008老後年金の仕組み

年金の仕組みをわかりやすく解説・マクロ経済スライドで年金が減額する理由とは?

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こんにちは、YOSHITAKAです。

あなたは、老後に年金がいくら支払われるか正確に理解していますか?

一般的に、老後の収入は仮にリタイア後に20年間、つまり85歳まで生きるとして、総額で5000万円弱の収入となります。

退職金や保険雇用収入をまとめると約8000万円ほどの金額になることを「老後資金1億円を作る資産運用計画・リタイア後支出は意外と大きい?」でまとめまています。

  • 退職金   :1,500万円
  • 保険満期金 :500万円
  • 継続雇用  :1,200万円(5年)
  • 公的年金  :5,000万円(20年)

合計:約8200万円が老後収入総額

しかし、公的年金を5,000万円と見積もっていますが、今後の日本の経済動向を鑑みても目減りすることしか予見できない状況です。

それでは、年金受給額はなぜ目減りする可能性が高いのか、マクロ経済スライドを用いて解説していきたいと思います。

マクロ経済スライドとは?日本金融政策に於ける目的は?

今後の年金受給額が目減りする理由をマクロ経済スライドを用いて解説するとサラッと述べてしまいましたが、

「マクロ経済スライド」

という単語自体、あまり馴染みのない言葉だと思います。厚生労働省がマクロ経済スライドの意味をホームページに記載していますね。

マクロ経済スライドとは、そのときの社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。

平成16年に改正する前の制度では、将来の保険料の見通しを示した上で、給付水準と当面の保険料負担を見直し、それを法律で決めていました。

しかし、少子高齢化が急速に進む中で、財政再計算を行う度に、最終的な保険料水準の見通しは上がり続け、将来の保険料負担がどこまで上昇するのかという懸念もありました。

そこで、平成16年の制度改正では、将来の現役世代の保険料負担が重くなりすぎないように、保険料水準がどこまで上昇するのか、また、そこに到達するまでの毎年度の保険料水準を法律で決めました。

また、国が負担する割合も引き上げるとともに、積立金を活用していくことになり、公的年金財政の収入を決めました。

そして、この収入の範囲内で給付を行うため、「社会全体の公的年金制度を支える力(現役世代の人数)の変化」と「平均余命の伸びに伴う給付費の増加」というマクロでみた給付と負担の変動に応じて、給付水準を自動的に調整する仕組みを導入したのです。この仕組みを「マクロ経済スライド」と呼んでいます。

ぶっちゃけるとよく意味がわからないですよね。図解してもこのような感じです。

マクロ経済スライド

少子高齢化など情勢に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する、とはどういうことでしょう?政府の裏の意図が見え隠れしますね。

言ってみればこの「マクロ経済スライド」は物価変動率(インフレ率)や若い世代の賃金上昇率と比例するように年金付与額を引き下げていきますよ、という政策のことを指します。

しかし、そんなことを堂々と言ってしまっては高齢者から選挙で票を集めることができません。マクロ経済スライドという意味のわからない名前にしているのはそこに思惑があります。

少子高齢化社会では高齢者は政府の大事な大事なお客様ですからね。しかし年金の引き下げは必要なのが実態です。

年金の引き下げが起こるのはどういうことなのか?という点ですが、問題は上記で「調整する」と政府が言っている調整率が0.9%と定められていることに問題があります。

この0.9%という数字は、

  • 公的年金被保険者の減少
  • 平均余命の伸び(0.3%)

で構成されています。

「マクロ経済スライド」とは、公的年金被保険者の減少と平均余命の伸びに基づいて、 スライド調整率が設定され、その分を賃金・物価の変動がプラスとなる場合に改定率 から控除するものです。

引用:厚生労働省

この0.9%を掛ける対象は、

  • 物価変動率(前年の物価指数÷前々年の物価指数
  • 名目手取り賃金変動率

の2つです。

名目手取り変動率とかあまり聞いたことがないと思います。難しい単語ばかりが並ぶのは何故なのでしょうか。(別記事で詳しく説明しようと思います)

ちなみに名目手取り変動率とは、

  • 前々年度以前「3年間」の、
  • 標準報酬額等平均額の「平均」と、
  • 税金、社会保険料等を含めた「月給」に、
  • 年間賞与÷12を加えた「総報酬」を、
  • 被用者年金、被保険者等の分も含めて、

平均したものです。

被保険者は厚生年金だけでなく、公務員なども含みます。

この物価変動率名目手取り賃金変動率の上昇率に調整率を掛けて、年金支給率を上昇させましょうね、というお話ですね。

マクロ経済スライドは実際に実施(調整)はされたことはあるのか?

マクロ経済スライドは2004年に制定されました。

上記で物価変動率と名目手取り賃金変動率に調整率を掛けると述べましたが、ご存知の通り日本は長らくデフレでしたよね。

日本の物価変動率推移は以下の通りです。

日本インフレ率引用:World Economic Outlook Database, October 2017を元に筆者作成

2012年まではなかなか調整するには至らず、2015年に初めて施行されました。2015年は物価上昇率を2013年の0.3%と2014年の2.7%を見ます。

賃金上昇率は過去3年で平均2.3%でしたので、賃金上昇率を適用することになります。

結果的に年金は、

2.3%-0.9%=1.4%

の上昇となるはずですが、「特例処置として」0.9%に留まりました。

厚生労働省は30日、公的年金の支給額の伸びを賃金や物価の上昇分より抑える「マクロ経済スライド」を初めて発動することを決めた。2015年4月からの年金受取額は14年度より0.9%増にとどまる。

さて、ここまでではあまり「年金受給額げ減少する」理由がぼやけていると思うので、シミュレーションとして、以下からは調整率の変動に応じて年金支給額がどのように変わってくるかをわかりやすく解説していきます。

Case:名目手取り賃金変動率と物価上昇率が0%を下回る(日本の典型パターン)

名目手取り賃金変動率と物価変動率が0%を下回る、つまり「マイナス成長」の場合に年金受給額はそれらと同率の引き下げが実施されます。

例として、

  • 名目手取り賃金変動率:0%
  • 物価変動率:▲1%

の場合、年金受給額は後者と同率の▲1%となります。

しかし、年金受給額の減少は高齢者にネガティブな印象を国に与えてしまうので、2004年制定後、実行はされておりません。これは実は基準値が0.9%以下(名目手取り賃金変動率と物価上昇率のどちらか)である場合も同様の動きとなります。

Case:名目手取り賃金変動率と物価上昇率は調整率0.9%を上回る

上記は0%を下回った例でしたが、今回は「調整率」である0.9%を上回る場合はどうでしょう。

例として、

  • 名目手取り賃金変動率:2.5%
  • 物価変動率:3%

の場合、年金受給額は前者の名目手取り賃金変動率を基軸として計算されます。

2.5% – 0.9% =1.6%

これはどういうことでしょう。物価が3%も上昇しているのに、年金は1.6%しか上昇しないんですね。

年金受給額が物価上昇率に応じて増額されないのであれば、明らかに年金による資産価値は目減りしていきますよね。

日本政府は2%もインフレを目指していますが、そのような結果になると国民は損してしまいますが、なぜか文句をいう人は表には出てきません。

マクロ経済スライドもわかりにくいですよね。

この辺は「日本の財政破綻からのインフレ発生可能性を検証し必要な対策について考える」で詳しく解説していますので参考にしてみてください。

今後の年金受給額はどうなっていくのか?老後生活費に向けて着実な資産運用を検討しよう

結論から述べると、ほぼ確実に減少の一途を辿ることになるかと思います。

上記でも述べましたが、政府はインフレ率2%を目指しています。

例えば、労働賃金が上昇=需要の増加が見込まれますよね。これは物価上昇に繋がっていきます。労働者不足の背景を考えると、労働賃金は上げざるを得ない状況です。

名目手取り賃金変動率と物価上昇率の双方が上昇していくということは、上記の例を踏まえれば年金の価値は減少するほかありません。

ではどうすれば良いのか?

早めに資産運用を開始することが正解でしょう。日本政府に楯突くことはできないので、やはり自分自身で生計を計画的に立てていくべきなのです。

自分の身は自分で守ることが大切です。

オススメの資産運用先は以下の記事に金額別にまとめていますので参考にしてみてください。

それでは良い投資ライフを。