過去の記事で、今後日本で預金封鎖が発生する可能性と、戦前の米国、戦後の日本、キプロスの預金封鎖の事例を解説してきました。
今回はこれまでの例を参考に、
「頑張って積み上げてきた資金を国に没収されたくない」
「来るべき預金封鎖に対して、どう対策すればいいの?」
という方に向けて最も有効な手段を解説していきたいと思います。
結論としては、海外銀行口座開設、もしくは海外不動産に投資することが選択肢になるでしょう。
Contents
預金封鎖発生時に起こり得ること①~財産課税の恐怖~
前回記事で取り上げた日本の戦後の事象として、
「資産総額5000万円以上」
戦後は「戦争特需」の軍需産業に携わった資本家と、
戦争による資産が枯渇していた一般大衆との間の貧富の差が拡大していました。

ただでさえ不安定な社会の暴発を少しでも抑えるため、
貧富の拡大に対する国民の不満を逆手に利用し、
「人数の少ない」高額所得者向けの「預金課税」となったと想定されます。
しかし次に預金封鎖・預金課税は発生した場合はどのようなことが想定されるでしょう?
現在、日本の政府債務は1400兆円となっています。
国がこの借金を返済するためには、
「高額資産保有者のみ」からの資産課税でまかなえるのかが重要になってきます。
まず日本の現在の家計資産は「1800兆円」となっており、
日本の「1400兆円」の借金の規模から考えると、
単純に高額資産保有者のみへの課税では不足しそうです。
家計資産
家計資産は、広義の意味では、各世帯の家計が持つ資産をいいます。これは、大きく分けて、金融資産や不動産、自動車、耐久消費財などの「プラスの財産(資産)」と、ローンやクレジットなどの「マイナスの財産(負債)」の2種類があり、純財産高は資産から負債を差し引いて求められます。
引用:家計資産
実際に野村総研の研究によると、
日本の資産別ごとの保有資産の内訳は以下の通りとなっており、
最も多くの資産を保有しているのはピラミッドの一番下にある「マス層」と言われる、
「資産3000万円未満」の世帯が「80%」を形成しており、
金額は603兆円と全体の40%以上です。
引用:野村総研
5000万円未満の「アッパーマス層」を加えると、
60%以上の資産を保有していることがわかります。
現在の借金総額から考えると、
富裕層だけの課税では済まないことを想定する方がよいでしょう。
預金封鎖発生時に起こり得ること②~インフレで奪われる財産~
財産課税について理解した上で、
もしかしたらあなたはそこまで多くの財産を保有していないから問題ないのでは?
と、考えたかもしれません。
しかし、仮にあなたが財産課税を逃れたとしても、
それだけで自分の資産は安全だと考えるのは早いのです。
過去の戦後の預金封鎖では、
預金封鎖で自分の預金を引き出せなくなっている間にもインフレが発生し、
最終的に全額引き出しが出来るようになったときには自分の財産が実質的に「何分の1」にも減少してしまっていたのです。
例えば、あなたが500万円を預金していたとしましょう。
そして預金封鎖前に、
例えばトヨタのカローラが預金封鎖される前に「100万円」だったとしましょう。
預金封鎖が発生し、完全に封鎖が解かれたときに、
カローラが500万円になっていたとします。
すると、
あなたが預金していた500万円の貯金は、
預金封鎖解除後は実質的な価値が100万円になってしまうのです。
財産課税を逃れても、
結局はインフレによって多くの資産を実質的に奪われてしまう可能性があるのです。
タンス預金・外貨預金・FX・株式投資で預金封鎖対策はできるか?~国内銀行口座の紐付け・世界同時株安の可能性~
まず、預金封鎖対策ではじめに考えることとして、
銀行に預けずにタンスに預金を一定程度すれば対応可能なのでは?
と考えられた方もいらっしゃると思います。
しかし戦後の預金封鎖の例ではタンス預金は守られませんでした。
当時の旧円を現在使用している「新円」に切り替えるいわゆる
「新円切り替え」という措置が実施されました。
そのため、タンス預金(=旧円)は市場で使用することが出来ず、
一旦銀行に預け入れることを余儀なくされたのです。
タンス預金がダメなら、次に日本円を外貨に替えておき、
通貨価値の暴落を避けることを考えると思います。
確かに、通貨分散をしてリスクを回避しておくというのは必要な手段です。
しかし、
残念ながら外貨預金やFXでは預金封鎖の対策ということにはなりません。
それは過去の日本の預金封鎖の事例でも解説しましたが、
預金課税は預金のみならず、
「不動産・株・金を含めた全ての国内資産」
が課税の対象となるからです。
国の預金封鎖の目的の一つに、
「各個人の資産の把握」
という側面があります。

つまり、
日本の「証券会社の株式口座」や「FXの口座」も元々は個人が保有する「国内銀行口座」から送金が実行されるため、
預金を封鎖することで個人の国内資産を概ね把握することができるのです。
つまり外貨預金やFXでいくら外貨を保有していたとしても、
預金課税の対象になってしまいます。
国内の金融庁の管轄内での資産の動向ですからね。
何もせずに日本円で保有するよりかは、
外貨で利益が出た分に対して課税はされるのでいくらかは対策にはなりますが、
最終的に課税の対象となることを踏まえると完璧とはいえませんね。
上記の通り、株式投資も同様ですね。
いくら日本の証券会社経由で米国等の先進国や新興国の株式を保有したとしても、
先程のFXと外貨預金と同じく資産課税の対象となります。
また株式市場は基本的には「リスク資産」という認識が世界共通であります。
経済規模が大きい日本の財政破綻問題ともなると、
世界の同時株安を引き起こすことは必定であり、
大変なリスクを背負うこととなるのでおすすめできません。
コラム:マイナンバー制も預金封鎖への準備??
実は、現財務省である当時の大蔵省では1997年から戦後の預金封鎖を、
現代で行うことが出来るかを検討されていたことは事実として発覚しています。
戦後当時は法令の整備が整っておらず、
また個人の資産が戦後に比べて把握しにくかったということもあり、
実施するには至りませんでした。
しかし法律面では、
- 預金保険法、
- 銀行法、
- 金融機能強化法、
で実質的に預金封鎖を行う準備が整い、
個人資産についてはご存知のマイナンバー制度によって個人の金融資産を名寄せすることが可能になりました。
表向きは官僚の事務処理の簡略化・効率化としていますが、
国が個人の資産を抑えにかかっているのは明白です。
水面下で着々と政府並びに財務省は預金封鎖を行う準備を整えてきております。
はなから借金を返済することなど考えておらず、
結果的にインフレと財産課税で帳消しにしようと考えているのです。
金の保有も国内資産と認識・預金封鎖対策にはならずリターン自体も著しく低い

では「インフレといえば金」の代名詞といえる金はどうでしょうか。
私が総合商社で為替トレーディングを行っていた時は為替だけでなくCommodity・株・金利全てが絡み合って影響してくるため、
全ての市場価格を見ていました。
確かに財政問題や地政学的なリスクが顕在化する局面においては、
金は買われる傾向にあるので有効な選択肢となりますが、
根本的な問題としてFXなどと同様、国内資産は課税の対象となるので、
「預金課税」を逃れることはできないでしょう。
また過去の米国預金封鎖の例にもあるように、
政府が国民の金を市場実勢から著しく低い価格で強奪する可能性もあります。
また危機発生時には価値を生む金ですが、
それ以外の時間は金は金として価値が増幅することもなく、
長期的に見て株式や債券に比べて著しく低いリターンとなっています。
仮に預金封鎖が発生しなかった場合のことも考えると、
大きな「機会損失」を被ることになるのです。
預金封鎖対策①:海外銀行口座の開設
預金封鎖による課税から免れるためには、
「国内から海外に資産を逃す」
必要があり、
最近では富裕層を中心に香港やシンガポールで世界最大のメガバンクとも呼ばれる「HSBC銀行」にキャピタルフライトをしている人が増えています。

海外に銀行口座を持ち国内口座から資産を移すことになり、
キャピタルフライト(=資本逃避)としては有効な手段と言えるでしょう。
しかし、
私も何を隠そうHSBC香港の口座を開設した一人なのですが、
個人的に難点・面倒だと思っている点が複数あります。
私自身、200万円しか入れておらず現在休眠口座状態となっています。
以下ではその難点な点を解説していきます。
HSBC銀行口座は開設手続き・管理が煩わしい
日本から手軽に口座開設できるのであれば良いのですが、
必要な書類を揃えて現地に赴かないといけませんし、
英語での説明を聞いて理解していかなければいけません。
最近は口座開設ツアーのようなものを開催しているところもあるので、
利用するのは手かもしれませんが、
当然自分で開設に出向くよりもコストが高くなる側面があります。
また、
口座開設を終えても、追加送金を行うのも銀行にいって海外送金手続きをする必要があり、
年に1回は引き出しをしないと銀行口座が凍結されてしまいます。
うっかり何もせずに口座が凍結となった人も自分の周りに多いのです。
HSBC銀行口座の運用の難しさ
銀行口座開設したと同時に運用口座を開設される方も多いと思いますが、
全て英語で記載されており結局何を買えばよいのかわからないという事態に陥ってしまう方も結構多いです。
世界一の巨大銀行ということもあり選択肢は多いのですが、
多いからこそ更に日本の投資信託と異なり英語での説明となっているから何に投資をしていいのか分からず結局運用していないという人が続出しています。
また特に株式の運用で考えなければいけないのが、
日本が財政破綻措置である預金封鎖をとるような事態になれば、
世界経済に大きな影を落とすことになり、
預金封鎖を免れたとしても株価下落を伴って資産が大幅に減ってしまうことは念頭に置いておいたほうがよいでしょう。
預金封鎖対策②:海外ヘッジファンド

先程株は日本の預金封鎖時には世界経済も大混乱に陥り大幅な下落に見舞われる可能性があると言及しました。
しかし、
ヘッジファンドは株式市場とは連動しない値動きをする「オルタナティブ投資先」として認識されています。
オルタナティブ投資 (オルタナティブとうし)
オルタナティブ投資とは、上場株式や債券といった伝統的資産と呼ばれるもの以外の新しい投資対象や投資手法のことをいいます。オルタナティブ(alternative)は直訳すると「代わりの」「代替の」という意味です。
具体的な投資対象としては、農産物・鉱物、不動産などの商品、未公開株や金融技術が駆使された先物、オプション、スワップなどの取引が挙げられます。
オルタナティブ投資の中でも最も存在感が大きいのがヘッジファンドです。
などのオルタナティブ投資はポートフォリオ全体の安定性を高めるために有効とされ、
ハーバード大学をはじめとした米国の年金基金をはじめ、
日本の生損保もポートフォリオに取り入れています。
ハーバード大学に至っては、資産の60%をオルタナティブ投資に振り向けています。
実際に筆者が投資しているヘッジファンドでは市場の下落局面でもしっかりと利益を出しています。(今回のコロナショックも下落していません)
ファンドマネージャーは東大卒英国一流外資系金融出身で運用経験は6年以上にわたり腕は確かです。
以下、ランキングの1位のBMキャピタルに問い合わせを行い、預金封鎖から逃れる対策を含めて聞いてみるとよいでしょう!

むすび
ここまでの内容をまとめると、
- 日本の政府債務は1400兆円、日本の現在の家計資産は「1800兆円」となっている。
- 5000万円未満の「アッパーマス層」を加えると、60%以上の資産を保有していることがわかる。
- 現在の借金総額から考えると、富裕層だけの課税では済まないことを想定する方がよい。
- 過去の戦後の預金封鎖では預金封鎖で自分の預金を引き出せなくなっている間にもインフレが発生した。
- 財産課税を逃れたとしても、最終的に全額引き出しが出来るようになったときには自分の財産が実質的に「何分の1」にも減少してしまっていた。
- 預金課税は預金のみならず、「不動産・株・金を含めた全ての国内資産」が課税の対象となる。
- つまり、
- 日本の「証券会社の株式口座」や「FXの口座」も元々は個人が保有する「国内銀行口座」から送金が実行されるため、外貨預金やFXでいくら外貨を保有していたとしても預金課税の対象になってしまう。
- 最近では富裕層を中心に香港やシンガポールで世界最大のメガバンクとも呼ばれる「HSBC銀行」にキャピタルフライトをしている人が増えている。
- デメリットとして、HSBC銀行口座は開設手続き・管理が煩わしく、運用が難しいのが難点。
- 海外不動産は株式市場とは連動しない値動きをする「オルタナティブ投資先」として認識され、ポートフォリオ全体の安定性を高めるために有効。
- 資産の海外逃避になる上に、ヘッジファンドであればリターンも大きく、2020年時点で預金封鎖対策も含め魅力的な選択肢といえる。
となります。
私が作成したおすすめ投資先ランキングでも、
ヘッジファンドを含めておすすめ投資先の解説をしているので、
比較検討に使ってみてください。
