今回はバングラデシュで現在進行中のモノレール開発について特集していきたいと思います。
地下鉄ではなく、近年の新興国ではドバイの例のように地上に走る公共交通機関を作る傾向があります。
日本でいうと新橋からお台場を結ぶ「ゆりかもめ」をイメージして頂ければと思います。
- バングラデシュでは公共交通機関がなく過剰な交通渋滞が発生し、経済に非効率が発生している。
- 更に温室効果ガスの問題もあり、抜本的な解決が必要な状況。
- 現在新興開発地域のウットラと政治経済の中心であるモティジールを結ぶMRT6号計画が進行中。
- 受注したのはチームジャパンで質と納期に信頼がおける。
- 今後の公共交通機関の発展により地価の上昇は必至
バングラデシュのモノレールの全容
バングラデシュの首都ダッカ市内は現在まともま公共交通機関は存在していません。
そして漸くダッカ市内の好況交通としてモノレール開発に乗り出すことになりました。
まず、開発が予定されているのは以下図の赤のラインでモティジール地区とウットラ地区を結ぶMRT6号線です。
全長20kmで駅の数は16駅で合計30分強の乗車時間となります。

完工予定は2021年で最初は4分30秒おきで、
2026年時点では3分45秒おきに運行し、
一日当たりの乗車客は2026年時点で50万人を見込んでいます。
将来的には150万人以上の利用を計画しているので、間隔も更に短くなっていくのでしょう。
個人的には人口密度世界一のダッカの需要を補う為には、
更に回転率を増やしても良いレベルなのではないかなと思いますが、
初期の段階では運賃を払える人が少ないことを見込んでいるのでしょう。
因みにモティジールというのは東京の東京駅~霞が関のような公官庁並びにビジネスの中心街であり、
ウットラ地区というのは絶賛開発中の新興地域で今後市域が拡大していくエリアになります。(参照:バングラデシュの首都ダッカのエリア毎の特徴を特集する)
東京でいうと南北線といった感じですかね。因みに以下は完成予想の動画となります。
最大の目的は現在慢性的な社会問題となっている渋滞の緩和と、
それによる経済損失を防ぐということなのですが、
その他にも動画の中でも語られているように車から発生する温室ガスの発生抑制という意図も込められています。
寧ろ、ここまでの巨大都市でまともな公共交通機関が今まで存在していなかったということの方が驚きです。
今ダッカの交通を担っているのは中古車とリキシャーですし、道も整備されておりませんので、そもそも大変危険な状態なのです。
以前、バングラデシュの首都ダッカでの不動産投資が魅力的な理由でも指摘しましたが、
このインフラ関係の出遅れこそがバングラデシュ不動産投資を最も魅力的な投資対象として際立たせているのです。
更に、このMRT6号線を橋頭保として、
上記の図の黄色線や赤線、緑線と拡充していくので、ダッカの交通網は現在と比較して飛躍的に向上していくことが見込まれています。
工事請負会社の信頼度の高さ
実はこのバングラデシュ発となる都市高速鉄道(MRT)6号線のプロジェクトは、
日本の三菱商事と川崎重工が共同でダッカ都市交通会社から受注したものになります。
受注内容は6号線車両144両及び車両基地設備で総額は400億円になります。
安心の日本製ということですね。私も以前ドバイに出張にいった際に商事が受注したモノレールを利用したことがありますが非常に綺麗で快適でした。
以下が実際のドバイで走行しているモノレールです。

かなり先鋭的ではないでしょうか。
今回ダッカで導入する車両には軽量・高耐久性のステンレス製車両で、
ワンマン運転時にCCTVを用いて乗降客並びにプラットフォームの安全に配慮した設計となることが決定しており、
バングラデッシュに突如として最新鋭のモノレールが誕生することになるのです。
更に大容量空調装置を1両あたり2台搭載し、
高温多湿で不快なバングラデシュを快適に過ごすことができるように配慮まですることになっています。
また資金調達にはJICAも絡んでおり、チームジャパンの力のいれようを感じられますね。
また日系企業が請け負うということは、
期限通りに工事が進捗する可能性が高いということを意味します。
日本人の現場監督と真面目なバングラデシュ人の組み合わせにより着実に工事が進行していくことが見込まれます。
直近では以下のニュースにでていますように、最初の区間がほぼ完成したというニュースもでており、工事が順調に進捗していることが伺えます。
(参照:Dhaka Tribune)
仮にモノレール開通を見込んで土地を購入したとしても、
途中で中国が請け負ったインドネシアのようにプロジェクトが停滞するようなことになれば計画そのものが狂うことになりかねませんからね。
今回のMRT6を成功させて、その他の工事も受注して頂くことを期待しましょう。
MRT6号線の意義
このMRT6号線の意義としては過剰な交通渋滞の緩和と、
それによる経済損失の回避という大前提はあるものの、それ以外の意義について見ていきたいと思います。
1) ダッカの大動脈の形成
MRTは新興住宅街のウットラ地区と政治経済の中心地のモティジール地区が繋がる大動脈が完成するということを意味します。
東京でいうと距離は若干遠くなりますが、埼玉から東京にスムーズに人を供給する埼京線のような線が出来ることになります。
経済の中心地に労働力を供給することが出来るようになるため、東京のように今後ダッカの経済圏がより発展していくことが鮮明に見えてきます。

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2) 今後の橋頭保
今回のMRT6が成功例となれば、今後計画が予定されているMRT1~5が計画通りに進む可能性が高くなります。
それによって、更に都市効率性が高くなり、ダッカ自体の土地の価値が上がっていくことは必至でしょう。
3) 地価の上昇
日本でも地価が高いところは人気の高い路線の線路沿いとなっています。公共交通機関が通る場所の地価が上昇するのは全世界の共通事項です。
尚且つ、今回始点となっているウットラ地区は政府主導で開発が進められている地区になりますので、交通網の発達により今後地価が上昇していくのは殆ど確定した未来といえるでしょう。
直近の日本でいうと北陸新幹線が通った金沢で地価が毎年上昇している例がある通り、人が流れるところの地価は上昇していくのです。
むすび
バングラデシュの首都ダッカでは2021年の完工を目指して、新興住宅地と政治経済の中心地を結ぶ大動脈となるMRT6の工事が着々と進められています。
受注したのは実績がありクオリティ並びに納期ともに信頼のおけるチーム日本で、確実に工事は進捗していくものと思われます。
今後現在はない公共交通機関であるモノレールが順次開業していくことで、
現在社会問題となっている過剰な交通渋滞は緩和され経済的な損失を防ぐことができ経済成長の速度を上昇させることができると共に、
沿線地域を中心にダッカの地価が全体的に上昇していくことでしょう。