世界・日本の経済恐慌解説

リーマンショックの原因をわかりやすく解説・世界金融危機にみる教訓

 

これまで、日本バブル、ITバブル、アジア通貨危機などの記事で、世界経済が低迷した時期を解説してきましたが、今回は比較的直近に起こった「世界金融危機」、つまりはリーマンショックを取り上げてみたいと思います。

リーマンショックと聞くと、その事象の名前はとても有名ですが、実際に理解している人は本当に少ないです。

しかし、投資を考える上ではとても示唆的な事例ですので、解説していきたいと思います。

最初にわかりやすく、リーマンショックの流れを要約すると、

  • 2004年〜2006年にかけてアメリカ政策金利の低下
  • アメリカの住宅バブルが活況
  • 2006年にサブプライムローン(金融商品)による貸し出し過剰発生
  • サブプライム問題顕在化・住宅金融会社の倒産・証券会社の金融商品に含み損が拡大
  • 2008年に大手証券会社リーマン・ブラザーズが破綻
  • 世界大恐慌勃発、政策低金利時代突入

私自身、当時は総合商社に在籍しながらリーマンショックを経験しましたが、海外取引先への輸出が激減し、急激円高も進み私が担当していた「物流商売」の収益は激減しました。

リーマンショック直後のレートは、2008年9月15日に1USD=104.8円、同年12月17日には87.1円となりました。なんとたったの3ヶ月で17%も円高が進んだのです。

しかし、総合商社はポートフォリオ経営、つまりはビジネスを多角化しているので、影響はあったものの、「ナチュラルヘッジ」という一部は円高で損失を被り、一部は円高で大幅利益増加という素晴らしい体制を整えていたので、経営が傾くような状況ではなく社員の危機感はそこまでありませんでした。

ボーナスも特に減らず、総合商社、強し、ですね。

では、順を追って説明していきたいと思います。

「世界金融危機」(リーマンショック)とはどのような事象だったのか

NYC

時は少し遡り、2008年の9月15日、一つの世界経済を揺るがす大ニュースが報道されました。

当時アメリカ米国第4位の投資銀行・リーマン・ブラザーズの倒産でした。

同社は連邦破産法11条の適用を申請し、経営破綻が確定しました。

リーマン破綻の影響は世界経済に及び、「リーマンショック」と名付けられましたね。

投資銀行とは、Investment Bank、基本的には「証券会社」の中に投資銀行部門があるんですね。

彼らの仕事内容としてはM&A、資金調達のアドバイザリー、その他にも金融商品を作り、債権、社債、株式などを売りさばき、手数料で儲けるビジネスモデルで繁栄した業界ですね。

私の友人も当時まさにリーマン・ブラザーズの日本支店(六本木ですね)で働いており、リーマンショック後はそそくさと他の投資銀行に転職していました。同オフィスは現在野村証券が入ってます。

野村証券はリーマン・ブラザーズの日本法人含むアジア部門とヨーロッパ部門を買収し、人材もそのまま同社から獲得した結果となりました。

そもそも投資銀行に入社するような社員はエリートなので、転職で困ることはないんですけどね。いくらでも、どこでも生きていけます。

商社のNY駐在員に話を聞くと、テレビで段ボールに荷物を詰めて会社を去っていく姿を見たことがあるかもしれませんが、まさに次々と社員が「お引越し」していく状態だったと言います。

それを機に、起業して成功したよ!という人もいて、人生わからないものです。

当時の状況はドキュメンタリーが山のように出てきます。

私の勤めていた会社の近くにAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)という保険会社がありましたが、あっという間に無人オフィスになっていました。

アメリカの政策金利変動

USA low interest rate

政策金利については「日本の景気を先読み・経済成長と日銀金利、インフレ・デフレの関係性」で説明をしていますが、当時アメリカの中央銀行は低金利政策を敷いてしました。

当時のアメリカは金利を下げることで、経済の活性化を進めていました。元々財政赤字、経常収支赤字を米国経済は抱えていましたからね。

当時の政策金利の変動を見てみると、住宅バブルが起きたのは2004〜2006年の低金利時代、利上げが実行された後にサブプライム問題が顕在化し、2007年9月から政策金利を5.25%から1%まで、段階的に下げています

その間にリーマンは破綻し、経済恐慌となり、さらなる政策金利の引き下げを実施し、その後7年間という長い歳月を0〜0.25%の政策金利水準が維持されました。

以下は当時の米国の政策金利の推移です。

米国政策金利推移引用:ECONOMIC RESERCH

アメリカ住宅バブルの活況

住宅バブル

アメリカ中央銀行が低金利政策を始めたことにより、主に2004年〜2006年は不動産投資・建設ラッシュが始まりました。

住宅ローンの基本的な仕組みに関しては「不動産投資の事業性・財務レバレッジ・表面利回り・基礎用語の知識」の記事で解説しています。

当時の勢いとしては日本バブル期の盛り上がりと似たものがあります。

不動産価格は上昇し、それにつれ、担保にできる資産価値も上がるので借入を増やし再度投資するといったサイクルに入りました。

サブプライムローン(金融商品)による貸し出し過剰発生

住宅バブルが発生すれば、動き出すのが金融機関、主に「住宅金融(ローン)会社」です。

日本バブルの際にも金融機関がBIS規制の抜け穴を利用し、強気に金融商品を売り捌いていたことを思い出してみましょう。

アメリカも手法こそ違いますが「返済能力が低い低所得層」にこれから購入する住宅を担保に、高金利で融資を始めました。

high interest rate

住宅金融会社が不動産価格は上昇し続けると踏んで、高利での収益を求め始めたのです。返済ができなければ担保にした住宅を売り飛ばすということですね。

とにかく大前提として「不動産価格が上がる」というものですね。

これがサブプライムローンと言われる不動産融資ですね。一応サブプライムローンの定義を確認しておくと以下の通りとなります。

サブプライムローン(さぶぷらいむろーん)

英語表記はsubprime mortgage。米国において、信用力の低い借り手に対してお金を貸し付ける住宅ローンなどの総称。

米国の消費者の大半は、過去の借り入れ・返済の履歴と現在の借り入れ状況について、記録が取られており、これを点数化したクレジットスコアと呼ばれる点数がつけられている。クレジットスコアは、借金の返済が遅延すると低下し、クレジットスコアが低い借り手は信用力が低いと判断される。

サブプライムローンは、クレジットスコアが低い借り手に対して貸し付けられるため、ローンの回収遅延リスクは、信用力の高い借り手に対して貸し付ける住宅ローン(プライムローン)よりも大きく、金利も高めに設定される。したがって、返済される住宅ローンを担保として発行される資産担保証券等にサブプライムローン債権を組み入れられることも多く、サブプライムローンの延滞率の動向はこれらの資産担保証券の格付けにも大きな影響を与える。

  • サブ(SUB)=2番目のという意味ですが、アメリカ住宅バブルでは格下という表現が正しいでしょう。
  • プライム(PRIME)=重要な、主要な、などの意味です。
  • ローン(LOAN)=貸付ですね。

返済能力のない人々には、このローンは非常に魅力的ですよね。

貧困層の借り入れ

人々は喜んで借入をし、マイホームの夢を次々と実現していきました。

しかし、住宅金融会社も不動産価格の上昇を前提にどんどんと貸し出しを実行しましたが、リスクヘッジも考えるわけです。

そこで、低所得層に対する貸出(=債権)を他金融機関に「売却」していたんですね。その売り先が、リーマン・ブラザーズを含めた「投資銀行」でした。

つまりは住宅金融会社は融資するキャッシュこそそこまでないのですが、投資銀行に住宅ローン債権を売却することで「無限ループ」のように低所得層向けにサブプライムローンを組むことができる仕組みの出来上がりです。

住宅金融会社のノーリスクで利ざやを得るスキームの完成です。

無限ループ

ひとまずここでポイントを整理しましょう。

  • 2008年9月15日にリーマンショックブラザーズが破綻、世界金融危機が開始。
  • 2004-2006年の低金利時代に不動産投資・建設ラッシュにより住宅バブル発生。
  • 米住宅金融会社が返済能力の低い低所得層に住宅を担保に高金利融資を開始。
  • 住宅金融会社がリスクを避ける手段として「債権」を投資銀行に売却し、ノーリスクスキームが完成。

投資銀行のリスクヘッジ手法を紐解いてみる

投資銀行のリスクヘッジ

さて、住宅金融会社からサブプライムローンを売られた投資銀行は、単純にリスクを被っているようにも見えますよね。

ですが、投資銀行といえばエリート集団ですから、そこからさらにリスクヘッジを考え、高収益を得るスキームを考えます。

投資銀行が考えたのは、「債権」を「証券化」し金融商品とし他の顧客(投資家)に売り捌くということです。

但し、売却していたのはサブプライムローンの債権のみではありません。さすがに投資家も、サブプライム債権を売りつけられたら不満が出ます。

ではどうしたかというと、例えば他の企業の社債や、債権などを「ごちゃ混ぜ」にして、「リスクを見えにくくして」世界の投資家に「高金利」商品として売りに売りました。そんなこと可能なんだ・・・と当時は思ったものです。

ですが、リスクはリスクです。世界の投資会社、投資家もバカではありませんしリスクの認識はあったでしょう。

そこで、「ごちゃ混ぜ金融商品」に元本保証をする保険会社をつけました。

その保険会社の一つが「AIG」だったんですね。AIGは特に積極的にサブプライムローンビジネスに参入していきました。

AIG

AIGは、”American International Group”の略で、AIGグループは世界の保険業界のリーダーとして、130以上の国・地域において事業展開を行っています。現在、AIGグループ各社は、世界最大級のネットワークを通して、個人・法人の顧客に対して、損害保険の商品・サービスを提供しています。また、この他にも、米国においては、生命保険事業やリタイヤメント・サービス事業なども展開しています。

引用:AIG

保険

保険がついてる商品は、当時、格付け機関、ムーディーズやS&P(スタンダード・プアーズ)などが容易に「トリプルA」(AAA)のお墨付きを与えていました。

これは時代の流れもあり、良い評価を出さないと仕事がなくなってしまうという実態が各格付け会社にはありました。

格付けを依頼するのがそもそも投資銀行側であり、「お客様」ですからね。

格付け会社の優良顧客の評価は常に高く設定されることになります。(めちゃくちゃですよね)

サブプライムローンの問題が表面化した瞬間に格付け会社は一斉にランクを数段下げたんですけどね。

評価なんていくらでも操作できますから、若者の「ノリ」みたいなものです。

rank

ここまででも、投資銀行の狙いは明白ですね。機関投資家などにリスクをぶん回し、結果的には問題が表面化しAIGのような保険会社が総崩れしたわけです。

リスク商品ですから、当該証券を持った機関投資家は格段に高い利回りを得ることができます。債権を買ってトランスフォームして機関投資家に売る、という「売買」を実行していました。中抜きです。商社みたいですね。

これが儲かるんですね、住宅金融会社、投資銀行からすれば「ノーリスク」・ハイリターンの典型的な商品です。

サブプライムローンの組入額は10年で6,000億ドルを超え、内容としても家の価格の99%を借入するという、正気ではない商売です。

実は、2006年くらいから問題が取り沙汰され有名になったサブプライムローンですが、実は1999年くらいからまだまだ投資銀行としては弱かったリーマン・ブラザーズが打開策として果敢に始めたビジネスモデルでもあるんですね。

サブプライムローンで成り上がったとも言える証券会社でした。

投資銀行は高い利回りをつけた債権(=証券)を大規模な売却をすることで利益を得ていきました。ハイリスク・ハイリターンな商品を「投資家に」ぶん回していました。

この背景には、投資銀行の社員のボーナスには出した利益に応じて増額し、その後の損失には罰則がなかったことにより、社員はまさに「いけいけどんどん」だったわけですね。リスク軽視主義です。

不動産価格が下がるまでは。

住宅バブル崩壊の悲鳴・証券会社の金融商品に含み損が拡大

住宅バブル崩壊さて、投資が進めばいつかは必ず価格が高止まりし、急降下する時期がきます。

アメリカの住宅バブルも例外ではありません。不動産価格の高騰が止まれば、担保価値も下がり、返済能力がもともとなかった人々から金融機関は資金の回収を始めますね。

不動産価格の上昇が止まったのはアメリカ中央銀行こと「FRB」(Board of Governors of the Federal Reserve System)が政策金利を引き上げたことがトリガーとなりました。2006年のことです。

当然ながら「債権回収」は難しく、担保としていた不動産の価値も下がっているので債権者(=消費者、投資銀行)としては困り果てるわけですね。

そもそもサブプライムローンの審査もガバガバで、収入欄に記入しなくても審査が通っていたという話もあるので、不動産価格が上がらなかったらアウトな案件ばかりだったのです。

仕方なく担保である不動産を回収し、売り捌こうと考えるわけですが、高値では売れず、安値で売るしかなくなり、この動きが加速し不動産価格の低下は加速しました。

もちろん返済ができなかった人々は路頭を彷徨う結果になってしまうわけです。金融機関に振り回され、家を失う家族が大量に発生しました。住宅関係者の雇用も失業の嵐。

経済の知識が如何に必要であるかを物語る状況です。

さて、今一度ここまでの事象をまとめてみましょう。

  • 住宅金融会社がサブプライム債権を投資銀行に売却し、投資銀行は債権を証券化。
  • この「証券化」は他金融商品と組み合わせ、他投資家に営業を開始。
  • 投資家へのリスクが高すぎるため、投資銀行は元本保証の保険を付与。
  • 格付け機関は優良顧客である投資銀行が用意した金融商品であり、保険も付いていることで商品の格付けをトリプルAに設定。
  • サブプライムローンの組入額は10年で6,000億ドルを超え、内容も住宅価格の99%が借り入れで組成されていた。
  • 投資銀行社員もリスクが顕在化し損失が出た時の罰則が設定されておらず、とにかく売り捌くことにコミットしてしまった。

大手証券会社リーマン・ブラザーズの株価暴落、韓国政府機関なども救済せず撤退、そして破綻へ

リーマン・ブラザーズ破綻

このように高金利、不動産を担保とし金融商品を積極的に生み出していたリーマン・ブラザーズは破綻しました。当時のリーマンは米国第4位、Moody’sの格付けでもトリプルAの超優良金融機関でしたし、アメリカ経済を回す立役者とも言える存在でした。

そもそもサブプライム債権を買って金融商品にして売ってたリーマン(投資銀行)はノーリスクじゃないの?という話ですが、単純に「仕入れ過剰」で爆発しただけです。

倒産時の負債総額はなんと6,130億ドル、1USD=100円で考えたら61兆3千億円ですね。意味がわからないですね。

1位:ゴールドマン・サックス
2位:モルガン・スタンレー
3位:メリル・リンチ
4位:リーマン・ブラザーズ
5位:ベア・スターンズ

リーマン・ブラザーズをもう少し具体的に説明すると、ドイツ出身の「リーマン」という名の3兄弟が1850年に立ち上げた、金融機関ではなく、綿花の取引をメイン事業とした会社でした。総合商社でいえば伊藤忠商事のような会社ですね。

「局地戦でも負けない」が裏スローガンの伊藤忠商事です。

伊藤忠商事は綿花以外の事業も多角化し、日本でも有数の総合商社となりましたが、リーマンに関しては鉄道建設債券市場に参入したことをきっかけに、金融アドバイザリーに振り切り、1887年にはニューヨーク証券取引所の会員に、1899年には社債の引き受けを開始し、会社買収を繰り返しながら上場を経て、アメリカの中枢を担う組織とまでなりました。

大躍進ですね。

リーマン・ブラザーズと関わりのある金融機関、取引先は世界中にあるわけですから「リーマン破綻」という大地震は世界経済に大きな影響を及ぼしました。

2008年にリーマン・ブラザーズが破綻したので、サブプライム問題は同年に急速に拡大したものと思われている人が多いですが、実は2006年には顕在化していたのです。

2006年にはサブプライムローンのデフォルト増加が認識され、2007年には大手住宅金融会社の破綻が相次ぎました。2007年4月2日には住宅金融大手のニューセンチュリー・ファイナンシャルが倒産、RMBS*やCDO*も格下げが続き、サブプライム問題は金融市場にて拡大を続けました。

RMBS(あーるえむびーえす)

Residential Mortgage-Backed Securitiesの略称。住宅ローン担保証券。モーゲージ証券(MBS)の種類の一つで、住宅ローンを担保として発行される証券のこと。

住宅ローンの貸し手であるオリジネーターが、住宅ローンを貸し出し、この住宅ローン債権を証券発行体に売却する。証券発行体は、これをもとにしてモーゲージ証券を発行する。発行された証券は、元利金支払いの保証などで信用力や格付けを高めたうえで、投資家に販売される。

引用:RMBS

CDO(しーでぃーおー)

Collateralized Debt Obligationの略称で、日本語では債務担保証券。社債や貸出債権(ローン)などの資産を担保として発行される資産担保証券の一種で、証券化商品である。

担保とする商品が債券または債券類似商品である場合はCBO、貸出債権の場合にはCLOと呼ばれる。CDOはCBOあるいはCLOのいずれか、またはその双方を包含する商品である。

CDOは1980年代に米国で初めて発行され、日本においてもBIS規制対策として都市銀行が発行を開始。サブプライムローン問題の深刻化以降、発行残高は激減したが、日本証券業協会及び一般社団法人全国銀行協会の調べによると2016年度上半期(2016年4月〜2016年9月)で470億円程度の発行金額となっている。

引用:CDO

顕在化していたにも関わらず、投資銀行は手を止めず、次々とサブプライムローンを活用したビジネスをしていたんですね。

ここで面白い話が、ゴールドマン・サックスもサブプライムローンビジネスに積極的に参入し、CDOを世界の投資家に販売し、売ったCDOに主にAIGのCDS*を掛けて二重に手数料を顧客から受け取り、AIGの経営状況を把握しながら他の保険会社にAIGが破綻した場合に備えて更なるCDSを掛けていました。

Credit default swap

うまくコストも交渉して調整していたんでしょうね。

つまり、負けようのないスキームを確立していたんですね。エリートが儲けるために本気を出すと怖いです。

CDS(しーでぃーえす)

Credit default swapの略称で日本語読みはクレジット・デフォルト・スワップ。クレジット・デリバティブの一種で、企業の債務不履行にともなうリスクを対象にした金融派生商品。対象となる企業が破綻し金融債権や社債などの支払いができなくなった場合、CDSの買い手は金利や元本に相当する支払いを受け取るという仕組み。

引用:CDS

さて、これは大企業話なのですが、基本的にリーマン・ブラザーズのような大きな企業が倒産の危機に追い込まれた時は、同じ業界の企業などが「吸収合併」するものです。

メリットがたくさんありますからね。顧客基盤も引き継ぐことができます。

M&Aしかし、リーマン・ブラザーズが経営破綻する寸前には、合併を名乗り出る投資銀行は現れませんでした。状況が深刻過ぎたのです。

リーマン・ブラザーズに融資をしてくれる金融機関もこの頃は貸し渋りが始まり、債権者の「取り付け騒ぎ」待った無しの状況でした。

ゴールドマンサックスを始め、モルガン・スタンレー、Merrill Lynchなど3大投資銀行も同様にサブプライムローンには首を突っ込んでいるので、状況は厳しく、政府の損失補填なしではM&Aは不可能という判断でした。

「身売り」さえできなかったのです。バンク・オブ・アメリカ、英国投資銀行・バークレイズキャピタルにまで合併を持ちかけていたんですが、こちらも「政府保証」が必要と、出資を却下。

バンク・オブ・アメリカに関しては、暗躍者がおり、結局メリルリンチの買収に鞍替えしリーマン・ブラザーズ万事休す、でした。

最終的な吸収合併の構成図は以下の通りです。

リーマンショック後の合併構成引用:朝日新聞

株価もリーマン経営破綻が噂される前は、80ドル以上だったものがどんどん下がり、経営破綻寸前は4ドル台を切っていました。

基本的にこのような状況になると、アメリカ政府も、大手銀行が倒産するわけですから救済を考えるものです。世界を揺るがす事件になってしまいますからね(なりましたが)

アメリカのベアー・スターンズという米5大証券の一つであった投資銀行も2007年に経営破綻寸前で政府に救済され、その後J.Pモルガン・チェースに吸収合併された例もありました。

同社は傘下の投資ファンドがサブプライムビジネスに積極的に参入しすぎたため、大きな損失を被りました。公的資金ですが、最大290億ドルまでは肩代わりするというアメリカの正式な救済策です。

アメリカしかし、当時はブッシュ大統領率いる共和政権でして、

「国に頼らず、自己責任でやっていくべき」

というスローガンを掲げているものですから、リーマン・ブラザーズの救済法案を否決しました。韓国の政府機関、商業銀行も出資を検討していましたが、財務状況が知れ渡り、格付けが下がるのも見えていたので撤退していきました。

自業自得、といえばそこまでなのですが、如何に経済の変動が激しい時に政府のビジョン、実行している政策、考え方を知っておくことが大切かがわかりますね。

日本は特に若者が選挙に興味を持ちませんが、国というプラットフォームを動かしている人たちの考え方を把握するだけで、今後の投資方針などがガラリと変わるものです。

但し、今回のアメリカ政府のリーマン・ブラザーズを見捨てたことは明確に「読み違い」でした。想像以上に金融危機が進んでしまったのです。

この項目も長くなってしまったのでまとめます。

  • 高金利、不動産を担保とし金融商品を積極的に生み出していたリーマン・ブラザーズは破綻。
  • 倒産時の負債総額はなんと6,130億ドル、1USD=100円で考えたら61兆3千億円。
  • 「リーマン破綻」という大地震は世界経済に大きな影響を及ぼした。
  • 大企業が倒産の危機に追い込まれた時は、同じ業界の企業などが「吸収合併」するのが通常だが、リーマンブラザーズは深刻な状況だったため政府保証なしでは合併してくれる会社が存在しなかった。
  • 政府保証に関しても、ブッシュ政権下では「自己責任」とされ、救済法案が否決され、リーマン・ブラザーズの倒産が確定した。

リーマンショックでついに株式相場も暴落、日本バブル崩壊を思い出す

バブル崩壊

不動産の価格が暴落し、さらにリーマン・ブラザーズが破綻したことにより金融不安が日に日に増大していきました。

世界恐慌になると考え、ニューヨーク株式市場が大暴落、株式価値が下がった企業は資金繰りが一気に苦しくなり、経済活動を縮小しました。Lay off(=解雇)も進みます。

NYダウは777ドルと史上最安値を記録。アメリカの製造業の王様、ゼネラル・モーターズも経営不振から米国経済への不安は高まり続けました。

リーマンショック後の世界経済・日本、ヨーロッパへの影響

リーマンショック後の世界への影響

アメリカの経済が不調になるとどのようなことが起きるでしょうか?アメリカは世界経済の中心です。様々な国に経済不安は波及していきます。

地域別に見ていきましょう。

日本経済への影響はどうだったのか?

円高ドル安

リーマンショックが起きた直後、日本の為替レートは、2008年9月15日に1USD=104.8円、同年12月17日には87.1円(17%高)となりました。

基本的に、日本は海外資産が多く、震災などが起こった際には海外資産を円貨に戻す必要があるので、為替トレーダの円の買いが進み円高となるのが通常です。

詳細は別記事「バングラデシュ不動産投資をする上での為替リスクについて考察(前編)」で、新興国の為替を例に書いているので参考にしてみてください。

リーマンショック時は、日本の金融機関もサブプライムローンにそこまで手を出していなかったので、リスクは限定的であるという見方がされていました。

つまり、日本が海外資産を取り崩して円貨を集める状況ではなかったのです。ではなぜここまで円が高くなったのでしょう?

理由としては、サブプライムローンによる影響が大きい国々の投機マネーが、日本を「避難所」として円買いに走ったのです。世界から見ても日本は経常収支が黒字でしたし、投資先を急いで探している投資家達はひとまず日本に避難したわけです。

月中平均でまずは為替レートの推移を見てみましょう。

日本の月中平均為替レートの推移参考:日本銀行・主要時系列統計データを元に筆者作成

リーマンショック直後の「月中平均」で2008年8月の1USD=109.24円から同年9月に106.71円と急激に円高が進んでいますね。投機マネーの動きは早いです。

では月中「最安値」の為替レートを見てみましょう。

月中平均でまずは為替レートの推移参考:日本銀行・主要時系列統計データを元に筆者作成

このグラフでより円高への勢いがわかると思います。

2008年8月の107.32円から9月には103.5円まで円高が進みました。

その後、2009年3月にはレートは円安に触れることになりますが、上下動を続け、2011年3月の東北大地震で1USD=77.15円まで円高が進行することになります。

円高に進むということは、外国人投資家が6割を占めるとされる日経平均株価は暴落しますよね。

日経平均株価暴落引用:SBI証券

2008年10月の日経平均株価は6,994円まで下がってしまいました。日本企業は株価低迷により資金調達が難しくなり、ビジネスはもちろん加速しません。倒産した企業ももちろんありました。

日本に直接的な経済低迷要因がなくても、世界経済の状況次第では危機に巻き込まれてしまうということがよくわかる事例ですよね。

ヨーロッパ経済への影響はどうだったのか?

EU

リーマンショックはヨーロッパに特に大きな経済影響がありました。

ギリシャ破綻危機、欧州債務問題と一時期テレビではヨーロッパの経済動向しか報道されなかった時期がありました。

欧州の中でも、EURO加盟国は他の国と比べても回復が大きく遅れました。

その理由は各国が独立して金融政策を行使出来ず、後手に後手に回ってしまうのが理由ですね。

ギリシャやスペインのソブリン危機を思い出してもらえばわかるかと思います。

欧州債務危機は、「欧州ソブリン危機」や「ユーロ危機」とも呼ばれ、ギリシャの財政問題に端を発した債務危機が南欧からユーロ圏、欧州へと広域に連鎖した一連の経済危機をいいます。

これは、2009年10月のギリシャの政権交代を機に、同国の財政赤字が公表数字よりも大幅に膨らむことを明かしたことに始まり、当初はギリシャ危機のみでしたが、その後、アイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリアなどに飛び火し、さらには欧州全体の金融システムまで揺るがす事態となりました。また、マーケットでは、当時、債務問題の中心となった、ポルトガル(P)、アイルランド(I)、イタリア(I)、ギリシャ(G)、スペイン(S)を「PIIGS諸国」と呼びました。

引用:欧州債務危機

通常の為替の「変動相場制」であれば、「経済危機」が起き、通貨の信用が低下しても、アジア金融危機の時のタイように、「通貨が安くなり」、輸出で為替メリットを教授することができます。

しかし、EURO加盟国である、具体的には「ギリシャ」や「スペイン」は独自に、スピード感のある「金融政策」を取れず「通貨高」が続いてしまったのです。

このスピード感をみても、英国がEU離脱したいと言う理由が理解できますね。

英国EU離脱引用:東洋経済オンライン

そもそもEURO圏でで圧倒的な力を誇るドイツと、経済規模の小さいギリシャが同じ通貨を使用しているという点で、齟齬は起きるわけですね。

この辺はギリシャ危機をテーマに記事を書きたいと思います。

世界金融危機にみる教訓

世界金融危機からの教訓

上記までの世界金融危機の解説を読んでいただければ理解できたと思いますが、「異常な好景気」はいつか必ず終わります。

そしてリーマンショック直後の日本の不況を考えると、如何に世界はアメリカを中心に回っているかも実感できるものと思います。

私たちは常に高いアンテナを張って、アメリカの金融政策、日本の資産保全のスタンスを考慮した上で投資先を選択していく必要がありますね。

サブプライムローンのように、根拠をしっかりと理解せずに「不動産市場は高騰する」というセールスマンの売り文句に乗ってはいけません。

きっちり根拠を固めた上で投資は実行していきましょう。

例えば、リーマンショックのような経済危機でも経済成長を継続した「内需が強い国」は今後の投資先として、積極的に検討すべきです。

例えば、2018年でオススメの投資先として金融危機時も経済成長5%を超え、

今後も内需の拡大が見込むことができるバングラデシュ不動産は大きなリターンが見込めます。

状況としてはフィリピン不動産が盛り上がりを見せる少し前の水準となりますので、

海外投資で収益を獲得したい人は、情報収集するようにしましょう。

➡️経済成長著しいバングラデシュの不動産(土地)投資で資産を大きく育てる -最大8倍リターンを実現-

尚、リーマンショック後の米国の復活劇については、アメリカのREITをテーマにしている記事で解説しているので参考にしてみてくださいね。

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