新興国不動産

新興国不動産投資の法規制を解説(バングラデシュ・中国・インド他)

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私は現在はバングラデシュ不動産に集中投資していますが、海外不動産投資を考える際には、投資家の頭を悩ませる様々な法規制があります。

今回は、

「海外不動産投資を考えているが、各国の法規制がわからないので不安」

「実際に、各国の不動産に関する法律はどのようになっているのか?」

という方向けに、新興国各国の法規制についてわかりやすく解説していきたいと思います。

今回のポイント

  • 新興国に不動産投資する際は現地の法規制を把握しておくことが極めて重要。
  • 中国、ベトナムは同国の国民でも土地の所有は認められず、土地の使用権のみ認められる。
  • フィリピン、ミャンマーはコンドミニマム投資のみ認められ、現地需要の恩恵を受けることができない傾向にある。
  • インドはそもそも外国人の不動産投資が認められておらず、バングラデシュは法人設立(外資100%)で土地まで所有できる特異な国である

『中国』の不動産投資に係る法規制

最初に、私が新興国の不動産投資を始めるきっかけとなった中国からです。

現在では中国は既に不動産バブルを経験しており、今から投資参入を考えるのであれば、かなり「注意深く」投資をしないと利益を出すのは難しいどころか、大損することも有り得ます。

中国では、殆どの新興国と同様に建物と土地は「別ものである」と考えられています。

中国の土地所有に対する考え方についてJETROの調査を引用します。

中国では土地の私有が認められておらず、土地はすべて国有または集団所有である

都市部の土地および法律で国有と定められている農村および郊外の土地は国有であり、その他の土地は集団所有である。

外商投資企業(中外合弁企業、合作企業、独資企業)および中国国内資本の企業を含むあらゆる企業ならびに経済組織は土地の所有権を有しない。

国政府は土地の開発利用を厳格にコントロールしている。

引用:JETRO

上記の通り、中国国内の土地は全て「国」のものであり、例え中国国民であっても、中国企業であっても所有権を有することはできません

最後の一文、

「国政府は土地の開発利用を厳格にコントロールしている」

という表現も怖いですね。

中国では土地は国の所有物なので、住んでいる場所に開発計画が企画されれば「立ち退き」を強要されることを中国不動産投資実行する際に聞かされ、驚いた経験が有ります。

ドラえもんで有名なジャイアンの表現、

「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの」

がぴったり当てはまるような感じですね。

例えば中国人、中国企業が土地に対して取得できる権利としては、

土地使用権

が該当します。

土地使用権として土地を利用する代金を支払えば、一定期間(居住の場合70年、工業用地は50年)自由に土地を「使用」することが出来るという権利です。土地の値段が上がっても所有権がないので土地の売却はできません。家賃払ってるようなものですね。

自国民や自国企業に対してもこれだけ厳格なルールを定めているのですから、外資系企業に対する規制は更に厳しいものです。

「外資企業」や「外国人」は中国の土地の所有権はもちろんのこと「土地使用権」の単独取得も禁止されています。とにかく土地に対しては権利を認めず、利用するのであれば固定費を払いなさいということですね。

ただし、中国国内の「建物を購入」することにより、建物の「占有範囲」の土地使用権のみ取得できるようになっています。中国の不動産投資をする場合はこの形態になりますね。

『フィリピン』の不動産投資に係る法規制

次に、海外不動産投資として近年まで人気のあったフィリピンについて詳しくみていきたいと思います。

フィリピンでは「建物」と「土地」は別々に売買、並びに賃貸取引の対象となります。

建物は単独で登記できず、土地の付属品として考えられ、登記も土地の登記に「付記される」形となります。

まず、フィリピンの国民は、

「土地並びに建物の所有が可能」

です。

一方、「外資規制」により外国企業・外国人の土地の所有権は認められていません。

外資企業がフィリピン企業として認められ、所有権を得るにも、フィリピン国民の出資比率が60%である法人を設立する必要があります。

その一方で、外資企業・外国人であっても「土地の貸借」については認められており、外国人による土地の貸借の期間は原則25年としています。ここが中国とは違う部分ですね。

外国人による土地の所有は認められていませんが「建物の区分所有」が「コンドミニアム法」によって認められています。詳しく知りたい人は以下のリンクが公式です。

引用:REPUBLIC ACT

しかし、当然ながら建物の区分所有であり、コンドミニアム一棟をまるまる保有することはできません。つまり外国人はコンドミニアムの中の全体の床面積の40%未満しか購入することができません。

『ベトナム』の不動産投資に係る法規制

次にベトナムです。フィリピン同様、東南アジアの中で不動産投資が注目されている国の一つですよね。

しかしフィリピンほど、ベトナム不動産は盛り上がっていません。

その理由として、まずベトナムの「建物」と「土地」ですが、フィリピンと同様、別々の不動産という扱いであり、登記上は不動産に建物が付記されるという形式となります。

ベトナムの土地法が2009年に改正される以前は、土地の登記と建物の登記も別だった時代もあります。

ベトナムは「社会主義国家」であり、土地は「全国民のもの」としています。

その為、ベトナム国民であっても土地の所有は認められていないのです。

ベトナムにおいて土地の取引で権利の対象となるのは中国と同じく「土地使用権」です。

外資企業がベトナムの土地使用権を取得する為には、

「ベトナム当局から許可を受けたプロジェクト」

ではないと取得不可能であり、使用権を取得するには個別のプロジェクト(商業施設建設など)と密接に結びつけなければいけないのです。

またプロジェクト内容が変更となれば、当局に都度申請して許可が必要になります。当局が判断するものですから、しかもベトナムは新興国です。一筋縄ではいかないでしょう。

外資系企業が不動産を事業とする場合は、会社に現地の資本が入っていなくても、販売・賃貸用の建物の建設や不動産仲介業は可能です。

基本的に、私の意見ですが土地の所有権を持つことができず、国の政策次第では剥奪されること、同国の経済成長率を考えると、少しリスクが高すぎるように思います。

『インドネシア』の不動産投資に係る法規制

インドネシアも不動産投資を考える上で有望な新興国と言われておりますが、人口は東南アジア諸国最大の2.6億人を抱えており、1人あたりGDPが3,500USD近辺とフィリピンの少し上となり、投資を実行するにはGDPの基準からいっても少し遅いですね。中所得国の罠(1人あたりGDP10,000USD)までの距離が近いです。

インドネシアでは、法的に建物と土地は「別個の不動産」として扱われますが、別個に土地と建物が取引されることは稀とのこと。

インドネシアはインドネシア国民のみ土地の所有権を有することが出来ますが、インドネシアの「国内企業」は土地を所有することができません

インドネシアもフィリピンと同様、法的に「土地の賃借」が可能ですが、土地を貸借した上で建物を建設することは一般的ではなく、所有している土地の上に上物をたてて、その建物を賃貸する取引は一般的に行われています。

インドネシアの企業間で取引できる土地の権利は、建設権、使用権があります。

建設権とは土地の上の建物を建設して、その建てた建物を所有する権利で期間は30年となります。更にここから最長20年延長することが出来ます。

使用権とは土地を特定の目的の為に使用したり、土地でとれる作物を収穫する権利で期間は25年で、最長20年延長することが可能です。

この建設権と使用権についてはインドネシア法に則って設立された法人であれば、国内企業であっても外資系企業であっても問題なく取引することが出来ます。

建設権を保有することが出来る法人に出資が出来れば、期限付きではありますが土地の所有権と同等の効力を保持するころが出来ますので、比較的規制が緩い新興国ということができるでしょう

また補足情報ではありますが、外資100%企業でもベトナムでは不動産仲介業は運営可能でしたが、インドネシアでは不動産仲介業は内資100%でも許可されません。

『タイ』の不動産投資に係る法規制

次にたいですが、同国はそもそも1人あたりGDPが6,000USDを超えて既に不動産投資に妙味がある基準、1人あたりGDPが1,000USD~3,000USDを抜け出しており、不動産投資にはもう遅すぎると言える国ですね。

タイは今までの新興国と異なり、「原則として」建物は土地と「一体の不動産」として考えます。

原則と記載したのは、土地貸借など、土地に対して所有権を所有しない人が建物を建設する場合は不動産と土地は別の不動産としての扱いとなります。

現地の国民と企業については問題なく土地所有権を保有できます。外国人についてはフィリピンと同様に外国人・外国企業による土地の所有は認められていません。

因みに外国(外資)企業の定義とは「資本の49%以上」が外国人の出資、または株主の「頭数」(人数)ベースで、過半数が外国人の企業となります。

一方タイはフィリピン同様、コンドミニアム法が適用され、建物自体は総面積の49%を超えない範囲で外国人による所有が可能になります。

タイの外資規制も厳しいものがありますね。

『インド』の不動産投資に係る法規制を解説

次に、今後人口が世界最大となり、GDPも中国に肩を並べ、超えていくことも想定されるインドについてです。

現在のインドの1人あたりGDPは2,000USD程度なので、不動産価格が最も上昇していく時期ですよね。しかし、インドの不動産投資ってあまり聞かないのではないでしょうか。

そこにはインドの不動産法規制が密接に関わっています。

インドでは建物と土地は「別の不動産」と考えられており、それぞれ別個に売買や賃貸の対象となります。

インドの国内企業が取引できる不動産所有権は二つあります。

  1. 完全な法的所有権であるFreehold
    Freeholdを保有すれば、土地・不動産をあらゆる目的(プロジェクトなど)に使用することが出来ます。
  2. リース契約にあたるleasehold
    Leaseholdは一定期間(99年以下)、賃貸人と賃借人との間で締結される賃貸借契約に基づいて土地を占有・使用する権利を有すことが出来ます。

外資規制は厳しく、原則として「外資企業・外国人」はインド中央銀行の許可がない限り、インド国内の不動産を取得することは出来ません。

また外資規制によって不動産売却によるキャピタルゲイン、並びにインカムゲイン目的とし不動産投資を実行する事業を、「外資企業が」行うことを禁止しています。(※不動産売買業・不動産仲介業も不動産事業に含まれます)

外資企業は上記で定義した、不動産事業を行っているインドの国内企業への出資も認められていません。

つまり、外資系企業、外国人がインドの不動産事業に参入することはかなり厳しい状況です。

『ミャンマー』の不動産投資に係る法規制

ミャンマーも成長著しい新興国の1つであり、1人当たりGDPも、バングラデシュと同様の1,000USD近辺で不動産投資を行う上でも非常に魅力的な状況になっています。

実際、私の勤めていた総合商社でもミャンマーを重点地域として考えており、かなり人と資金をミャンマーに投下していました。しかし、ミャンマー不動産投資をしている人もあまり聞きません。これも例によって不動産法規制が関係しているのです。

ミャンマーではタイと同じく「建物は土地の付属品」と考えられ、法規制があり、別個の取引の対象とはなりません。

しかし、コンドミニアム法によって建物の一室が独立した所有権・取引の対象と認められていたりと、少し曖昧です。

ミャンマーでは外資企業・外国人の不動産購入に厳しい規制を敷いており、外国資本が35%以上入っている企業は外資系企業として定義され、土地の保有が禁止されております。つまりは35%以下の外資資本であれば不動産購入が可能ということでもあります。

1 年を超えて外資系企業・外国人に賃貸することも禁止されています。(現地投資法に基づいて、ミャンマー投資委員会の許可を得れば50年までの賃貸は可能になります)

然し例外的にコンドミニアムにおいては、部屋数全体の40%を超えないレベルでの所有は認められていますので、コンドミニアム投資についてはフィリピンと同様の形で実行できそうですね。

しかし、ミャンマーのコンドミニアムは駐在員需要に限られたもので、既に不動産価格は日本と同様のレベルまで高騰しており、時すでに遅し、という感じですね。

『バングラデシュ』の不動産投資に係る法規制

最後にバングラデシュの不動産規制について触れていきたいと思います。

バングラデシュ不動産は、現在国の1人当たりGDPが1,000USDを超え、不動産価格が上昇する局面に入っており、首都ダッカの人口密度は世界1位、今後も人口が増大していく状況です。

このような投資には好条件であることを考えると、インドのように外国人に対する不動産規制は非常に厳しいのでは?と想像してしまいます。

しかし、バングラデシュは、外国人でも法人を設立すれば土地を所有できる、非常にゆるい不動産規制を敷いています。

法人設立の出資比率に関しても、フィリピンやタイなどで出資比率が制限されていましたが、バングラデシュの場合は「100%外資系企業」でも土地に投資ができます。

土地そのものに投資可能であり、コンドミニアムの区分所有のみ可能であるフィリピンやミャンマー等の国では駐在員需要しか狙えませんが、バングラデシュでは現地の国民・企業の需要まで取り込めることになり、非常に魅力的な投資案件です。

2018年にまさに投資するのであれば、バングラデシュであることは間違いありません。あなたも投資で大きなリターンを最小限のリスクで得たいと考えているのであれば、まずは情報収集を徹底的にすることから始めることをオススメします。

私は以下のセミナーに参加し、バングラデシュ不動産のみならず、海外投資の基礎知識も学べましたので大変有益でした。投資はタイミングが重要であり、機を逃すかどうかで人生そのものが変わります。

尚、以下の記事では他の投資先とも比較できるので、積極的に検討してみましょう。投資は情報が命です。

おすすめ海外投資先ランキング

僭越ながら、もしあなたがすでにバングラデシュ不動産への投資に興味があるという場合は投資を急いだ方が良いです。最もリターンが大きい都心はもの凄い勢いで日本含む海外から投資が実行されており、当然ながら土地には限りがあります。

ここは早い者勝ちなので機会損失だけは絶対に避けましょう。

それでは。