タイ不動産に続き、同じくASEAN5としてベトナムと共にASEANの成長を索引している「フィリピン」の海外不動産について解説していきたいと思います。
因みに今回詳しく見ていくフィリピンは総合商社のビジネスはあまりありませんでしたが、
米経済紙『U.S. News & World Report』で、
『2018年もっとも投資に適した国ランキング』に選ばれています。
因みに「フィリピン株式投資」についても分析していますので興味のある方は参考にしてみてください。
- フィリピンは物価が安く、アクセスも良いため日本人が長期滞在したいと思える国として人気。
- フィリピンの経済成長力は理想的な人口ピラミッド、中所得国の罠まで距離もあり非常に高いと言える水準。
- フィリピン不動産は土地を保有できず、コンドミニアム投資となるので物件選定が肝。
- フィリピン不動産の取引に掛かる税を含めたコストは非常に高く、キャピタルゲイン税は損失が生じた時でも課税されることがネック。
- フィリピン不動産も魅力的だが、土地投資も可能、経済成長力もフィリピンを上回るバングラデシュが2018年時点では最もおすすめと言える。
フィリピン不動産の総括→フィリピン不動産まとめ・経済概況と主要購入検討エリアと今本当に投資実行すべきなのかについて
Contents
不動産購入前に把握しよう・ASEAN5「フィリピン」の概要
まずはフィリピンの概要について見ていきましょう。
あなたはフィリピンといえば何を思い浮かべますでしょうか。
私がまず思い浮かべるのはドゥテルテ大統領です。

数々の暴言で有名な強権の大統領ですね。
ドゥテルテ大統領はアメリカのオバマ大統領に対し、
「侮辱発言」を繰り返すなどして首脳会談が中止になったりと問題児でしたが、
「暴言を辞める」
と発言し注目を浴びていました。
しかし、
その裏腹で巧妙な外国テクニックを合わせ持ち、
中国や日本から多額の援助を引き出しているという側面も有しております。
次にフィリピンでイメージされるのは、リゾート地ということではないでしょうか。
実は有名なセブ島だけではなく、
米国の旅行雑誌『コンデナスト・トラベラー』で世界で一番美しい島に選ばれた「パラワン島」、
世界のベストビーチに2014年、
2015年に選出されたボラカイ島をはじめとしたリゾート地が満載です。

また日本ロングステイ財団の調べによるとフィリピンは2015年と2016年の2年連続で、
日本人が住みたい国ランキングで5位という高順位を保っています。

まさに日本人に人気の国といえます。
人気の理由としては安い物価、
意外と住みやすい治安の良さ、
日本からのアクセスの良さが理由として挙げられていました。
日本からも毎日セブとマニアに直通便が出ており、
4時間半でついて時差1時間というのは「近い国」なんだな、
ということを実感させられます。
イメージについてはこのくらいにしておいてフィリピンはご存知の通り、
日本と同じで大小7000の島々から構成される島国で面積は30万平方km²(日本は38万平方km²)で、
人口は約1億人 (日本は1.2億人)と大方似た規模の面積と人口を誇っています。
またスペイン植民地だったこともあり、宗教はキリスト教が殆どを占めています。
参考:JETRO
フィリピンの経済
それでは成長著しいフィリピンの経済について見ていきましょう。
それではまず直近のフィリピン経済の成長率は以下のようになっています。
参考:世界経済のネタ帳
私が一押ししているバングラデシュでもそうなのですが、
経済成長に勢いがあり、
内需が爆発的に伸びているような新興国ではリーマンショックのような世界的な危機が発生しても確りと「成長基調を維持」します。
その最大の要因はやはり総人口と労働人口が増加していく形のピラミッドです。
成長の原動力となるのはどこの国でも人口ボーナスです。
日本はいち早く人口ボーナスを迎えて成長したにすぎません。
以下のフィリピンの人口ピラミッドを見て欲しいのですが、
理想的なピラミッドの形をしております。
今後数十年に亘って成長が継続していくことは間違いないと言えるでしょう。

一人当たりGDPは3,000USD程度とバングラデシュの3倍程度はありますが、
いぜんとして貧しい国であることに変わりはありません。
この一人あたりGDP3,000という水準は「中所得国の罠」といわれる成長の伸びが鈍化する1人当たりGDPが「10,000USD」の水準までは距離がある為、
今後も成長の鈍化するまではまだまだ時間があることを示しています。
「中所得国の罠」とは、多くの途上国が経済発展により一人当たりGDPが中程度の水準(中所得)に達した後、発展パターンや戦略を転換できず、成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷することを指す。これは、開発経済学でゆるやかに共有されている概念であり、その端緒は世界銀行が07年に発表した報告書にあるとみられている。
引用:内閣府
またこの水準はちょうど、
国民が家電を買い始める水準ということもあり、
ここから個人消費の拡大が勢いづくことが見込まれます。

また物価上昇率も3%程度と新興国にしては非常に落ち着いており、
過熱しすぎることもなく、
非常に良い巡航速度で成長していっている状態を維持しています。
近年までは豊富な熱帯雨林や水産資源を活かした農林水産業が中心でしたが、
近年は英語が喋れるという点を活かしたサービス業の躍進が顕著であり雇用が急速に増え失業率は5%台まで低下している状態になってきています。

成長と共に安定感を増したフィリピン経済は非常に魅力的な状況となっているということができるでしょう。
フィリピン不動産の法規制 ・税制
国として非常に堅調に成長しているフィリピンですが、不動産投資を行う際の法規制並びに税制について記載いたします。
(1)不動産所有に関する法規制
フィリピンもタイと同様外国人名義での土地の所有は認められていません。
一般的に外国人の投資対象はコンドミニアムつまり上物に限定されているのです。
現在コンドミニアムに関してはコンドミニアム法というものがあり、
対象となる物件の40%までの外国人による所有が認められており、
購入の際にはビザも不要ということもあり、
日本にいながらフィリピンのコンドミニアムを購入することができる状態になっています。
(2)不動産売買に関する税制
フィリピンのコンドミニマムを購入する際には以下の税金が発生します。
- 印紙税:物件価格の約2%
- 登記税:物件価格の約2%
- 移転税:物件価格の約0.5%
- キャピタルゲイン税:物件価格の6.0%
- 付加価値税:12% (320万ペソ以上)
上記の青色の税の物件価格というのは売買価格、
並びに評価額の高い方が適用されます。
非常に高いですよね。
なんと「合計22.5%」もの税金がのしかかってくるわけです。
しかし、唯一意外なのはキャピタルゲイン税ですね。
注意しなければならない点として、
これはたとえ「売却損」が出た場合でも、
物件価格に対して「6%」もの金額を支払わないといけないのです。
(3)不動産保有に関する税制
売買時以外にも保有に掛かる税金は以下のようなものがあります。
- 固定資産税:1%~2%/年 (市町村により異なる)
- 特別教育基金:1%/年
- 火災保険料:0.4%/年
- 管理組合費:物件による
と年率で「2.5%~4%」程が保有コストとして発生します。
日本にキャッシュを引き戻した時の税金もかかるとなってくると、
相当なコストが嵩むことが分かりますね。
むすび・フィリピン不動産は物件選び、高コストがネック
フィリピンは日本人に人気のエリアで、
経済は今勢いよく成長しており年率7%程度の高成長を実現しています。
またこの成長は人口動態や現状の一人当たりGDPの水準から長期に亘り継続することが見込まれています。
不動産市場はバングラデシュのように外国人が土地を保有することは認められておらず、
コンドミニアム投資が外国人が可能な不動産投資となり、
さらに税金は売買にかかる費用が20%以上、
年間保有コストが3%程度かかり非常に高い税金に悩むことになります。
結果的に、
相当なレベルのキャピタルゲインを狙うことが出来なければ、
経済成長こそ見込めるフィリピンの海外不動産ですが、
コストが高すぎ、且つ物件選びが肝になってくるフィリピンへの投資は危険と言えるでしょう。
例えば私が投資しているバングラデシュであれば、
経済成長も2050年までを考えればフィリピンをも超える水準(以下PwC資料参照)となり、
引用:PwC Japan
コンドミニアムではなく「土地」投資が可能、
内需拡大で世界金融危機や中国の影響などを受けない国の発展が見込むことができる、
まさに投資適格を満たした投資先です。
2018年中に投資しなければリターンは大幅に減少、
もしくは、値上がりが見込める土地を買うことすらできなくなりますので、
せめて情報だけでも仕入れておく方が良いでしょう。
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