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ヘッジファンド成功報酬型手数料を投資信託と比較して説明する

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これまで様々な記事で、ヘッジファンド投資をポートフォリオに入れることのメリットをお話してきました。

今回は、具体的に、ヘッジファンドを起用した場合にどれくらいの手数料が掛かってくるのかを解説していきたいと思います。

ヘッジファンド起用に係る手数料

ヘッジファンドのみならず、投資信託などで運用する場合、または自分で株式や不動産を購入する際には同様に手数料が掛かりますよね。

昨今話題の仮想通貨も、CoinCheckやbitflyerなど取引所で購入すると、手数料が掛かりますよね。イメージとしては同じです。

しかし、取り扱う金融商品や取引所によっては手数料が変わってきます。

SBI証券などで株式の売買をすると数百円ですが、野村證券で売買すると数千円が一回の取引で掛かってくることもありますし、やはり資産運用を計画的に実行していくにはコスト面のことは正確に把握しておく必要があります。

では、ヘッジファンドの手数料を見ていきましょう。

ヘッジファンドの手数料は「成功報酬型」

ヘッジファンドに於ける手数料は投資信託と基本は変わりませんが、特徴的なのは「成功報酬型」の手数料があることです。

ヘッジファンドでいう成功報酬型とは、

「資産運用益」から手数料を徴収する

というものです。

簡単に言えば、100万円投資して10%利回りを達成し10万円の利益が出たら、その中から手数料が30%掛かりますよ、40%掛かりますよ、ということですね。単純に運用益が増加すればするほど投資家の利益も伸びますが、ヘッジファンドの手数料も増加します。

収益が出ず、マイナス運用となってしまった場合は投資家も損をしますが、ヘッジファンドも手数料を徴収することは同じくできません。

「成功報酬」を算出する基準価額:ハイウォーター・マーク

ヘッジファンドの成功報酬を算出する基準となる「ハイウォーター・マーク」というものがあります。

ハイウォーター・マーク

ハイウォーター・マークとは、信託報酬のひとつである「成功報酬」を算出するための基準となる価額のことで、投資信託の設定時に条件や計算方法が決められます。

成功報酬を取る投資信託で使われることがあり、この報酬形態をハイウォーター・マーク方式といいます。投資信託の値段である基準価額がハイウォーター・マークを上回った場合に、信託財産から成功報酬が差し引かれます。

報酬額は、「ハイウォーター・マークより上回った基準価額に対して何%」といった形で出来高制が採用されています。

引用:SMBC日興證券

同基準は投資家に「公平性」を保つためにあります。

ヘッジファンドの手数料は「年初」の運用金額を基準とします。少しわかりにくいですね。

要するに、100万円で運用を開始して、第1四半期で▲70万円に減少し、第2四半期で100万円に運用額が戻っても、ヘッジファンドに成功報酬は発生しない、ということですね。

第3四半期で120万円になれば、20万円に対して成功報酬が発生します。

ヘッジファンド成功報酬型、ハイウォーター・マーク引用:楽天投信投資顧問

つまり、ヘッジファンドは元手からの運用益である成功報酬をモチベーションとし、投資家にも公平性があるということです。

投資信託とヘッジファンドの手数料を比較

運用を考える人に一番身近な投資信託の手数料も確認してみましょう。

投資信託の手数料体系は、

  • 販売(購入)手数料
  • 信託報酬

の二つがあります。

販売手数料は投資実行時に、信託報酬は「年率」で徴収される手数料です。

ヘッジファンドの成功報酬型手数料は、運用収益に対して徴収されますが、それに対して信託報酬は預け入れ資産全額に対して手数料が徴収されます。

以下、金融庁の投資信託手数料一覧をご覧ください。

投資信託日米比較手数料引用:金融庁説明資料

例えば100万円を投資信託購入に当てた場合、初期の販売手数料は、3.2%で32,000円、信託手数料が1.53%の15,300円、合計で47,300円掛かります。

これだけで済めば良いのですが、運用して資産は大きくなるのが望ましいですよね。100万円が110万円になれば、信託手数料は110万円×1.53%=16,830円となり、手数料合計は48,830円となります。

因みに運用収益がマイナス、例えば90万円に目減りしたとしても90万×1.53%=13,770円掛かります

上記の図では日本と米国の比較になりますが、純資産額上位5商品の運用がマイナスになっているにも関わらず、米国よりも信託手数料が1.53%-0.28%=1.25%も高いのです。

ここからは具体例でヘッジファンドと投資信託の手数料を比較してみましょう。

今度はあなたが1000万円の資金をヘッジファンドと投資信託のどちらかに預けることを考えた時、ヘッジファンドの成功報酬を30%、投資信託手数料を2%と考えます。

1000万円を20%利回りで運用した場合の手数料

ヘッジファンド起用=200万円の運用益×30%

成功報酬(手数料)=60万円

投資信託起用=1200万円の運用資金全額×2%

信託手数料=24万円

差額:36万円

運用益が出た場合はヘッジファンドの方が手数料が高くなることがわかりますね。

1000万円を▲20%利回りで運用(損失)した場合の手数料

ヘッジファンド起用=0円運用益×30%

成功報酬(手数料)=0円

投資信託起用=800万円の運用資金全額×2%

信託手数料=16万円

差額:16万円

損失を出した時はヘッジファンドからの徴収は一切なく、投資信託は変わらず徴収します。

投資信託とヘッジファンドの手数料の差額から見えてくるものは「モチベーション」

運用益が出た場合、ヘッジファンドの方が手数料が高くなり、運用損失が出た場合、ヘッジファンド成功報酬はゼロに対して、投資信託は運用額全額に手数料が掛かってくるところを見ると、見えてくるものがありますね。

ヘッジファンドは「結果」を必死に追い求めることになるのです。運用収益を出さないとヘッジファンド自体も1円も稼げないのです。

それに対して、投資信託はたとえ用益がマイナスであっても報酬が入ってくるので、あなたの資金を増加させるために努力するモチベーションが高いのはヘッジファンドであることは火を見るより明らかです。

ヘッジファンドは利回りが大きくなれば大きくなるほど、成功報酬が増えるので、結果を追い求めます。対して投資信託は損失を出しても報酬が入るスタイルですから、モチベーションは著しく低いです。

(投資信託はそもそも運用者がサラリーマンであり生活が保障されており、投資を生業とし、自己資金もファンドに入金しているファンドマネジャーとはスキルもモチベーションも異なります)

上記では利回り20%の場合の投資信託手数料で例を出していますが、10%程度で保守的に運用するのが投資信託です。

「資金を預かることができれば勝ち」である投資信託は更なる利回りを目指すこともありません。

ビジネスでも同様ですが、例えばある営業マンに、固定給を払って働いてもらうのと、成果報酬で働いてもらうのとでは成果も大きく異なりますよね。シンプルです。

総括:日本の金融教育の欠如

総括としては、運用損益に対して、ルール上モチベーションも高くならない投資信託で運用するのか、モチベーションが高いヘッジファンドで運用するのかを決めるに過ぎないということです。

ヘッジファンドは、米国では優良運用先として認知されていますが、日本ではまだまだ馴染んでおらず、多くの人が知る機会が少ないので機会損失を被っていると私は考えています。

日本がヘッジファンドに馴染みがない理由は明確です。日本の教育制度上、学校で金融を学ぶことがないからです。

また、日本特有の文化として「儲ける」は悪という空気が流れています。仮想通貨で1億円以上を稼いだ、所謂「億り人」はたくさんいるのですが、稼いだことを言ってしまうと非難される可能性があるので、多くの人は公にしていません。

私の周りで仮想通貨で儲けた人は、欧米の帰国子女が不思議と多いのです。これはマネーリテラシーが高いことが明白です。怪しいと言われていた仮想通貨にも「分散投資」の視点があったからこそ稼ぐことができたのであり、決して運ではありません。

例えば、現在の50代、60代は日本バブルを経験し、大きく稼ぎ、そして金融で大損をしてきた世代です。特金、財テクなどが流行っていた時代ですね。

その経験から、金融商品はネガティブに捉えられています。

一方米国は、「州単位」で教育カリキュラムを選定しています。2018年時点のデータを見ると、50州あるうち45州に個人のファイナンスが正規科目としてあるのです。実に37州で金融科目の取得が必須となっています。

米国金融教育(各州統計)1998-2018

結果的に、マネーリテラシーの低い日本人は、大手金融機関のネームバリューのみを信用し、投資信託に傾倒してしまう結果となっているのです。

ヘッジファンドもあまり露出は積極的ではなく、富裕層ネットワーク内だけでの運用で事足りてしまっている部分は無きにしも非ずな部分はありますが、ヘッジファンドを起用することを検討することが可能になるだけでも、ポートフォリオの組み方は大幅に改善します。

他の記事で、ハーバード大学がヘッジファンドを起用している例なども踏まえ、詳細に資産運用について記載しておりますので参考にしてみてください。

それでは良い投資ライフを。