経済の仕組み理解

【緊縮策→債務再編→富の再分配→紙幣発行】経済政策にみる『国力』

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前回の「『経済の仕組み』をわかりやすく解説・基礎を押さえる初心者入門編」「日本の景気を先読み・経済成長と日銀金利、インフレ・デフレの関係性」で経済の意味から経済成長に変動が起きる理由ついて学んできました。

今回は、

「ではどのように不況に陥った時はどうやって立て直せばいいの?」

「もう崩壊したらその国はゲームオーバーなの?」

と疑問を持っている方向けに前回記事の復習も兼ねて記事を書いていきたいと思います。

経済に大きな影響を与えるのは感情と狂気なら誰にも解決できないのか?

経済のサイクルとして「支出」が「生産力」を超えた時に「モノの価格」は上昇し、中央銀行が利子を調整して、過度なインフレーションを抑える、という話を前記事まではしてきました。

では、中央銀行がインフレを抑えるために、利子を上げ経済を調整した際に、結果的に「デフレーション」となり、更にそれが深刻なものになってしまった場合はどうするのか?

簡単な残酷な結論を言うと「短期」での「景気回復」はまず不可能です。借り手は返済能力を失い、デフレにより担保の価値も下降線を辿り、人々は絶望します。

短期的な景気回復は不可能であるものの、長期的に考えてみると、これは歴史を紐解けばルールのように回復までの流れが毎回以下のように決まっています。

● 緊縮策として、政府が「支出」を抑える→景気の更なる悪化
● 債務不履行として債務再編→貸し手が少額でも取りっぱぐれを避けようとする
● 富裕層からの資産の分配→富裕層と貧困層の争いが始まる
● 中央銀行が紙幣を印刷→最終手段としての施策

 

それではこの流れを解説していきたいと思います。

緊縮策→再編→資産の再分配→紙幣発行の流れ

「支出」が減るということは、人の「所得」が減りますよね。

そして「所得」が減るということは、新しいビジネスが生まれることもなく、企業はコスト削減のために会社規模縮小の一途を辿るので「失業者(リストラ)」が増加します。

資金を調達していた人は債務返済も苦しくなり、その返済のために手持ちの資産は売りに出されることになります。「資産売り」の連鎖が始まっていくわけです。

国内全体で資産を持つ人が減少するわけですから「クレジット=信頼」を持った人の数も減少し、支出を増やす活動が滞ります。まさにデフレ状態ですね。

少し戻って、「失業者が増える」ということはさらに政府はこのような失業者を救うための支出、また生産性を高め経済の活性化を促すための投資を増やすために、債務を増やす必要が出てきます。

しかし、返済が困難となっている「借り手」の債務は貸し手である銀行の資産であり、元を辿れば中央銀行からの借入ということにもなりますので、債務不履行者が増えていくと銀行・国はとても困るわけです。

そして、債権の回収が借り手から達成できず、銀行が困っているということに、敏感な市民はもちろん気づきます。噂が瞬く間に回り「取り付け騒ぎ」が起こるのです。

ここまでくると、銀行が全員分の預金の引き出しを実現できるはずもなく、銀行にお金を預けている市民も「少しでも」取り返したいと考えますので、「債務再編」を臨むようになります。

債務再編

借り手が借金の返済や発行した債券の元利払いが困難になった時、債権者と交渉し返済条件を緩和してもらうこと。支払期限の延長や元本金額の削減、利率の引き下げなどがある。債権者にとっては実質的に債務不履行といえる。さらにそれが、格付け機関やCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)市場から「クレジットイベント(信用事由)」と認定されると、CDSのリスクの引き受け手などの損失が増え一段の金融システムリスクにつながる。

引用:債務再編

債務再編をすることにより、債権者と債務者間の契約は破棄され、利子の割引、返済期間の延長などが行われ、銀行の債務の負担率は減少していきますが、「所得」と「資産価値」は急速に減少していきます。

債務再編をするような状態では誰も「支出」をしないし、銀行に預ける顧客もおらず、その顧客は家にお金を溜め込むことでしょう。

深刻な経済の悪化の状況がまさにこのような時です。ここでようやく中央政府の登場ですね。

「所得が減った」ということは政府の「歳入」も減少しますので、政府は「支出」を増やすために失業者や自立できない人たちにお金を配り始めます。

ここで政府の債務負担は青天井ばりに増えていきます。

しかし、これしか方法はないのです。ここで政府も困ります。そもそも歳入が減っていてお金がないのにどうやって失業者たちにお金を配れば良いのか?

富裕層」から集めるしかないんですね。

中央政府
中央政府
お金持ちの人たち、ごめん!
富裕層
富裕層
なんで貧乏人のために俺たちが協力しなきゃいけないんだよ…

富裕層から税収入を増やす施策がここから政府から打たれます。

富裕層はそもそも保有している資産価値が下がっており、支出の減少による所得も減っているのにさらに税金まで高くなるという3重苦ですね。やってられません。

ここで「富裕層」と「貧困層」は決定的に仲違いをする関係になります。暴動などが起こったりします。

ここまでくると国内で戦争が勃発してしまうので、政府は最後の手段をここで取り始めます。

それが「紙幣の印刷」です。

紙幣を印刷するということは市場に流通するお金が増えるということですから、支出もグッと増え、生産が追いつかず、またまたインフレを招いてしまいます。

経済への刺激を与えるんですね。中央銀行は何もないところから新しい紙幣を印刷し、その紙幣を使って資産価格を向上させます。

これと同じパターンが1920年代のアメリカの恐慌とリーマンショック時に起こりましたね。アメリカの中央銀行・連邦銀行が大量に紙幣を印刷し、他の世界の国々の中央銀行も印刷しました。

この施策を打つことで資産価値は上昇することになりますが、これだけでは金融資産を持っている人しか助かりません。

そこで、中央銀行は紙幣を印刷し、政府が発行する金融資産である「政府債券」を購入します。中央政府は中央銀行から調達したお金で物品を買うなどして「支出」を増やします。

ここは中央政府と中央銀行両者の「コンビネーション」が絶対不可欠です。

経済の活性化のためには、中央銀行が政府の債券を買う(=金を貸し付ける)、政府はその赤字予算のお金で物品やサービスを買います。代表的なものとしては失業保険などを支払いますね。おかげさまで国は大赤字です。

しかしこれが国の債務負担率を大幅に下げることができるのです。難しい舵取りです。インフレとデフレの「バランス」をここで再度取るということですね。

バランスが良い状態が経済の健康な状態です。適度なインフレ、デフレが経済は最も良いのです。

ここで現れるのが「国力」です。アメリカはリーマンショックからV字回復を果たしました。

未熟な国、例えばタイなどはアジア通貨危機時に経済のコントロールをマネージ仕切れませんでしたね。(今では経済大国への道を歩んでいますが)

『経済の仕組み』の総括

ここまでの理解を確認すると、中央銀行が紙幣を印刷し、ハイパーインフレを起こさないように政府が舵取りし、銀行の債務負担率が減少します。

これで元の(順調な)経済に戻るのには10年ほどの時間を必要とします。

「失われた10年」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?日本バブルの 1991年3月から始まり2002年1月を底としたバブルが崩壊したその後の時代のことを言います。

経済を考えなければならない上で一番大事なことは「債務負担率」を上げないことに実は集約するのですね。これは「所得」より早く「債務」を増えさせないのが大事ということと同義です。

そして競争力を下げないために、「所得」を「生産力」より早く増えさせない。生産性を向上させる努力を惜しんではならないです。

ここまでで『経済の仕組み』の理解は深まりましたでしょうか? 一度では理解しきるのは難しいので、何度も反復して読むのが正確な知識とするコツです。

ここまでは各論でつらつらと論じてきましたが、次の記事では、総括として、『経済の仕組みの解説』をまとめていきたいと思います。