「高金利の外貨預金がしたい」
「為替益も出たら儲かる」
「日本円のみを保有しているのはリスクなので通貨分散をしたい」
と考え「外貨預金」をしようと考える人は多いですよね。
しかし、
外貨預金の「メリット」と「デメリット」を把握せずに無闇に手を出してしまうと、
大きな損失を被ってしまう可能性があります。
今回は総合商社で元為替トレーダーであった私独自の観点から、
外貨預金のメリットとデメリットを解説し、
その上で本当におすすめの投資対象となる外貨建・海外資産について紹介していきたいと思います。
最初に今回の内容を簡単にまとめると、
- 外貨預金の主なメリットは通貨・資産分散と経済知識が身につくこと。
- 現在の日本のインフレ政策を考えると、外貨に通貨分散することが非常に重要。
- 外貨預金のデメリットとして、手数料が高い、資金拘束額が大きく他投資への機会損失が発生することなどが挙げられる。
- また、預金封鎖時の「資産課税」の対象とされてしまうこと。
- 外貨預金をするくらいであれば、海外不動産で大きなリターンを目指しながら通貨分散をするべき。
- おすすめの海外不動産を紹介。
となります。
それでは具体的な解説に入っていきたいと思います。
Contents
外貨預金のメリット・「通貨分散」と「各国通貨」の特徴を把握しよう

まず外貨預金を行うことによる「メリット」について解説します。
外貨預金のメリットは大きく分けて、
- 通貨分散が可能
- 経済知識がつく
- 長期目線での資産分散が可能
の3点です。
ではそれぞれ具体的に解説していきます。
外貨預金のメリット①:通貨分散が可能

外貨預金の最大のメリットが「通貨分散」ができることです。
今後の日本で、
現在日銀が進めている「年率2%」のインフレ政策が成功した場合でも、
日銀がインフレ政策に失敗し、その後に「急激なインフレ」が発生した場合でも、
将来的に円の価値は下落していく可能性は高いです。
インフレが発生するロジックは以下の記事で解説しておりますので参考にしてみてください。
もはや日本円だけを保有していたら、
将来発生する「日本円の価値下落」から発生するインフレ時に資産を大きく損なうことになるので、
通貨を日本円「以外」にも分散しておく必要があります。
外貨預金のメリット②:経済知識がつく/詳しくなる

実際に為替トレーディングの部署に配属され自己勘定トレーディングを行っていた経験からいうと、
現在のマーケットは、
- 株
- 債権
- Commodity
- 為替
の4つが絡み合って動いています。
つまり為替の動向を予測するためには、
関連する「他の資産の動向」や「各国経済のファンダメンタル」が今後どうなっていくのかを予測しなければなりません。
その結果経済に対しての造詣がどんどんと深くなっていき、
私自身、
東京大学時代に机の上で学んだ経済学よりも、
さらに実践的な経済の動学を知ることができました。
外貨預金のメリット③:長期目線での資産分散ができる

個人的にはただ通貨分散を行うのであれば、
後ほど解説する外貨預金のデメリットの通り、FXの方が合理的であると思うのですが、
FXは手元で「簡単に」売買ができてしまいます。
ついついレートを確認して短期目線的なトレーディングを行ってしまう傾向にあります。
しかし、為替市場というのは上がるか下がるかのゼロサム市場であり、
専門的な視点を持ってる銀行のトレーダーや資金力のあるヘッジファンドに比べて個人の優位性は全くなく勝つのが難しいのです。
ZERO-SUM(ゼロサム)
本来の意味としては、合計すると「ゼロ(0)」になることをいいます。
これは、一方の利益が他方の損失になることであり、通常、マーケット(市場)においては、一方が利益を得たならば、もう一方は損をして、全体としては”プラスマイナスゼロ”になることをいいます。
一般に株式取引や債券取引、為替取引、先物・オプション取引などの市場取引において、儲かる人もいれば損をする人もいますが、結局のところ、日々の全員の損益を合計するとゼロになり、全員が儲かるということはありえません。
また、マーケットにおいては、勝者は少数(ごく一部)で、敗者は多数(大半)なのが現実となっています。
引用:ゼロサム
実際勝率は理論上50%近くに収斂するはずなのですが、
2016年の日本の個人投資家の勝率は37%、
2017年は41%と燦々たる結果となっています。
あくまで純粋な為替取引では短期的なトレーディングというよりは、
長期目線での通貨分散に徹したほうが良く、
その観点では片手間でスマホで手軽に売買できない外貨預金は、
FXに比べて優位性があるともいえます。
外貨預金のデメリットとリスク(おすすめしない理由)

次に外貨預金のデメリットとリスクについて解説していこうと思います。
外貨預金のデメリットを簡単にいうと、
- 手数料が高い
- 資金拘束額が大きい
の2つ、
リスクは来たる預金封鎖時の資産課税の対象となってしまうことです。
それぞれ解説していきます。
外貨預金のデメリット①:高い手数料
実は外貨預金の手数料は非常に高く、
手数料の観点ではFXに大きく軍配があります。
大手のFX会社などでは1万USD(=約110万円)の取引を行うのに、
約0.3pip(約30円)の手数料で取引することが出来ます。
※ピップス(Pips)とは、FXで表現する最小値幅単位。為替変動するときの最小値を1ピップスという
しかし、
外貨預金では以下のように米ドルでは片道1円、往復2円というFXの「300倍以上」の手数料が発生します。
1万USDを購入するのに10,000円の手数料が発生してしまうのです。
引用:三菱東京銀行
さすがに旅行に行く前の成田や羽田空港の両替所ほどではないですが、
FXと比べるとぼったくりレートであるといわざるを得ませんね。
外貨預金のデメリット②:大きい資金拘束額
次に外貨預金は通貨分散を行うだけであるにも関わらず、
1万USDを購入するには「110万円」程度の資金が必要と大きな資金拘束を受けます。
特に運用をしないにも関わらず、
結局は預金という形で銀行口座の中で眠ってしまうというのは非常にもったいないですよね。
同じ通貨分散をFXで行えばレバレッジを利かせることにより、
「より少ない資金で」通貨分散を行うことが出来ます。
例えばレバレッジ10倍であれば、
11万円の日本円さえあれば1万USD(110万円分)のUSDを購入することが出来るのです。

ただし、
レバレッジは当然損失額も同じく増幅となるので、
長期的に行う場合は10倍以上の高レベレッジではなく「2倍~3倍」の低レバレッジで行ったほうが賢明でしょう。
外貨預金のデメリット③リスク→預金封鎖時の資産課税の対象になる
通貨分散は確かに日本の財政破綻が意識されたときに発生する強めのインフレ(ともすればハイパーインフレ)の対策としては有効ですが、
その後に発生する「預金封鎖の対策」としては不完全です。
以下の記事で詳細に解説していますが、
ここでは簡単に預金封鎖からの資産課税について説明します。
→ 預金封鎖対策の必要性を解説・財産課税とインフレを回避するキャピタルフライト
「預金封鎖」とは、日本政府の借金(債務)がどうにも首が回らなくなったときに、
国民の「預金を封鎖」し、各国民の資産を把握した上で資産に対して課税をし、
国民の資産で政府の借金を返済するという一種の強奪的な最終手段です。
実際に日本は戦後の1946年に預金封鎖を実施した実績があり、
当時の債務状況と現在の状況は酷似しています。
刻一刻と預金封鎖の足音は近付いてきているといわざるを得ません。

注意しなければいけないのは、
預金封鎖からの資産課税は当然外貨預金も対象となるのですが、
そのほかの国内資産である、
- 株
- FX口座
- 不動産
- 債券
- 金
などの全ての国内資産が対象になるということです。
ここまでで外貨預金のメリットとデメリットを解説してきましたが、
実際にどのような通貨があるのかを把握していきましょう。
以下は主要通貨の概要になります。
▶米ドル

▶️いわずと知れた世界の基軸通貨。
▶️流動性が最も多いため、価格変動は安定的。
▶️経常収支大幅な赤字国なので米ドル安の圧力を常に受けている。
▶️最近のFRBの利上げにより金利は先進国で最大。
▶️毎月第1金曜日に発表される雇用統計指標が最大イベント。
▶️日本ほどではないが財政懸念があり将来的に減価する恐れがある。
日本の金融機関で米ドル預金する場合の金利比較はこちらです。
↓↓↓
【資産分散】米ドル外貨預金でおすすめの銀行とその預金金利について徹底比較
▶ユーロ

▶️2002年に欧州の基軸通貨として導入。
▶️流動性は米ドルについて多く、価格変動は比較的安定的。
▶️経常収支黒字地域であるため、ユーロ高の圧力は常に発生している。
▶️2018年6月時点では緩和の終了に向けて動きだしている。
▶️ギリシャやPIIGSを含めた国の財政問題が火種としてくすぶっている。
▶日本円

▶️我が国の通貨で流動性はユーロについで第3位として主要通貨として君臨。
▶️経常収支黒字国であるため、円高の圧力は常に発生している。
▶️日銀の金融緩和は異例の規模で既に日銀のバランスシートは米国を凌駕。
▶️危機発生時には金とスイスフランと同じくリスク回避資産として選好される。
▶️早ければ今後3年以内、遅くとも10年以内に急激なインフレが発生する可能性がある。
▶️急激なインフレ発生時には急激な円安となる。
▶英国ポンド

▶️イギリスの通貨でG4通貨としてドル、ユーロ、円に次いだ立場。
▶️しかし値動きの幅は低く、一日で対円レートが2、3円動くこともザラ。
▶️ブレクジットの際は一日で対円レートが20円近く下落したこともある。
▶️経常収支はマイナスで月末は取引の多いユーロ高ポンド安になりやすい。
▶豪ドル

▶️オーストラリアの通貨で少し前までは主要通貨で最高金利。
▶️現在は米ドルと同水準の金利。
▶️資源国通貨であることから鉄鉱石の価格に影響を受ける。
▶️貿易構造は中国に依存したものとなっているため、中国経済に大きく影響を受ける。
▶カナダドル

▶️カナダの通貨で、金利は米ドルや豪ドルよりも低い。
▶️原油産出国ということもあり原油価格に大きく影響を受ける。
▶️日米よりは政府債務は小さいが政府債務は対GDP比で90%程度を有している。
▶️米国との貿易問題が再燃すれば下押し圧力となる。
▶スイスフラン

▶️スイスの通貨、金利はスイス中銀が最も低い政策金利を強いているため日本よりも低い。
▶️日本と同様にリスク回避通貨として活用されている。
▶️政府債務は先進国の中では低い対GDP比50%未満で財政破綻のリスクは低い。
外貨預金するのであれば?おすすめの通貨分散割合(ポートフォリオ)
元為替トレーダーとしての見解としては、
2017年は「金融緩和の出口を探る」という観測から、
ユーロがドルに対して20%ほど上昇しました。
この流れでいうと、
日銀の金融緩和も限界に近付いており、
そろそろ出口を匂わせなければならない局面になると考え、
一旦ではありますが円が最後に強くなる局面が来る可能性が高いとみています。
但し、その後は財政懸念がいよいよ顕在化し、
ヘリコプターマネーの懸念もくすぶることから、
次回訪れるかもしれない円高が「最後の円高」になると私は見ています。
ヘリコプターマネー(ヘリマネ) 英語名: Helicopter money 分類: 理論 ヘリコプターマネーは、「ヘリマネ」とも呼ばれ、ある日、ヘリコプターが飛んできて、空から現金をばらまくように、中央銀行または政府が対価を取らずに大量の貨幣を世の中に(市中)に供給する政策をいいます。
これは、米国の経済学者ミルトン・フリードマンが著書「貨幣の悪戯」で用いた比喩に由来するもので、具体的には、中央銀行による国債の引き受けや政府紙幣の発行などが該当します。
→ ヘリコプターマネーをわかりやすく解説する~財政支出・量的緩和と何が違う?~
→ 日本で預金封鎖が発生する可能性を検証する・いつ頃起こる?それは何が原因なのか?
また景気循環の観点からも、
既に米国の景気拡大期はリーマンショク後9年に亘っており、
直近では株価も大きく調整する局面もありました。
現在が景気拡大期の後期と捉えると、
日本と同じリスク回避資産である「スイスフラン」も併せて保有していたほうがよいでしょう。
英ポンドについては値動きが激しいため割合は少なくしたほうがよいですが、
既にブレグジットの影響は織り込みきっているといわれており、
長期的な上昇を見込んで組み込んでおいても良いかもしれません。
2016年に起こったイギリスのEU(欧州連合)離脱問題のこと。同年6月23日(現地時間)にイギリスのEU離脱の是非につき行われた国民投票にからんで生まれた言葉で、Britain(英国)とExit(退出する)を組み合わせたもの。
ギリシャでは財政難などにより12年頃からEU離脱が取り沙汰されるようになったが、その折Greece(ギリシャ)とExit(退出する)から「グレグジット(Grexit)」との造語がつくられ、それにならったものとされている。(2016-6-30)
引用:ブレグジット

あくまで個人的見解ではありますが、
通貨ごとの資産分散は以下がワークするのではないかなと考えています。

・日本円:40% (次回円高時に割合を減らす)
・米ドル:30%
・スイスフラン:20%
・英ポンド:10%
2018年時点で本当におすすめの海外資産・投資先
外貨預金は通貨分散を行うことが出来ますが、
以下のような欠陥があることが分かりました。
- FXに比べて高い手数料
- 大きな資金拘束による他投資への機会損失
- 通貨分散のみで資産運用ができていない
- 結局預金封鎖の対策としては資産課税対象となり不十分
またFXでのトレーディングも外貨預金のメリットで解説した通り、
個人のFXのトレーディングは他のプロプレイヤー(銀行トレーダー・ヘッジファンド等の資金力のある主体)に比べて、
「情報量」・「資金量」で圧倒的に不利な状況となっており、
為替市場で「カモ」にされ続けています。
外貨預金やFXより私がおすすめしたい海外投資は、
魅力的な「新興国への海外不動産投資」です。
私が2018年時点でおすすめしたい投資先は新興国の中でも圧倒的に「バングラデシュ」の不動産投資なのですが、
バングラデシュ不動産投資をするメリットとしては、
通貨・資産分散の観点で以下の点が挙げられます。
- 「100万円」からのバングラデシュの「土地」投資が日本在住者でも可能。
- 外貨預金やFX同様に通貨分散が可能。
- 海外の資産を保有できるので預金封鎖の影響を受けない。
- 通貨分散のみならず「実物資産」としての不動産での運用が出来る。
- 新興国不動産としては珍しく「土地」そのものに投資可能。
- 3~5年で4倍から8倍の利益が見込める。
バングラデシュ経済の魅力と、
なぜ大きなリターンを見込めるのかを以下の記事で詳細に解説しています。
情報収集するだけでも価値があると思いますので、参考にしてみてください。
↓↓↓
→ バングラデシュ不動産・首都ダッカへの海外投資の魅力を解説
→ バングラデシュ首都ダッカの現在を日本の1960年代と比較&考察
むすび
ここまで、
外貨預金のメリット、デメリットとそのリスクについて解説した上でおすすめ投資先を紹介してきました。
投資は情報が命であり、様々な投資先を検討した上で、
納得のいく資産運用をし、着実に資産額を積み上げていきましょう。
以上、
「外貨預金のメリット・デメリット・リスクの低い2018年おすすめの国の通貨は?」
でした。