日本不動産投資の基礎

スマートデイズ『かぼちゃの馬車』にみるサブリースの落とし穴を解説

前回の記事「船舶業界発祥ビジネスモデル『不動産サブリース』検討事項を解説」にてサブリースを開始するにあたっての検討事項などを解説してきました。

今回はサブリースを主なメインビジネスとしていた「スマートデイズ」の破綻(4月19日の民事再生手続開始)を例に、サブリースは本当に参入すべきビジネスなのかについて書いていきたいと思います。

今回のポイント
◉ スマートデイズのビジネスモデルは投資家より不動産を一括借り上げ、入居者を募集し家賃収入を得ることに加えて企業への人材斡旋にて収益をあげるというもの。
◉ 2017年3月期には売上は約317億円と好調(に見える)も同年10月には投資家に対し賃料減額交渉開始、明くる年1月には入居率が50%以下であることが判明。
◉ 建築会社、土地販売会社、スルガ銀行と結託してのビジネスモデルであったことが明るみに出る。
◉ 総合面で考えると、サブリースは初期に運営会社の実態を把握する手間も大きく、加えて現在の日本のマーケットを勘案すると合理的な選択肢であるとは言い難い。

スマートデイズ「かぼちゃの馬車」のビジネスモデル

まずはスマートデイズとはどんな会社だったのかを解説していきます。簡単にビジネススキームを作ってみましたので順に把握していきましょう。

Business scheme

著者作成のスマートデイズビジネススキーム

スキームを見てみればわかると思いますが、スマートデイズは「投資家(不動産オーナー)からシェアハウスを一括で借り上げ、入居者を募集し家賃+就職斡旋の紹介料を得る部分が収益の要となっていました。

コンセプトとしては、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営し、就職サポートまでついて来るのが強みであるビジネスですね。

スマートデイズが投資家にこのビジネスモデルを説明し、サブリースを提案してきました。

収益源としてはこの他にも「建築会社」「土地販売会社」からのキックバックも十分に考えられるので、実際は非常に優れたスキームと言えます。

スマートデイズはなんとこのスキームで30代〜50代のサラリーマンをメインとし700人以上もの投資家を集めたそうです。

同社の投資の誘い文句はサブリースお決まりの「高い家賃を30年間保証します」というものでした。

ここまで投資家の数を集めるのは並大抵のことではなく、企業への人材斡旋も含むビジネスモデルの魅力に加え、昨今テラスハウスなどでシェアハウスの認知度が上がり「流行っている」と認識されたことも大きな要因でした。

何よりも「上京したての女性の就職支援は社会貢献である」という言葉に心動かされた投資家も少なくないでしょう。勧誘文句も非常に優れていますね。

宣伝もCMなどでタレントさんを起用しており相当力を入れているビジネスだったのでしょう。(不倫騒動後のベッキーさんを起用というのは少しあれですが)

「かぼちゃの馬車」破綻まで

サブリース+人材斡旋業を運営していたスマートデイズは2012年より同ビジネスを開始し、2017年3月期には売上高が約317億円まで拡大していました。「テラハブーム」に乗ったと言えるでしょう。(広告宣伝費などが嵩んでいるはずなので実際は「利益」に着目する必要があります)

しかし、昨年10月より投資家に対して賃料減額を要請し、2018年に入り開催した1月の説明会では1月以降の賃料支払いが厳しいと通知しました。

スマートデイズの運営実態としては、入居率が50%に満たないと説明がなされたようです。

しかし、サブリースでも特に、会社勤めのサラリーマンが1棟買いなどをしてしまっていると、運営を管理会社に任せ切らなければなりません。

すでに50%以上も空室が続いているスマートデイズに頼り切るというのもリスクが高い気がしますが、それでも今のところ大半の投資家はこのような説明を受けていても委託を続けたようです。

投資家の中には50代の企業勤務女性で3棟を購入して3億4000万円ほどのローンを組んだ者もいたそうです。

そもそも融資を行なっているスルガ銀行の審査の甘さも指摘するべきところであることも認識しておかなければなりません。

今回のビジネススキームに関しては「スマートデイズ」「スルガ銀行」「土地販売会社」「建築会社」がグルであったことは間違い無いでしょう。

しかし、私が感心するのが、ここまで関係者を巻き込んでビジネスを確立してしまったスマートデイズの手腕ですが、事業を生み出す「事業家」としては1流だったものの、事業運営して付加価値を増やしていく「経営者」としてはまだまだ力不足だったのでしょう。

結果的に、スマートデイズは投資家への賃料支払いが滞り、4月9日に東京地方裁判所に対し、民事再生手続を申し出ました。

スマートデイズ支払い能力無しとなった今、投資家はどうすればよいのか?

スマートデイズの運営が継続できなくなった今、投資家は他のサブリースを実施する不動産会社に管理委託するか、建物・土地ごと売却してしまうしか手段は残されていません。

自分で運営するというのもサラリーマンである以上は難しいでしょう。Airbnbで民泊で小銭を手にする程度かと思います。

しかし、今回の「かぼちゃの馬車」に関してはシェアハウスであり、ワンルームのアパートとは状況が全く異なります。

そもそもスマートデイズが運営しきれなかった物件をサブリースしたいと考える不動産会社など限られており、売却するにもキャピタルゲインを得られるような物件では無いことはスマートデイズが証明してしまいました。

そのまま放置していてもスルガ銀行への借り入れ返済もありますし、不動産の価値も下がっていってしまいます。八方塞がりとはこのことですね。

実際に、4月現在、110人の投資家が「スルガ銀行・スマートデイズ被害弁護団」と相談を続けており、融資契約の白紙撤回をスルガ銀行に交渉していますが、同行は取引は有効という回答を出しています。

刑事手続となり、長い長い裁判が始まりの予感です。泥沼ですね。これから投資家が徒党を組んで集団訴訟になることは明白なところです。

スルガ銀行の融資審査の実態

今回スマートデイズで注目を浴びてしまったスルガ銀行ですが、同行は予てから積極的に不動産投資向けの融資を実施してきました。

金利を高め(3.5%-4.5%など)に設定し、借り入れが難しい相手でも融資を実行し、スマートデイズ以外の案件を含めると実に1,000人以上に融資してきたという見解があります。

スマートデイズ向けの投資家への融資については行内で審査の際の提出書類の改ざんがあったと言われており、その実態に目も当てられない状況です。

あまりにも酷い現場の実態に、また不正疑惑の報道もあり、スルガ銀行は独自調査を開始し、金融庁も銀行法に基づく報告徴求命令を下しました。

サブリースの危険性の再認識

ここで不動産のサブリースのリスクについて再認識しておきましょう。

まず、不動産会社が積極的にサブリース営業を仕掛ける相手は30代以降の貯金がまとまり始めた年代のサラリーマンの方々です。

「家賃30年保証」「投資するだけであとは全てお任せ」と顧客に甘い言葉をかけ、距離を縮めてくるでしょう。

サラリーマンとしては安定企業にいれば融資も受けやすく、手間もかからずに儲けられるのであれば、興味が無い方が不自然です。

加えて今回のようなスマートデイズのように家賃保証+人材斡旋業という社会貢献色も出し、投資家にYesと言わせる施策もきっちり話していくのは、同社の高いスキルではありますが、投資家の方々はこれを鵜呑みにせず、独自に市場環境、トレンド、企業経営者の資質を見抜く必要があります。

今回のかぼちゃの馬車の例で言えば結託している企業まで把握しなければならないことになりますよね。

その点は繰り返しになりますが、口うるさく前回の記事「船舶業界発祥ビジネスモデル『不動産サブリース』検討事項を解説」で述べた通り、一つ一つの検討事項を入念に調査しなければなりません。

結論としては、これらのことを踏まえるとサブリースは投資実行前の初期段階に非常に手間がかかります。ここが「投資してあとは任せておけば終わり」と言われているサブリースの落とし穴であるとも言えるのです。

そもそも、これから世界で占めるGDPのパーセンテージが縮小していく、人口減少の日本で不動産投資をすることは合理的では無いと私は考えております。

以上、スマートデイズを例にしたサブリースの実態説明でした。

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