格の高騰」に乗り、一時は10%、その後も5%-8.5%の経済成長をしていました。

2008-2009年の世界金融危機と資源価格の下落によりマイナス8%の経済低迷を経験し、その後もロシアの太客とも呼べる中国の経済減速を受け、2010年代も苦しんできました。

2017年にして漸くプラス成長に乗せたというところですね。ロシア経済はなかなかドラスティックな動きをしてきました。

ロシアの人口ピラミッド

毎回同様ですが、今後の経済成長の指針となるロシアの人口ピラミッドをみていきましょう。

ロシア人口ピラミッド引用:ロシア(人口ピラミッド)

フィリピンやインドのような新興国と同様の理想的な形とはなりません。25-34歳の若年層の労働人口が一番大きな割合を占めており、15-24歳を除けば若い世代の比率が微妙に大きくなってきてはいるので少し安心はできるのですが、2020年代以降の総人口は重い年配層の比率を考えると減少していくかと考えます。

「人口の減少」は投資を考える際に手を出してはいけない市場の代表格となりますから、ロシアはその傾向があるということは頭に入れておきましょう。人口ピラミッドも将来的には日本と似た構造になっていくような気がします。

ロシアの産業構造

上記では経済成長をみてきましたが、続いてロシアの産業構造をみていきましょう。

ロシアGDP産業構成引用:国連 National Accounts DB

上記の経済成長率について解説した時に「資源価格」の上昇と下落の話をしましたが、ロシアが抱える課題がまさに資源価格に頼った経済環境です。

総合商社勤務で私が感じるのも、ロシアといえば資源、ロシアの会社と提携するのであれば石油、といったようなビジネスになりますし、ロシア自体が世界有数の天然資源大国でもあることから仕方ない部分はあります。

以下はロシアの歳入の内訳です。

ロシア連邦財政の推移引用:みずほ総合研究所

上記のグラフを見ていただければと思いますが、ロシアは歳入の約半分(青い部分ですね)を原油・天然ガスの輸出税・採取税に頼っており「原油価格の低迷」は即財政赤字に直結します。

輸出データを見ても、石油・天然ガスのシェアが50%を超える水準ですね。

ロシア石油・天然ガス関連輸出額(シェア)引用:外務省

2015年は原油価格が暴落し、石油・ガスの収入が前年比20%の下落、財政収支はGDP比▲2.8%の赤字に転落し、苦しい状況に追い込まれました。

少し、ロシアの財政収支の話をここでします。ロシアの場合、財政が資源価格に振り回されることを考えると、資源価格次第ではデフォルトも意識され、外国からの投資資金も引き上げられ、株式の下落にも繋がります。

上記グラフの財政収支を見ていただけるとわかるのですが、経済成長率と並行して、資源価格が下落し始めた2013年当たりから低迷が加速しています。

ロシア原油先物価格の推移引用:ドイチェ・アセット・マネジメント

ロシア政府の債務の対GDP比はまだ17%と低い水準であり、火急で経済環境を改善しなければならない状況という訳ではなく、中国のように政府債務に問題なくとも、民間の債務が大きくなってしまっているという問題がある訳でもなさそうですのでここは少し安心です。

以下はロシア国債の外国人保有率ですが、上昇傾向ですね。

非居住者保有残高・比率例えば、日本は非居住者の保有比率が5%ですがロシアは25%を超えています。外国人保有比率が高いと、原油価格次第では外国人投資家が資金を引き上げる可能性もあり、ロシア国債が売られ金利上昇・財政悪化の一途を辿り、デフォルトに向かっていくリスクがあります。

ロシアのGDPが上昇する要素

ロシアの通貨であるルーブルの価値が2015年の原油価格暴落と連動して下落したことは記憶に新しいですね。強いインフレが発生し、国民の消費が大きく落ちました。

原油価格とルーブル相場引用:みずほ総合研究所

ロシア中央銀行は当然、過度なインフレを抑えるために政策金利を上げ、投資も減少しました。以下の図の黄緑色の部分ですね。

ロシア実質GDP成長率及び需要項目別寄与度の推移引用:経済産業省

2017年にようやくインフレも落ち着き、政策金利の利上げも実施し経済も国民の消費活動が回復、投資も徐々に増加し復活しつつあります。

ロシア通貨・ルーブルの為替市場とマクロ経済の関係

上記の図をもう一度以下に掲載します。

原油価格とルーブル相場

青い目盛りがロシア通貨のルーブル(=RUB)と米ドルの為替、赤い目盛りがブレント原油価格の推移になります。2016年度まで連動しているのがわかりますね。世界中の為替トレーダーも原油価格の動向を見ながらトレードしていました。

2016年の3月以降、2017年度にRUB/USDの推移が、原油価格を上回っていますね。要員としては、先進国を始めとした新興国市場に資金が流入していることが挙げられます。

少し複雑な話になりますが、日本・米国・欧州など世界の主要中央銀行が金融緩和的政策で余剰となっているマネー運用を考えた時に、ロシアを始めとした「高金利の新興国市場」に流入させました。

つまりはキャリートレードすることを考えた訳です。結果的に原油に関係なく動くお金が流入し増えたということですから、当たり前ですが原油価格と乖離しました。株式、債券の購入にはまず現地通貨を買う必要がありますからね。

このように新興国に投資をする場合は、一つの国の政策や主要指標、ロシアであれば原油価格を見るだけで良いと考えてしまいますが、世界の主要国の政策を把握するというマクロな視点が必須になります。

個人で為替のヘッジをスワップなど利用して実行することも可能ですが、コストが高すぎるので、マクロ経済を分析し、投資を実行する方がはるかにコストパフォーマンスが良いでしょう。

ロシアの国際収支

国際収支について少し定義を確認しましょう。

「国際収支」とは外国との取引の結果が「黒字」or「赤字」なのかを示す指標です。

国際収支=経常収支+資本収支となりそれぞれの定義は、

  • 経常収支:外国と物やサービスを取引した結果の収支
  • 資本収支:外国と投資・融資をやりとりした結果の収支

となります。

それを踏まえて、最初にロシアの国際収支を見ていきましょう。

貿易収支並びに資本金融収支

資源大国であることから、原油価格が下落しても黒字を維持していますね、と言いたいところですが、ルーブル安(原油価格に対してアウトパフォームしていてもまだまだ安い)が大きく貢献していることは間違い無いでしょう。

資本金融収支はロシアの富裕層が資金を海外にキャピタルフライトし、それに乗じて海外投資家も資金を引き上げましたのでマイナスとなっています。海外投資家のマネーは短期投資だったということがよくわかります。

ロシアの株式市場は割安水準

最後に株式市場です。

ロシア株のPERは現在8倍という他新興国と比べても非常に割安な水準です。資源価格が据え置きであり、経済制裁の解除の見通しも立っておらず、割安な水準で放置されている状況です。

割安といえども経済成長率も低く、今後の見通しも明るいものではなく、投資対象としては考えものです。

それでは良い投資ライフを。

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