世界・日本の経済恐慌解説

『日本バブル崩壊の原因解説』株価暴落で経済衰退・不況時代の幕開け

前回の記事「『日本バブル発生の原因を解説』財テクで東京地価・株価高騰の好景気」では、如何にして日本のバブルは発生したのか?という点について解説してきました。

今回の後編では、なぜ日本のバブルは「崩壊」したのかについて迫っていきたいと思います。

如何にして日本バブルは崩壊していったのか?

まず、前編の復習を少しすると、バブルが起こった理由は日本の株価と不動産価格が高騰する「仕組み」が構築され、人々が狂気の如くお金稼ぎに走ったからであるというお話をしてきました。

その仕組みとは「ワラント債」と「財テク」を活用し、そこに人々の狂気が乗っかったということでしたよね。

でも、こんな狂気がいつまでも続くわけがないですよね。

【緊縮策→債務再編→富の再分配→紙幣発行】経済政策にみる『国力』」でも解説しましたが、経済が停滞する時は、

「債務」が「所得」より早く増えた時

です。

日本バブルの崩壊は、この理論に綺麗に合致するんですね。

では詳細を順を追って見ていきましょう。

日本にも途上国のような汚職があった

バブル時代、狂乱の世界には必ず暗躍者がいるものです。

そして「経済」において暗躍しやすいのは誰か?と考えるとどう考えても「政治家」ですよね。

なんせ国の経済の「プラットフォーマー」なのですから、やり方次第では国の動向を操作し放題なわけです。

これだけ経済が盛り上がっていると、政治家も同様に1人の人間ですから時流に乗って私も稼ぎたい!となってしまうのは心境お察しするところです。

バブルで盛り上がっているある日、一つの大きな事件が起きました。

リクルート・コスモスという未公開株が当時存在しました。この株はのちに「リクルート事件」と命名される「戦後史上最悪」の汚職事件に繋がります。

リクルートといえば現代の悪魔のような就活プラットフォームを作ってしまった立役者ですが、日本のバブル崩壊にも一枚噛んでいたんですね。

バブル当時、リクルート創業者の江副浩正さんは政界入りを虎視眈々と狙っていました。

リクルートは現在でも就職、転職、恋愛、旅行etcと多角的な事業を展開していますが、バブル当時はもちろん盛り上がっている「不動産事業」も展開していました。この事業を営んでいたのがリクルートコスモスです。

お金大好きリクルートですからね。儲かるものは全てやります。政界入りを狙う江副さんは、不動産業を営む子会社であるリクルートコスモスの株を政治家や官僚に気前よくばら撒いていました

江副さんとしては政界入りの強いパイプが欲しいですからね。つまり賄賂です。政治の汚い世界は金なしでは渡っていけないんですよ。

しかし、政治家はマスコミの格好の的ですから、マスコミにもお金配っとかないとあっさりバレるんですね。当時も配っていたでしょうが、規模が大き過ぎて限界がありました。

ここで12人の閣僚、代議士、事務次官という政治家に加え、NTTの元会長と他関係者が有利に株式を受け取っていたことがバレました。

未公開株が上場した瞬間にその譲渡された人たちは億万長者になれるという算段でした。一般投資家を馬鹿にしていますよね。

株式を譲渡されていた人物の中には元総理の中曽根さん、首相の竹下登さん(ウィッシュ!ことDAIGOのお父さん)、副首相の宮澤喜一さん、我らが安倍晋三総理の父である、政治界隈のフィクサー安倍晋太郎さん、日経新聞社社長の森田康さんもいました。

大物しかおらず、もう国は誰を信じれば良いかわからない混乱した状況ですよね。

さらによりによって国の長である竹下登さんが政治献金も含めて1.5億円ほど譲渡されていたことが発覚しました。この事件を受け竹下登さんの秘書の青木さんが自殺。

基本的にこのようなことは首相の知らないところで秘書が進めてしまうのがパターンですが、真相は闇です。

引用:1989年4月26日の朝日新聞夕刊

大蔵大臣の宮澤喜一さんと法務大臣も辞任しました。

そんな汚職が明るみになる中、それでも日本国民の狂乱は収まらず、日経平均株価はぐんぐん伸び、1989年12月末にはついに4万円(38,915.87円)近くまで上がっていきました。

引用:日経平均株価の推移

浮かれ気分で週末はジュリアナ東京でパーティ、が常識の東京でした。私の従姉妹はジュリアナの帰りはタクシー代で5万円貰ってたと言ってました。

日銀のボスこと澄田総裁が退任、「平成の鬼平」こと三重野康さんが後任総裁として登場

引用:毎日新聞

1989年に日本バブルの仕掛け人(正確には大蔵省の奴隷)が退任し、三重野康さんがサラリーマンの出世のごとく、総裁に選ばれるという珍しいことが起きました。基本的には大蔵省から政府が操りやすい人間が選ばれますからね。組織とはそういうものです。

当時のバブル期は不動産価格が上昇しすぎて、サラリーマンでは手が出せないレベルにまで到達していたんですね。これを三重野さんは不安視していました。

地価が当時は以下の図をみていただければ如何に急激に不動産価格は高騰していたかがわかるかと思います。

引用:国交相

そこで三重野総裁はバブルを緩和するためにお決まりの手法をまずは取りました。

例によっては日銀の政策金利を「上げた」んですね。

政策金利の詳細については別記事「『経済の仕組み』を極限まで噛み砕いて解説してみる(vol.2)」で解説しています。

もちろん政策金利をあげれば、借入をしたいと思う人が減るわけですから、経済はスピードを落とします。しかし、人間は「金への欲」は凄まじいものです。

一旦「目をつぶってても儲かる」という人が増えればアレヨアレヨと貪欲に投資を続けます。

最近では仮想通貨の加熱具合が良い例でしょう。億り人が急激に増えましたから、全員がこぞって仮想通貨市場にお金を突っ込みました。

しかし政策金利を上げたにも関わらず、経済の加熱具合はなかなか収まらず、という状況でした。

漸く1990年に入った頃、ついに日経平均株価が下落し始めました。38,915.87円の水準から37,000円まで6%の下落。大幅な下落でないにしても、怪しい動きですよね。

不動産価格の勢いを止めに入った大蔵省

高すぎてサラリーマンが買えないほどの水準になっていた不動産価格。ここで大蔵省は「総量規制」のルールを敷きます。

「総量規制」とは、行政指導の一つで「不動産向け融資」の伸び率を金融機関の「総貸出の伸び率以下」に抑えることをいいます。

簡単に言ってしまえば不動産向け融資を「企業に」過剰に実行するなということです。

銀行も勢いのある不動産融資がなくなると金利収入が減るので焦るわけです。

但し、住宅金融専門会社(住専)に関してはこの限りではなく、金融機関はこぞってこの住専に不動産融資を肩代わり(金融機関→住専を共同設立)させたんですね。総量規制のルールを敷いた意味がないですね。

エンロンのSPCを活用した不正経理を思い出してしまいます。金融機関は共同で8社の設立をしてしまいました。貸し倒れする確率の高い融資相手の債権も押し付け、裏の社会の人への融資も住専を通して実行しました。

  • 日本住宅金融:三和など各都市銀行と、東洋、三井の信託銀行2行、横浜銀行、千葉銀行の地方銀行2行が出資
  • 住宅ローンサービス:第一勧業銀行、富士銀行、三菱銀行、住友銀行、さくら銀行、東海銀行、あさひ銀行が5パーセントずつ出資
  • 日本ハウジングローン:日本興業銀行と日本債券信用銀行を母体に、末期は大和証券、日興証券、山一證券など各国内証券会社に加え、母体行融資先企業も複数社出資
  • 第一住宅金融:現在の野村ホールディングス各社と日本長期信用銀行子会社の日本ランディックの合弁会社
  • 住総
  • 地銀生保住宅ローン:日本生命保険を筆頭に生命保険会社各社と、横浜銀行など一部地銀が出資
  • 総合住金:東京相和銀行など第二地方銀行各行が出資
  • 協同住宅ローン:農林中央金庫、JAバンクが出資

 

日本沈没の幕開け-株価暴落-

上記の「政策金利の上昇」+「総量規制」を行うも、これまた経済への影響は限定的でした。

あまりにも効果がないので、日銀の三重野総裁は、

三重野総裁
三重野総裁
不動産価格を20%下落させるぞ

と大胆発言し政策金利を徐々に上げていったんですね。単純に借入の金利が上がると不動産投資による儲けは少なくなるので国民の意欲は削がれるわけです。

預金金利も6%に上昇させ、株の平均利回りは1%を割っていました。

国民
国民
これ、預金しといた方が安全だし得じゃない?

と国民の熱が一気に冷めていきました。株価暴落の前兆ですね。

株価が下がると、証券会社は積極的に投資をする人を増やそうと考えます。

ここで、信用取引の委託証拠金率を70%→50%に下げました。これ、異常事態ですよ。

株を買うにあたりレバレッジを以前より20%もかけられるということですからね。

しかし、そのまま日経平均株価は39,000円近くまで上昇していたのに、2万円台まで下がり、その後2万円台を割り込みました。もう一度株価の推移を貼っておきましょう。

引用:日経平均株価の推移

不動産価格を下げるつもりが株価まで下がってしまっているので、政府としては焦るわけです。大蔵省は証券会社に「株価維持」のために買い支えるよう指示を出し、信用取引の委託証拠金率も30%に下げました。ここまでいくと暴挙ですね。

ここまでくると株価、不動産価格の下げは止まりません。三菱地所もロックフェラーセンターをついに売却することになりました。

バブルが崩壊することがわかると、不動産を購入していた人は「固定資産」を保有しているので、資産価格も下落し、借り手もなかなかおらずで大ピンチです。借金の返済に追われる日がここで始まるわけです。

経済サイクルの「クレジット=信頼」の返済時期、つまりは経済が停滞する時期がついに来てしまったということです。

ここで思い出してみましょう。「BIS規制の抜け穴」を利用して、企業は「ワラント債」を活用し、株式含み益の45%までを資本金の50%まで「みなし算入」していましたね。

しかし、この株式含み益が株価暴落によって含み損となってしまいました。銀行は貸し出しができなくなり、融資額は含み益を含んだ資本を起算して実行しているため融資を減らさなければBIS規制違反となってしまいます。

少しわかりづらいのです簡単に例を出すと、

  • 例えば100万円の資本を持った金融機関が株式含み益を200万円ある場合、
  • 200万円の45%にあたるのは90万円、
  • 金融機関の資本金100万円の50%は50万円、
  • 今回は90万円の内50万円を資本算入し、
  • 資本金を100万円+50万円=150万円とできるということでしたが、
  • 含み益が10万円になった場合、
  • 45,000円までしか資本金算入できず、
  • 仕上がりは1,045,000円となるということです

ここでBIS規制を思い出してみましょう。

BIS規制は金融機関の資本金の「12.5倍」(8%の資本を維持、100%÷8%)までの貸付までしか許可されませんでした。

150万円の資本金であれば12.5倍の1,875万円まで融資が可能でしたが、

資本金が1,045,000円だと1,306万円が上限となり、565万円の差があります。

これが大規模で発生するというイメージですね。

金融機関が右往左往しているうちに日経平均株価は14,300円まで下がってしまいました。もう止まりません。

不動産価格もピーク時から60%下落し、キャピタルゲイン(=売却益)を狙っていた企業・個人は落胆の嵐ですね。担保価値も下がっており、加えて総量規制も株価下落でルール違反になってしまい、融資をした銀行としても回収を始めなければなりません。

企業は金融機関に返済を求められ、ニッチモサッチモ行かなくなり、バタバタと倒産していきました。早期返済を次から次へと求められるわけですから、地獄絵図です。不動産を売っても損しか出ませんし。しかし売るしかありません。

こんな状況になってくると、

国民
国民
銀行は融資の回収うまくいってるの?
国民
国民
倒産したら私たちの預金はどうなるの?

となるのが必然ですよね。1995年に各金融機関で取り付け騒ぎが発生しました。

経営が悪化していたコスモ信用組合に関しては取り付け騒ぎでたった一日で預金総額の6分の1の引き出しがありました。

兵庫銀行は取り付け騒ぎにより、上場銀行であるにも関わらず倒産、各金融機関の協力の下で設立された住専はなんと6兆4,000億円の損失が判明しました

この状態では金融機関のお金が全て国民から引き出されてタンス預金という「死に金」となってしまいますね。投資に回せないのですから経済は循環しないのです。

そこで政府が「預金全額保証」を公言し、税金の6,850億円を住専に投入しました。

でもおかしいですよね、民間の金融機関はバタバタと倒れている中、住専だけえこひいきのように救済されているんですから国民も黙っていないです。

しかしもちろんこれにも理由があり、住専は元々「JAバンク」「農林中央金庫」と呼ばれるような「農家の人たち」の預金を一手に引き受けていたんですね。農家の人たちの預金している銀行が、住専に貸していたということです。

住専が破綻すると困るのは農業の人々です。この頃、農業の人々の選挙での投票先は自民党に偏っていたんですが、この票がないと自民党も困ってしまうんですよ。

農業の人々
農業の人々
お金返してくれないならもう投票しないからな。

こうしているうちに地方銀行でも権威を誇っていた阪和銀行が破綻しました。

以下、リアルな阪和銀行についての当時の日本銀行のページです。政府も救済しなかったことが一目瞭然ですね。

(1)阪和銀行は、バブル経済の崩壊とその後の不動産価格の低下等により資産内容の悪化が急速に進み、今般の大蔵省検査の実態把握等を通じ、償却を要する資産の額が同行の自己資本の額を大幅に上回り、自主再建が困難であることが判明した。

(2)このため、大蔵省では、阪和銀行の今後の業務の継続が困難となったと判断し、本日同行に対し、銀行法第26条の規定に基づき、預金の払戻し(1億円以上の大口債務を負った預金者の債務相当額の定期性預金及び満期未到来の定期性預金を除く)以外の業務の停止を命じることとした。

(3)かかる事態に至った経営責任を明確にするため、同行の新居頭取は辞任する。

引用:日本銀行・阪和銀行について

その後、北海道拓殖銀行も1兆2,000億円の債務超過で破綻。

引用:文春オンライン

海外へ損失飛ばしをしていたとされる山一証券もアメリカの格付け機関ムーディーズに格付けを下げられ、山一証券の信用は地に落ち、資金の調達ができなくなりここで息の根が止まりました。

特金の勢いのあった1990年で破綻してなかったのがびっくりでしたが、4大証券の一つでしたからね。

引用:朝日新聞

破綻当時の負債総額は3兆2,000億円と、歴史に残る倒産でした。

このバブル崩壊当時はあらゆる会社が会計操作を実行していたのですが、さすがに隠しきれなくなり、どんどん不正会計が明るみになっていきました。

今でも東芝や大王製紙など不正会計は起きましたが、バブル期の比ではないですね。全員悪人のようなことをしていました。感覚が麻痺していたのでしょう。

ついでに政府の汚職や癒着も全て洗いざらい公になり、大蔵省接待汚職事件、野村証券、日興證券の損失補填スキャンダル、大和証券、コスモ証券の不正会計、富士銀行の2,600億円の定期預金証書偽造などなど挙げればキリがありませんね。

他にも民間企業や個人投資家も一気に破産に追い込まれ、イトマン事件や「仕手筋事件」で有名な光信の事件などもありますね。こちらは別記事で取り上げていきます。

総括:バブル崩壊の先に光はあったんだろうか

ここまでで、すでに国民も政府を信用せず、民間企業を信用できずとどうすれば良いのかわからなくなりますね。

こんな時は経済は停滞しかないんですよね。自分のお金はタンスにしまって大人しくしているのが普通です。

私でもこんなことになると投資など絶対にできません。

統計では日本の銀行部門では1992年〜1999年で約66兆円の貸倒損失が発生しました。ここまでが日本バブル崩壊の一部始終です。

ここからは経済が冷え込み、2000年に入る頃にようやく落ち着きを取り戻しました。

落ち着きを取り戻したものの、現状の日本を見ればわかる通り、政府はどの政策を打とうか右往左往ですよね。バブル崩壊時から2010年までを「失われた20年」と呼ばれています。

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