私は一部新興国株式への投資も行っているのですが、
今最も好調であるといえるインドの投資信託である、
『高成長インド・中型株式ファンド』に投資すべきかと友人から相談を受けました。
今回は評判の『高成長インド・中型株式ファンド』をリターン・リスク・手数料、
更に今後の見通しという観点から徹底的に評価していきたいと思います。
Contents
そもそもインドの状況って?-インドのファンダメンタルを簡単におさらい-
まずは簡単にインドの現在の状況について以前書いた以下二つの記事を元に整理していきたいと思います。
【参照】
⇒ 『インド株式市場』おすすめ海外新興国投資を経済・国家政策より解説
⇒ インド株式投資は今なのか?新興国経済を徹底解剖
インドは現在12億人以上の人口を抱え、2060年には17億人を突破していることが見込まれる言わずと知れた将来世界一の人口を抱える国です。
現在も6%~7%の高成長を実現していますが、
現状の経済レベルは依然として非常に低く成長余地が大きく、
今後の成長も人口ピラミッドも理想的なピラミッド形状で、
生産年齢人口(15歳~60歳)の増加を伴い成長速度の上昇が見込まれています。
更に政治はモディ首相が安定政権を築いていることも大きなプラス要素です。
株式市場は逆に誰の眼からみても魅力的なので、
既にPERは25倍に近づき割高水準となっています。
株式投資というのは美人投票みたいなものです。
人気が高いものには票があつまり価格が上昇するので、
魅力的な国=買と短絡的になるのは危険という点は頭の片隅に置いておいてください。
高成長インド・中型株式ファンドってどんな投資信託?
それでは、いよいよ本題の高成長インド・中型株式ファンドに移っていきたいと思います。
運用会社は三井住友アセットマネジメントとなっておりますが、
実質的な運用はインドの中型株式運用に定評がありインド最大の資産運用会社である
コタック・マヒンドラ・アセット・マネジメント社が担っております。
(引用:高成長インド・中型株式ファンド目論見書)
上図のように高成長インド・中型株式ファンドは、
ファンド・オブ・ファンズ形式で運用されていますが、
90%以上はコタック・マヒンドラ社のファンドで運用を行っています。
要は余った資金を待機資金として現金で置いておくのも勿体ないので、
一部公社債ファンドで安定運用しようとしているということですね。
高成長インド・中型株式ファンド(年1回決算型)との違い
高成長インド・中型株式ファンドは年4回の2月、5月、8月、11月の27日に決算を行い、
分配金の拠出の有無と金額を決定しますが、
高成長インド・中型株式ファンド(年1回決算型)は2月27日の年1回だけ決算を行い、
分配金の拠出の有無と金額を決定します。
年1回決算型は2017年11月から運用を開始しており、通常型と成績は殆ど変わりません。
何故インドの『中型株式』に注目をして運用しているのか?
皆さん、何故インドのあえて中型株式なのかということに疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか。
中型株式に投資をしている理由についてはファンドから以下の説明がでております。
●経済成⻑などを背景に、インドでは企業業績の拡⼤が⾒込まれており、特に、中型株式の業績の伸びの⾼さが注⽬されています。
●インド株式市場では⼤型株式偏重の傾向が強いものの、税制や規制改⾰などの進展に伴い投資対象の拡⼤が⾒込まれることは、中型株式の投資魅⼒を⼀層⾼めていくものと期待されます。
(引用:高成長インド・中型株式ファンド説明資料)
順に説明していきたいと思います。
まず以下の今後の大型株式と中型株式の利益の伸長予測の図をご覧ください。

インドの中型株の業績拡張度合いは大型株を上回ることが予想されており、
それに応じて近年中型株は大型株指数を大きくアウトパフォームしていることが見て取れます。
更に現在モディ首相の政策が製造業活性化のMade in Indiaと
インフラ整備によるセメント等の素材需要と内需拡大つまり消費関連の拡大を、
政策目標としていることから、相対的に比率の高い中型株に期待が集まっているのです。

高成長インド・中型株式ファンドの成績をチャートから確認
能書きは分かったけど、やはり一番重要なのは過去からのパフォーマンスですよね。
後で指数や他の投資信託とも比較を行っていきますが、
まずは高成長インド・中型株式ファンド単体の成績についてみていきましょう。
現在の基準価格は10,000円と設定されている2011年時点と全く変わっていませんが、
その間分配金を11,800円出しているので、
2011年から投資した方は元本の2.2倍に増やすことが出来ています。
しかし、高成長インド・中型株式ファンドが仮に分配金を出さずに、
運用を続けていた場合は基準価格が30,000円となり元本を3倍にすることが出来ています。
これが金融庁が指摘している分配金の罠なのですが、
分配金を拠出することにより結果的に最終リターンは小さくなり、
中長期的にみた投資家の利益とはならない結果を招くのです。
毎月分配型の仕組みを含めて投資信託の問題点については以下に纏めていますので、
詳しく知りたい方はご覧頂ければと思います。
⇒ 投資信託のメリットとデメリットを徹底解説ー投資信託が抱えるリスクとはー
分配金拠出というデメリットはありますが、総じてインドの株式市場の環境がよかったこともあり、堅調な結果となっております。
しかし、アクティブ型の投資信託として優秀かどうかは、
インドの指数と他のインドの投資信託と比較分析しないと見えてきません。
高成長インド・中型株式ファンドのリターンをMSCIインド指数と他の投資信託と比較
アクティブ型の投資信託なので指数に対してアウトパフォームをしているかが需要です。
今回はMorning Starのデータを用いて、
MSCIインド指数と優秀な成績を残している、
新生UTIインドファンドと野村インド株投資と比較していきます。
以下は全て分配金を拠出しないベースでの比較となっています。

この3年間でいうとMSCIインド指数と同等、他のインド株指数に対してアンダーパフォームしていますね。
この3年間先ほどみてきた通り、中型株のパフォーマンス自体は非常に堅調だったので、
その点を考えると運用が巧くないと言わざるを得ませんね。
中型株市場に追い風が吹いていたにも関わらず、
軟調に推移しているのはアクティブ型投資信託として微妙であると言わざるを得ませんね。

高成長インド・中型株式ファンドは過去5年前から3年前は堅調でしたが、
直近の成績が著しく悪いことが見て取れますね。
中型株の指数は大きく上昇しすぎているので、
一旦の調整局面に入っているという可能性も否定できません。
しかし過去3年間は中型株市場が大型株市場を大きくアウトパフォームしていたことを考えると、
やはり運用手法に問題があると言わざるを得ませんね。
高成長インド・中型株式ファンドの高い手数料
成績もインド株投資を行う投資信託の中では芳しくないのですが、
他のインド投資信託もそうなのですが、非常に高くなっています。

販売手数料3.78%で信託手数料2.03%ということは、
初年度5%でその後毎年2%の手数料がかかるため、
上で説明した成績が更に悪化する結果となります。
高成長インド・中型株ファンドの見通しとまとめ
高成長インド・中型株ファンドはコタック・マヒンドラ・アセット・マネジメント社によって運用されている、
インドの中型株に厳選投資を行うアクティブ型のインドの投資信託です。
しかし結果としてはインドの平均的な指数と同等で、
他のインド投資信託についてはアンダーパフォームしております。
そもそもインド株市場自体が割高であり、
更に直近急騰していた中型株は調整の可能性が高くなってきており、
現時点での投資はあまり魅力的といえるものではないでしょう。
現時点で大きなリターンを見込める投資先である海外不動産、海外株式投資手法について、
以下ランキング形式で紹介しておりますので参考にしてみて下さい!