私はこれまで、日本で投資すべきではなく、海外投資を選択すべきということを明言しておりますが、今回は、
「では、海外でもどこに投資すれば良いのか?」
という観点から一つ一つ、対象になり得る投資先を紹介していきたいと思います。
- インドネシアのGDP成長率は安定しており、人口ピラミッドも理想的な形をしている。
- しかし、インドネシアの教育水準はまだまだ低く、労働の質は担保されておらず、中所得国の罠を抜け出すことができるかなど、懸念材料有り。
- インドネシア株式市場はPER20倍を超え、60倍を超えることも有り若干割高な水準であり、大きなリターンを狙い投資実行できる水準ではない。
今回は東南アジアで最大の人口を誇るインドネシアについて詳しく見ていきたいと思います。
Contents
インドネシアの概要
まずは、インドネシアの一般概要をみていきましょう。
一般的事項
国・地域名 | インドネシア共和国 Republic of Indonesia |
---|---|
面積 | 191万931平方キロメートル(2017年、日本の5.1倍) |
人口 | 2億5,871万人(2017年、出所:中央統計局、推計値) |
首都 | ジャカルタ 人口1,047万人(2016年、出所:中央統計局) |
言語 | インドネシア語 |
宗教 | イスラム教、ヒンドゥー教、キリスト教ほか |
引用:JETRO
インドネシア経済概要
項目 | 2017年 |
---|---|
実質GDP成長率 | 5.1(%) |
名目GDP総額 | n.a. |
一人当たりの名目GDP | n.a. |
鉱工業生産指数伸び率 | 5.1(%) |
消費者物価上昇率 | 3.6(%) |
失業率 | 5.5(%) |
輸出額 | 168,801(100万ドル) |
(備考:輸出額) | FOB |
対日輸出額 | n.a. |
輸入額 | 156,930(100万ドル) |
(備考:輸入額) | CIF |
対日輸入額 | n.a. |
経常収支(国際収支ベース) | △17,293(100万ドル) |
貿易収支(国際収支ベース、財) | 18,785(100万ドル) |
金融収支(国際収支ベース) | 29,488(100万ドル) |
直接投資受入額 | 32,240(100万ドル) |
(備考:直接投資受入額) | フロー |
外貨準備高 | 130,196(100万ドル) |
(備考:外貨準備高) | 金を含む |
対外債務残高 | 352,247(100万ドル) |
政策金利 | 4.3(%) |
(備考:政策金利) | 期末値 |
対米ドル為替レート | 13,398(ルピア) |
(備考:対米ドル為替レート) | 期中平均値 |
引用:JETRO
インドネシアの今後の経済成長を考察
次にインドネシアの経済成長率をみていきましょう。
引用:World Economic Outlook Databaseを元に筆者が作成
毎年5%程度のGDP成長率であり安定していますね。成長率としては、ASEANの平均レベルです。今後の動向を考察していきましょう。
インドネシアの人口からみる経済成長の可能性
まずは国の今後の経済成長を見る上で重要な指標である、人口ピラミッドです。「15歳以上〜65歳未満」の労働人口が増加していくかがポイントです。
理想的なプラミッドを描いており、若年層の労働人口が増加し続けることが読み取れます。まさに人口ボーナスがこれから始まるところです。
インドネシアの人口は2065年まで増え続け、総人口数は3億2千万人に達し、消費も拡大していくでしょう。
現状は一人当たりGDPは4000USDと、中所得国の罠である10,000USDまでは依然として距離があり、まだまだ発展していくでしょう。
しかし、あと10年の間に中所得国の罠にぶち当たる可能性は十分にあり、現在の機械などの「組み立て」を中心とする労働集約型産業からの脱却をインドネシア政府は図っていく必要があります。
労働人口も数は魅力的ですが、「労働の質」という観点では若干の懸念点があります。その理由は、教育水準の低さです。
インドネシアの中学生の学力レベルは世界的に下から数えた方が早く、今後の経済発展を支える質の高い労働力を実現するための教育が施されているかは疑問です。
例えば、日本が急速な経済発展を成し遂げたのも、人口ボーナスも大きく寄与しましたが、日本の根本的な「教育の質の高さ」も大きく影響しました。
米国・マッカーサーも日本の子供の基礎学力の高さに驚き、将来日本は大きな経済発展を果たすと発言したと言われています。江戸時代から伝わる論語と算盤の寺子屋教育、明治政府の教育勅語が功を奏したのでしょう。
インドネシアの産業構造を解く
インドネシアの産業構造といえばあなたは何が大きな割合を占めると思いますか?
以下のグラフでみてみましょう。
引用:経済産業省
予想を反して、バランスのとれた産業構造になっているのが分かります。総合商社でいえば三菱商事のようなバランスの取れた配分です。
次にGDPを産業ではなく、消費、投資(総資本固定)、純輸出という軸で分けてみます。
引用:ニッセイ基礎研究所
左側のグラフの青い部分を見て欲しいのですが、投資の大きさが気になります。インドネシアは投資に依存した経済と言えますね。
インドネシアの輸出先トップ・中国向けの原産品の輸出の為の設備投資がメインとなりますので、インドネシアもラオスと同様、中国経済の煽りを一気に受けやすい構造だといえます。
中国も投資過剰だと言われていますが、インドネシアはその中国と同じ水準です。
インドネシアの経済成長への寄与という意味で、堅調な消費の伸びは良い傾向ですが、それでも投資の寄与率はかなり高めであるといえます。因みに、日本や米国では個人消費が70%~80%で投資は10-15%というレベルです。大きな差が感じられますよね。
インドネシアの株価の見通し:株式市場は堅調も急落の可能性も考慮すべき・銘柄・配当利回りを確認、高配当銘柄も?
インドネシアの経済成長について解説してきましたが、ここで同国株式市場に目を向けて見ましょう。
インドネシアの株式はMorning Starのページに記載されています。
引用:インドネシアの主要株価
株式の今後の成長を考える時の指標であるPERは20倍を超え、60倍を超えることもあり、若干ですが割高な水準であるといえます。
株価指数は以下のように順調な右肩あがりでモメンタム自体は良好といえそうです。
上記でも述べていますが、インドネシアの教育水準が未だ低いこと、今後10年の間に中所得国の罠を抜け出すことができるか、中国経済減速による影響など、懸念材料が数点ありますので、市場の動向には敏感にならざる得ないでしょう。
引用:Bloomberg
配当利回りも6.8%と高い水準のものもありますが、基本的には2〜3%の銘柄が多いですね。この辺になってくると高利回りの代表格の三井物産、住友商事、日産自動車などの日本株の利回りと同水準ではないかと思います。
もう少しこの点を具体的に知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
インドネシア株式の買い方・投資信託、etfは楽天証券とSBI証券などのネット証券会社での購入がおすすめ
インドネシアの株式投資を考えているのであれば、楽天証券やSBI証券のようなネット証券がおすすめで、調べてみると大量に投資信託やETFがでてきますので、日本人でも投資するのは容易です。何よりも手間が掛からないところが良いです。
しかし、注意点として、今回のインドネシア株のように誰でもアクセスできるような海外市場は大きな資本を持つ多くの投資家が参入し、上記で述べたように割安な水準になりにくいという欠点があります。
魅力的な新興国株式市場と投資が容易な株式市場というのは共存しづらく、大きなリターンを得るのも難易度が高くなります。
インドネシア株株式市場まとめ
インドネシアは人口構造から今後も5%程度の成長が予想されますが、労働の質を担保する教育水準は低く、今後中所得国の罠を抜け出せるかどうかは疑問が残ります。
インドネシアのGDPは投資が大きな割合を占めており、輸出入ともにトップシェアの中国経済に大きく依存しており、中国減速と共に投資活動が抑制され成長率が減速するリスクがあります。
更にインドネシア株式市場は堅調に上昇していますが、PERの観点からは既に割高な水準であり、現在の状況で株式市場に投資参入しても、なかなか理想的な3倍、4倍といったようなリターンは得られないかと思います。狙うなら他の市場ですかね。
おすすめの新興国株投資方法ーフロンティア・キャピタルという選択肢ー
今までインドネシアの株式市場について見てきました。
新興国経済の分析は非常に手間がかかりますし、成長力が高い国を見つけても、既に今後の成長を織り込んでしまっている国が多いです。
全員が投資できる環境にある国では資金が流入しやすいので、割高になってしまうのですね。
更に個別銘柄分析を行うにしても、馴染みのない企業を英語で企業分析する難易度は非常に高いです。
本当に魅力的な新興国株は成長力が高く尚且つ割安な新興国市場です。

このような魅力的な新興国に投資しているファンドにフロンティア・キャピタルがあります。
フロンティア・キャピタルが投資している銘柄の中にはPERが4倍の銘柄や配当利回りが20%のような銘柄に投資しています。
非常に魅力的な銘柄に投資を行うことにより2018年4月の運用開始以降3カ月で16.6%(年率64%)の成績を叩きだしています。
フロンティア・キャピタルについては詳しく纏めていますのでご覧頂ければと思います。
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