新興国株式投資

崩壊間近?中国経済&景気の実態・2018年以降の成長可能性を分析・解説

これまで様々な新興国の株式市場を今後の経済成長・国の現状の政策を分析し、投資すべきかどうかを解説してきました。

その中で、タイフィリピンなど国の発展を見込めるものの、

中国への貿易依存に対する不安がどうしても拭いきれず、

投資を検討するのであれば中国経済を常にウォッチしていなければならない状況にあります。

今回はそんな中国の経済・政策の現状、今後の展望を解説していきたいと思います。

私自身、中国の商取引経験もあるので、その経験も生かして分析できたらと思います。

今回のポイント
  • 中国は米国に次ぐGDP世界2位を誇る、豊富な人口・土地面積・資源を誇る大国。
  • 1949年・毛沢東時代は「共産主義」を盤石することが最優先事項であり、経済政策は二の次とされていたが、1978年に鄧小平を中心に「改革・開放」という政策を打ち出し、本格的な経済政策に乗り出した。
  • 19歳以下の人口が縮小し、40歳以降の年配層が増加していますね。形としてもピラミッドの形とは程遠く、国として老齢期。
  • 中国は労働集約型の産業で発展してきたが、知識集約型産業への転換が求められる中、サービス業への労働力転換、外国からの積極的な技術移転を約40年間継続してきた。
  • 中国のGDPに占める「投資」の割合は実に45%となっており、完全に偏った構造をしている。
  • 2014年時点で個人消費が40%を切り、総固定資本形成(=投資)が44%となっており、海外からの投資も呼び込み、過剰に開発を進めた結果となっている。
  • 中国科学技術発展戦略研究院の公式発表では中国の全工業企業でゾンビ企業の割合は、2013年時点で8%となっている。
  • 2008-2009年の世界金融危機発生後に中国は約4兆元(=日本円で60兆円規模)の財政刺激策を実施したことにより、リーマンショックの影響を最小限に抑えるも、いき過ぎた生産力を抱えてしまった中国は需要を超え、過当競争となり、死に体の企業が積み上がってしまった。
  • 不良債権処理が進まず、2020年までに「国民所得倍計画」を達成することを絶対命題として国として取り組んでいるジレンマがある。
  • 今後中国経済が低迷し、それに波及して世界経済が低迷することがあれば、理財商品を保有する企業の倒産も視野に入ってくる。
  • 国民所得倍増計画にも遅れが出ている実態ですので、2018年現在では構造改革が余儀なくされるはず。

中国の概況

まずは、中国の概況を把握しましょう。

中国の一般概要

国・地域名中華人民共和国 People’s Republic of China
面積960万平方キロメートル(日本の約25倍)
人口13億8,271万人(2016年末時点、出所:中国国家統計局)
首都北京市(常住人口2,172万9,000人(2016年末時点、出所:北京市統計局))
言語中国語(公用語)
宗教仏教、イスラム教、キリスト教など

引用:JETRO

中国の経済概要

項目2017年
実質GDP成長率6.9(%)
名目GDP総額n.a.
一人当たりの名目GDPn.a.
鉱工業生産指数伸び率6.6(%)
消費者物価上昇率1.6(%)
失業率3.9(%)
輸出額2,263,522(100万ドル)
(備考:輸出額)通関ベース
対日輸出額137,324(100万ドル)
(備考:対日輸出額)通関ベース
輸入額1,840,982(100万ドル)
(備考:輸入額)通関ベース
対日輸入額165,653(100万ドル)
(備考:対日輸入額)通関ベース
経常収支(国際収支ベース)164,887(100万ドル)
貿易収支(国際収支ベース、財)476,146(100万ドル)
金融収支(国際収支ベース)57,096(100万ドル)
直接投資受入額168,224(100万ドル)
(備考:直接投資受入額)フロー、ネット
外貨準備高3,235,895(100万ドル)
(備考:外貨準備高)金を除く
対外債務残高n.a.
政策金利4.35(%)
対米ドル為替レート6.75(人民元)

引用:JETRO

過去からみる中国経済の発展と現状

中国といえば、

米国に次ぐGDP世界2位を誇る、豊富な人口・土地面積・資源を誇る大国であることは誰もが知るところです。

私は2000年代に中国の第二の首都・上海によく出張に行っていたのですが、

当時の国内の発展のスピードは凄まじく、

1年経つごとに街の風景が変わっており、

ダイナミックな経済成長を感じました。

当時の中国の経済成長は以下の通りです。

まさに私は10%を超える経済成長を記録する中国を目の当たりにしていたということですね。

2017年までの中国GDP成長率引用:World Economic Outlook Database, October 2017を元に筆者作成

中国の歴史の話を少ししますが、

同国の1949年・毛沢東時代は「共産主義」を盤石することが最優先事項であり、

経済政策は二の次とされていました。

その後1978年に鄧小平を中心に「改革・開放」という政策を打ち出し、本格的な経済政策に乗り出しました

主に「経済特区」を作り「外国資本の受け入れ」を活発化させたことなどが挙げられますね。

天安門事件が1989年に起こり、武力弾圧には海外からも批判が相次ぎましたが、

なんとか苦境を乗り切りました。

鄧小平はその後朱鎔基(しゅ・ようき)を起用し、

経済規模を拡大させていきました。

同氏は1991年まで上海市長を務め、その後副首相に就任しました。

1992年には党中央政治局常務委員、1993年に中国人民銀行総裁を兼任し為替・金融改革(人民元の固定相場制)を断行します。

1998年にようやく中国の首相に就任し、

「行政」・「国有企業」・「金融改革」を推進しました。

この期間の中国の推進力は凄まじいものがあります。

上記の改革を推進し、ついに中国は世界貿易機構への加盟も果たし、

貿易が加速し、中国経済の発展に大きく寄与しました。

中国の成長が減速している理由は?

近年、

中国の経済が減速しているという内容の報道が目につくようになりましたよね。

中国が経済指標の統計発表も水増ししているといった内容もありました。

この統計をいじられたら投資家としてはなかなかお手上げなのですが。

まず、最初に頭に入れておくこととして、

中国は2016-2021年の間にGDP成長率は6.2%まで減速すると予測されています。

これは中国最大のシンクタンクである中国社会科学院が発表した内容です。

確かに上述した中国のGDPは2010年をピークに減速しており、

2017年は6.7%の成長でしたが、

これが今後さらに下がると見られています。

中国の人口ピラミッド

国の今後の経済成長を大きく左右するのが人口であり、その形態となります。

以下は中国の人口ピラミッドです。

中国人口ピラミッド引用:中国(人口ピラミッド)

19歳以下の人口が縮小し、

40歳以降の年配層が増加していますね。

形としてもピラミッドの形とは程遠く、国として老齢期です。

一人っ子政策の影響もありました。

まさにルイスの転換点を超え、

人口による経済成長の貢献は年を経る度にマイナスになっていくことがわかります。

ルイスの転換点

ルイスの転換点とは、過剰だった労働力が不足に転じるターニングポイントのことで、工業化の過程で農村の余剰労働力が非農業へ移転するに伴い、農村の余剰労働力が徐々に減少していき、最終的に底をつくこと。ノーベル経済学賞受賞者のアーサー・ルイスが人口流動モデルの中で提唱した。

引用:ルイスの転換点

国全体の人口が減少し、

労働人口も減少し、

賃金も上がってしまっていることで中国から他新興国に工場作業など労働集約業は移っていきます。

今後中国はどのような舵を切っていくべきなのでしょうか?

基本的には知識集約業にテコ入れが必要なのですが、

その点も含め、以下で見ていきましょう。

中国の労働生産性

中国は生産性が高い製造業、

つまり労働集約型の産業で発展してきましたが、

知識集約型産業への転換が求められる中、

サービス業への労働力転換、

外国からの積極的な技術移転を約40年間継続してきました。

積極的に投資を誘致し、

政策を進めていった結果、

生産性をさらに向上させる余地がなくなってしまったのです。

成長しすぎたとも言えます。

企業の事業フェーズで考えれば安定期であり、

普通の経営者であればシナジーを見込める企業にM&A(売却)を考えてしまうところですが、国ですからね。

高止まりしている、

という表現が正しいのかもしれません。

加速度的な中国の資本投入(=過剰投資)

中国のGDPに占める「投資」の割合は実に45%となっており、

完全に偏った構造をしています。

例えば、アメリカや日本の投資割合は20%程度の水準ですから、

中国が異常であることは想像に容易いと思います。

投資の割合が大きいことの何が問題なのかというと、

経済成長率への強烈な下降圧力となってしまうからです。

中国のこの投資金額(日本円=約60兆円)の使い道として、

製造業の過剰生産能力、

過剰債務縮小、

となりますが、現在は資本投入量も生産性向上の余地がなくなり、減少傾向にあります。

さらに、中国の投資依存である実態の詳細をGDPの側面から見ていきましょう。

以下の図では中国が頭5つ分くらい抜きん出ていますね。

主要国総固定資本形成・対名目GDP比率

引用:みずほ証券

GDPとは、

個人消費+民間投資+政府投資+純輸出(輸出ー輸入)

で構成されますが、

経済が安定する時は「個人消費」が活発な状況です。

例えば日本や米国は個人消費が約70%を占めます。

では中国はどうでしょうか。

GDP需要構成・中国の需要構成推移引用:ニッセイ基礎研究所

上記左のGDP構成図を見ると、

2014年時点で個人消費が40%を切り、

総固定資本形成(=投資)が44%となっていますね。

海外からの投資も呼び込み、

過剰に開発を進めた結果となります。

現在も延命策として中国は投資を重ねている状況であり、

投資主導の経済はいつか終わりを迎えますので、中国の先行きは暗いです。

因みに以下の各国のGDPの推移を見ていただきたいのですが、

中国の経済成長率は既に下落傾向にあることが見て取れます。

一方、

私が不動産投資をしている新興国の一つである「バングラデシュ」は、

リーマンショック時も安定し更に成長率が上向いているということが見て取れます。


(IMF Databaseより筆者作成)

このように、一般的な傾向として、今後経済が加速していく国の資産(不動産・株等)価格が伸びていくのです。

投資を考えるのであれば、落日の局面に入っている国ではなく、飛ぶ鳥を落とす勢いの国への投資を考えたほうが良いでしょう。

中国の「ゾンビ化」した企業群・バブル崩壊の跡

中国といえば「ゾンビ企業」が多く存在することでも有名ですよね。

ゾンビ化した企業というのは、

  • 借入で調達した資本に対する債務の利子支払いが滞っている、
  • 投資リターンとなる利益をあげられていない、

破綻寸前、若しくはすでに破綻している企業のことを言います。

中国科学技術発展戦略研究院の公式発表では中国の全工業企業でゾンビ企業の割合は、2013年時点で8%となっています。

割合の内訳は、

  • 化学繊維:18%
  • 鉄鋼:15%
  • 石油精製:15%
  • その他

となっており、鉄鋼は過剰設備が最も深刻な分野とされています。

それではなぜこのようにゾンビ企業が生まれてしまったのか?

少し解説していきたいと思います。

中国の景気刺激策(=財政刺激策)に問題があった

2008-2009年の世界金融危機発生後に中国は約4兆元(=日本円で60兆円規模)の財政刺激策を実施したことにより、

リーマンショックの影響を最小限に抑えました。

具体的には大規模な公共投資などのインフラ開発が進み、需要が急速に高めました。

但し、

経済は供給が需要を超えてしまうと停滞してしまいます。

財政刺激策による「過剰な投資」、

つまりはいき過ぎた生産力を抱えてしまった中国は需要を超え、

過当競争となり、死に体の企業が積み上がってしまったということです。

競争に勝てない企業は倒産し、

需要と共有の調整が必要となりますが、

中国共産党は実績をあげるために、

実績が出ていない企業にさらに投資をするということを繰り返しました。

地方政府としては雇用・税収入の指標を高めることを絶対命題としていますから、

援助を続けるしかないのです。

市場原理ではなく「計画」を忠実に実行し続ける中国の特性が見て取れます。

中国企業債務額の課題・経済成長維持のシナリオ?「国民所得倍増計画」

中国は2016年の経済工作会議で企業の債務圧縮を重点課題としていることを発表しています。

以下の図で中国の企業債務が深刻なことがわかります。

各国の非金融企業債務額のGDP比引用:リコー経済社会研究所

この企業債務金額が日本バブルが崩壊した時期よりも高い水準にあります。

1988-1995年頃の日本の灰色の線ですね。

不良債権処理を中国は早く進めるべきですが、

これが進んでいません。

成長率をどうしても鈍化させたくないからですね。

2020年までに「国民所得倍増計画」を達成することを絶対命題として国として取り組んでいるからです。

IMFは現在中国が公表している債務金額は確実に操作されており、

実態の6倍のリスクがあると見解を出しています。

また、シャドーバンキングシステムも深刻です。

シャドーバンキング

「影の銀行」とも呼ばれ、通常の銀行ではなく、投資銀行(証券会社)やヘッジファンド、証券化のための特殊な運用会社などの金融業態の総称をいいます。また、シャドーバンキングを活用した仕組みを「シャドーバンキングシステム」と言い、本用語は、PIMCOのマネージング・ディレクターだったポール・マカリー氏の造語で、最初に彼がジャクソンホールでの講演で使用し、後に彼のレポートである「Global Central Bank Focus」の中でも紹介され、2007年頃から広まるようになりました。 一般にシャドーバンキングは、免許制などで金融当局から厳しく監督される通常の銀行と比べて規制が緩く、金融当局も実態をよく把握しきれていません。また、その仕組みとして、多額の資金を集めてレバレッジをかけられること、情報開示が不足していること(情報開示をしていないこと)、金融当局等が効果的に規制や介入ができないことなどが問題点として挙げられます。

引用:シャドーバンキングとは

中国富裕層の間では、

「高金利理財商品」(=資産運用)が人気であり、

2015年末時点で同商品で運用している金額は23.5兆元(=日本円で350兆円)です。

私が中国出張をしていた時にも、

富裕層の投資欲は凄まじいものがあり、

ハイリターン理財商品にどんどん投資し、

短期間に倍々ゲームが成立していたのを思い出します。

上記の23.5兆元のうち、

約75%が「元本保証なし」「変動金利」であり、

リスク資産を積み上げているということですね。

今後中国経済が低迷し、

それに波及して世界経済が低迷することがあれば、

理財商品を保有する企業の倒産が乱発するのは想像に容易いところですね。

投資欲はどんな状況でも熱が冷めるのには時間が掛かりますので、

中国は心配だな、という感じです。

中国市場を投資対象として見た場合の評価

中国の現状として、

  • 過剰生産能力、
  • 過剰債務、
  • 労働人口の減少、

と厳しい状況であり、

政府の債務整理が進まなければ今後の経済成長の維持は難しいでしょう。

国民所得倍増計画にも遅れが出ている実態ですので、

2018年現在では構造改革が余儀なくされるでしょう。

以上で中国の経済を解説してきましたが、

新興国への投資を考えている人は多くの問題を抱えている中国や中国からの経済影響を大きく受ける国への投資は注意しておいたほうが良いでしょう。

そもそも中国は投資するには既に遅すぎる段階の国になります。

新興国においては昔の日本、

最近の中国にも見られるのですが経済発展の過程で上昇する資産が異なります。

経済が発展し始めたころに、

まず実需需要に基づいて不動産価格が上昇し、次に遅れて株価が上昇します。

最後に国民所得が上昇していきます。

新興国の資産と賃金の上昇の過程

日本では1960年台の高度経済成長期の始めに土地が上昇し、

1980年代に本格的に株が上昇しました。

中国も2000年台に不動産が上昇し、

2010年台に株価が急騰しました。

既に大方上昇しきってしまっているのです。

また、

株は投機的な要素が入りますので価格が乱高下しますが上昇期に入った不動産価格は一貫して恐ろしい勢いで上昇をしていきます。

海外の株式や不動産を買おうと考えている場合には、

自身の投資しようとしている国が、上記のどのフェーズに位置しているのか、

注意深く考察しておく必要があると言えるでしょう。

新興国投資で成功するためのポイント

今回は中国の現状や見通しについて詳しく分析をし、

中国は2018年現在、株式も不動産も投資魅力が非常に薄い状態にあるということを明らかにしました。

 

しかし、日本には中国を「まだまだ伸び盛りの新興国」と捉え、

今なお積極的に投資をしようとしている法人や個人が数多く存在します。

また中国に限らず、既に投資対象としての旨味のない様々な新興国へ、

「新興国」というだけで闇雲に投資を行っているパターンも散見されます。

名目上の経済成長だけを頼りに投資をするというのは、実は非常に危険な行為なのです。

 

さて、新興国に投資する際の難しさというのは、要約すると以下の2点に集約されます。

  • 新興国の現状分析の難しさ
  • 新興国の中で特に魅力的な株式銘柄や個別物件の選定の難しさ

1つ目は、本記事で触れたような、国の情勢における突っ込んだ分析自体が非常に難しいこと。

2つ目は、さらにその国の中で有望な株や物件を選定するのが難しいことです。

こういった困難を乗り越えて効果的に投資をするため、管理人は特定のヘッジファンドを経由して新興国へと投資を行っています。

ヘッジファンドは、投資信託と違い預け入れに数百万円というハードルがありますが、

一方でファンドを運営しているマネージャーとその分析チームがプロフェッショナルな人材で構成されている場合が多く、

新興国のような、「困難ではあるが旨味も大きい」という投資を依頼するには適切な機関です。

実際管理人が預けているファンドも、エッジの効いた途上国へ重点的に株式投資を行い、非常に優れた利回りを出しています。

ある程度まとまった資金がある、という方は一度検討してみると良いでしょう。

以上。

新興国への株式投資について、おすすめのランキングが見たいという方は以下も合わせてどうぞ。

→ 【2018年最新版】新興国株式投資先ファンド・ETFランキング

また、上で言及した新興国ベースのヘッジファンドについて詳しく知りたいという方は、以下の記事を参考にしてみて下さい。

→ Frontier Capital(フロンティア・キャピタル) 新興国株投資ファンドを分析する

 

 

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