こんにちは、YOSHITAKAです。
今回は注目がさらに大きくなってきたREIT(リート)の「不動産証券化」の仕組みを解説していきたいと思います。
まずJ-REIT(Japan・リートですね)とは多くの投資家から資金を集め、
- オフィスビル、
- 商業施設、
- マンション、
などなど、複数の不動産を購入、その「賃貸収入」(インカムゲイン)や「売買益」(キャピタルゲイン)を投資家に分配していく商品となります。
これが不動産投資の「証券化」となりますね。
元々「REIT」の仕組みは米国で生まれました。
REITの語源は「Real Estate Investment Trust」の頭文字を取ったものですね。
以下は簡単に図にしたものです。
引用:投資信託協会
それでは、もう少し詳細に、投資家がJ-REITを通して不動産投資する際に気になる、
「J-REITはどのような不動産を選ぶのか?」
「そもそもどのようにして証券化しているのか?」
という点を解説していきます。
Contents
REIT・証券化の対象となる不動産とは?
不動産は「証券化」という手法を使うことにより売買がし難い状態のものを売ることを容易にできますが、全ての不動産がそれを可能にするわけではありません。
証券化が可能な不動産は、
「キャッシュフローを生み出している、または生み出すことが見込まれる」
ことが大前提となります。
上記でも述べましたが、不動産が生み出すキャッシュフローといえば、
- 賃貸収入、
- 売却利益、
の2つですよね。
不動産が生み出す将来のキャッシュフローが安定的であればあるほどそれは証券化しやすい不動産であり、その逆は証券化が難しくなります。
証券化期間中に毎期の賃貸収入が「安定的」に得られ、証券化期間満了時における売却が「容易」な不動産であることが条件となります。
例えば、
- 賃貸オフィス、
- 賃貸マンション
の2つは証券化しやすい不動産の代表例となります。
反対に土地は証券化が困難となります。
では、この点をさらに深掘りしていきましょう。
証券化期間中の賃貸収入
証券化期間中の賃貸収入(インカムゲイン)とは要するに、期待収益の予測可能性と安定性のことを指します。
具体的な条件として、
- テナント退去後も後継テナントの誘致が容易である
- テナントの長期的な継続入居が期待できる
- 不動産にトラックレコートが残されている
の3つです。
特に、①と②のいずれかは必須と言えるでしょう。あなたがREIT投資をする際はJ-REITがこの条件を元に不動産を選んでいるかを確認する必要があります。
テナント退去後も後継テナントの誘致が容易である
テナントのニーズが多ければ賃料相場が把握しやすいという点があります。
例えば、駅からの距離が近く、建物の汎用性が高いもの、築年数が浅い新しいもの、また、設備や仕様に優れ、グレードが高く、オフィスビルであれば、規模の大きいものがより優れたREIT投資の対象となるでしょう。
テナントの長期的な継続入居が期待できる
もし、上記の条件に合致しない場合、該当するテナントの信用力が重視されることがあります。
例えば、賃貸借契約期間の長いものの方が、賃貸収入は安定しますよね。
オフィスや住宅の賃貸借契約は、期間2年程度、賃借人からの一定期間の退去予告により解約できる旨の条項が定められていることが一般的となります。
賃貸借期間が短いと、賃料収入が予測しづらくなります。
長期の契約期間とする、賃料減額不可条項を付ける、中途解約禁止条項や中途解約時のペナルティ条項を付ける、マスターリース会社による賃料保証を使うなどして、賃料収入の安定化を図ると証券化をしやすくなります。
しかしながら、日本の借地借家法の規制により、こうした契約が必ずしも額面通りに有効となるわけではなく、隔日制を重視する場合は定期借家契約の利用を検討するのがベターと言えるでしょう。
不動産にトラックレコートが残されている
トラックレコードとは「証券化対象不動産」についての過去ある程度の期間にわたる運用記録のことになります。
賃貸実績や収支実績が該当となります。トラックレコードが充実していると、将来見込まれるキャッシュフローを予測しやすくなります。
不動産の流動性を高められる
そもそも不動産の証券化の目的の一つに、不動産投資の「流動性」を高めることが挙げられますよね。
しかしREITにおける流動化の意味するところは、証券化された後の不動産に次の買手が現れるかどうかということになります。
一つの証券化の機嫌が到来した際に、その不動産を使ってまた投資しようとする資金が集まるような不動産であれば、証券化不動産としての流動性があることになります。
その蓋然性が高ければ、最初の証券化が実現可能ととなるわけです。
証券化が行われるようになった初期の頃は、賃貸市場が大きくて、賃料収入の予想がしやすいオフィスビルや賃貸マンション、テナントの信用力に優れ長期の賃貸借契約が結ばれている商業施設などが、証券化不動産の多数を占めていました。
しかし、その後、ホテル・倉庫などオフィスビルやマンションに比較して賃貸市場が小さいと思われる不動産にも対象が広がっています。
一時は建物竣工後の売却を前提とした不動産の開発を証券化のスキームを応用して、SPCの中で行うことも散見されました。
「不動産証券化」の仕組み
では、REITの投資対象を確認したところで、今一度J-REITの仕組みを確認しておきましょう。
投資家になるあなたは、基本的にはJ-REITに資金を預け、運用してもらいますよね。
引用:投資信託協会
そのJ-REITは預かった資金を増やさなければなりません。そこで、不動産の証券化という手段を取るのです。
それでは、実際にJ-REITが実行する不動産証券化の仕組みについて解説していきたいと思います。
証券化された不動産と区別するために、証券化される前の不動産を「現物不動産」と呼ぶことがあります。
まず、証券化対象の不動産の当初所有者のことを「オリジネーター」と言います。
オリジネーターは証券化対象不動産を特定し、証券化の取りまとめ役であるアレンジャーに、証券化の依頼をします。
アレンジャーは、不動産の購入・売却と不動産賃貸事業のみを行う「器」を用意します。
この「器」には会社を利用することが多くなっていますが、証券化のためだけに特別に設立した会社であるため、「特別目的会社」(以下、SPC)と呼ばれます。
SPCは、金融機関、または投資家から社債発行や借り入れ、出資の受け入れにより、当該不動産を購入するための資金を調達します。
尚、ローンの出し手や社債の購入者のことを「デット投資家」、エクイティの出資者を「エクイティ投資家」と呼びます。
オリジネーターはSPCに当該不動産を売却し代金を受領します。つまり、ここでキャピタルゲインを得るわけですね。
SPCは、当該不動産を借りているテナントから賃料を受け取り、これを原資に、まず不動産の維持管理コストを支払い、次に社債やローンへの利払いをし、最後に残余をエクイティ投資家に配当していきます。
社債やローンの期限の到来に合わせて不動産を売却し、その売却代金により、まず売却コストを支払い、次に社債やローンを返済し、最後に残余をエクイティ投資家に配当します。
不動産証券化は、組成に当たって、
- オリジネーターを中心に考えるか、
- 投資家を中心に考えるか、
で「資産流動化型」と「資産運用型」に区別することがあります。
資産流動化型証券化と資産運用型証券化
証券化にも以下の2つの種類があります。
- 資産流動化型証券化
- 資産運用型証券化
それぞれ解説していきましょう。
資産流動化型証券化
「資産流動化型証券化」は特定の不動産を流動化することによる資金の調達を目的とした証券化です。
オリジネーターが資金調達や財務体質改善などを目的として証券化の対象となる不動産をSPCに譲渡し、当該不動産の生み出す収益を裏付けに資金調達を行います。
資産流動化方はこのスキームを想定して「制度化」されたものとなります。
証券化対象の不動産の存在が前提となるため、資産ありきの証券化となるということですね。
資産運用型証券化
「資産運用型証券化」は複数の不動産を売買・運用するなどの資産運用を目的とした証券化です。
複数の投資家から資金を集め、その資金を用いて、不動産の投資運用を行い、生み出された収益を投資家へと配分します。
こちらは運用する資金の存在が前提となる証券化ですね。
むすび
以上、REITの仕組みの大前提となる不動産証券化の仕組みを解説してきました。
この他にもREIT関連の記事を執筆しているので参考にしてみてください。